4-4.光と闇

文字数 567文字

坂崎に抱えられて、呆然とする美羽が自分の部屋に戻っていった。



部屋には沖津と福江が残された。



「沖津さん、あんたは、あの人の、一番弟子だったようだね、あの人の恩義もさぞ感じているだろう」



突然、福江が沖津に言った。


あの人というのが神野淳一の事を差していると気付き、沖津が無言で頷く。



「だがね、あの人はね、私には恐ろしい人だったよ。

あれだけ巨大な軍事産業を作れる人だ、とても恐ろしい人なんだ。



誰しも、光の部分があれば、闇の部分がある。

あんたにとっては、あの人の光しか見えていなかったかもしれない。だが、あの人は非常に大きい闇を持っていた。



それが人間なんだ。



誰が光で、誰が闇という話ではない。
全員光で、全員闇なんだ。



ただ、あの人の闇は、それはそれは恐ろしいものだったよ。



あんたのような殺人兵器を作れるほどの人なんだ。

それは恐ろしいよ。



でもね、あの人に育てられたあんたは殺人兵器かもしれないが、あんたにも光の部分はあるはずなんだ。



だからね、この人は光だとか、闇だとか、分けて判断してはならないし、自分の中の闇ばかりに目を向けてもいけないよ。



あんたにも、光は必ずあるんだ。



・・・美羽のこと、よろしく頼みます・・・」

福江は沖津に深々と頭を下げた。沖津も

福江に一礼すると、部屋を出た。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み