第8話 青春時代

文字数 622文字

ねぇ、昨日蘭に告白された?
 翌朝、千代見に尋ねられて男たちはびくつく。
な、なんでだ?
別に何も……
いや、なんか鬱陶しいから
わたしの恋人になるとか。

あのコって振られる度にそう言って甘えてくんのよ

ってことは何回も恋をしてるのか?
蘭は惚れっぽいから。

入学当初なんか地主くんのこと好きだったし

マジで?
うん、カヌーで溺れたのだって地主くんに付いて行こうと無茶したのが原因だし……
あぁ、あのコが勝手にしたことだから気にしないでね
千代ちゃーん
 ――と、話題の本人登場。
暑いからくっつかないの
知ってる。だから朝だけー
昼はわたしも嫌だもん
この我儘娘が

 気まずい雰囲気を感じさせることなく、2人は仲睦まじい様子で歩いていく。

 ただ、蘭が1度だけ振り返って――

べー
 子供みたいな真似をした。
なんだあれは?
おまえ、マジで言ってんのか?
あぁ。でも、昨日のあれは冗談だったのかな? 

いやぁ良かった良かった

 雅竹は言うかどうか悩んだ結果、
そうだな
(どっちにせよ僕の想像だし。それに山口さん曰く、こいつに惚れてたのは昔のこと。だから今も好きで、昨日のアレは地主を試しただけ……ってのは考え過ぎだよな)
さて、今日は何して遊ぶかな
らしくないけど、その心意気はいいな
高校最初の夏休みなんだ。僕だって、それなりに楽しみにしてたさ

(だからもう少しだけ、4人での関係を続けたいかな。もっとも、口が裂けてもこいつには言わないけど)

 

 そうして4人は高校生活の夏休み。

 青春を楽しむのであった。

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