21
文字数 234文字
また一つ何かを忘れ
また一つ何かを覚える
忘れたかったことは
いつまでも心の中に
覚えたてのことが
手のひらからこぼれ落ちて
どこかに消えていく
どうしてかな
楽しいことよりも
悲しいことの方が
わかりやすいところで
顔を出して手招きする
地雷のようにどこにでも
僕が来るのを待っている
流れた涙の分だけ
深く埋めて隠しても
いつのまにかほら
こんなところで待ち伏せて
今度は僕を突き落とす
おかげで初めましてのあの人の
名前がすっかり抜け落ちた
歳のせいにしておこう
楽しい思い出に包まれる
最後の夢を見るまでは