深夜のファミリーレストラン

文字数 787文字

すまんとだけ言い残して、翼は理恵の手を掴んで帰ってしまった。

未来は、叩かれた左頬を触って礼二に電話した。

【何だ?】

ワンコールで礼二は電話に出た。

未来は、突然、大声で泣き出してしまった。

【どうした?長谷川か?田中か?】

未来がずっと泣いているのでとにかく会社近くのファミレスでと言って礼二は電話を切った。

未来は、泣きながらファミレスまで行った。

店に到着と同時に礼二から電話が入った。

【今、どこだ?】

【ファミレスです。】

【中で待ってる。】

礼二は、スーツ姿でノートパソコンのキーボードを叩いて待っていた。


「目と鼻が真っ赤だぞ。」

「上野さん、今まで仕事してたんですか?」

礼二はキーボードを叩きながら頷いた。

「今日から、副編集長になったからな。」

「おめでとうございます。」

「何がめでたい?仕事の量が倍になるんだぞ。」

そう皮肉を言いながらも少し礼二は嬉しそうな顔をした。

「で?長谷川か?田中か?」

「いえ、友達にビンタされました。」

礼二は、薄ら笑いを顔に浮かべた。

「痛かったか?」

「心がズキズキしました。」

小学生並みの表現だなと礼二は言ってノートパソコンを閉じた。


「で?何で叩かれたんだ?」

未来は礼二に簡単に説明した。

「とんだトバッチリだな。」

と礼二は苦笑いをしながら言った。

未来は、俯いた。

「しかし、今回の事でお前は真実を知った。」

「真実?ですか?」

「まず一つは男友達だと思ってた翼?がお前を好きな事。」

そうだ、翼はわたしを好きなんだ。

「次に一つ、女友達の理恵?がお前に学生時代から嫉妬してた事。」

理恵が、そんな風にわたしを見てたなんて…。

「最後に一つ、二人にはお前に言えない秘密がある事。」

そうだ、理恵が言いかけた言葉があった…。
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