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エピソード文字数 1,051文字

 幸い、私は魔法の才能に恵まれており、複数種類の魔法を自由に操れる上、幼少期には魔導書を読みながら、ほぼ独学で中級魔法まで難なく覚えることができた。

 幼少期から、こんなにも魔法を使える子供はこの世界でも珍しいらしく当初は両親も驚き、目を丸くしていた。しかし、我が子に高い魔力があると分かると大いに喜んだ。

「ウチの子は天才だな! まるで『聖女』のようだ!」

「あなたったら! いくらなんでも『聖女』はないでしょう……」

「まぁな……。だが、この分なら、きっと良い縁談が殺到するぞ!」

「ええ、この子は器量も良いし、間違いないわ!」

 親バカ全開で我が子を自画自賛する両親に、苦笑していた私だったが『聖女』という単語が気になる。何のことだかよく分からない私はさっそく、母に聞いてみることにした。

「ねぇ、お母さま『聖女』ってなに?」

「あら。セリナは『聖女』を知らないのね」

「うん……。知らないわ」

「そうね。いい機会だから覚えておきなさい『聖女』っていうのは歴史の中に、たびたび現れる不思議な力を持つ女性よ」

「不思議な力……。魔法?」

 小首をかしげながら呟けば、母は優しく目を細めてうなづく。

「そうね。聖女は魔法も使えるわ」

「魔法なら、みんな使えるんじゃないの?」

「ええ。セリナも知ってる通り、ほとんどの人は簡単な魔法を使えるわ」

「そうよね」

「でも聖女は普通の人と比べて、ケタ違いの魔力を持っていたと言われているの」

「ケタ違い……」

「そして、普通の人と決定的に違う能力を持っていたそうよ」

「どんな能力を持ってたの?」

「『邪悪を退ける力』『奇跡を起こす力』を持っていたそうよ」

 邪悪を退けるというのは漠然としていてよく分からないが、奇跡を起こすというのは尋常ではない。私は目を丸くした。

「聖女ってすごいのね……」

「ええ、聖女はすごい存在なのよ。だからもし聖女が見つかれば、国が保護して大事にされるわ」

「なるほど……」

 生まれつき高い魔法の素養があった私だが『奇跡を起こす』『邪悪を退ける』なんて特殊な能力は持っていない。

両親から「聖女のようだ」と絶賛されても、そこはやはり親の欲目。本物との聖女との差は海よりも深いようだ

「まぁ、聖女のようだと言われる内は喜んでいられるけど、もし本当に聖女だとしたら大変でしょうね……」

「大変なの? なんで?」

「聖女を取りあって、国同士の戦争が起こったこともあるのよ」
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