姉の思惑
文字数 818文字
だからこそ、ミナの言葉をそのまま書くだけではダメだと思ったんです。
『お姉ちゃんに書いてほしいの。私の代わりに』と、ミナは私に言いました。
腕が動かないという体のこともありましたけれど、ミナはうまく自分の言葉では伝えられないと思っていたのかもしれません。
どうか書こうか悩んで悩んで、そうしているうちに腕が動かなくなってしまった。
余命に気づいてしまったのではないかと、私はそう感じたんです。
今、ようやくミナは……結婚する前のように、進一さんが向き合ってくれました。
これでよかったのかは、正直、私にもわかりません。
ただ、私はあのときのミナの話しを聞いて、あの男がどうしても許せなかったんです。
だから、最後には、しっかりミナを見てほしかったんです。
それには……だたミナの言葉をそのままぶつけるだけではダメだと思って……。