第23話女優 夏美

文字数 1,306文字

今日のお客は、女優の夏美、21歳。
子役時代から超美少女として人気。
女子高生時代も絶大な人気を誇るアイドル。
最近はラブコメに出演することが多く、また旅番組のレポーターもよくする。

「おや、夏美さん」
ただ、飛鳥は、そんな夏美にも、いつものふんわり挨拶。

夏美は「えへへ」と、うれしそうな顔で、飛鳥の前に座る。
飛鳥がレモン水を出すと、そのままゴクゴクと飲む。
結局、全部飲んでしまうので、飛鳥は注ぎ足す。

夏美は、またニンマリ。
そのまま、飛鳥の手を握る。
「はぁ・・・やっと来られた」

飛鳥は、夏美の握る力が強いので、顔をしかめる。
「あのさ、握りつぶそうと?」

夏美は、ますます力を強める。
「だってさ、こうしたかったの、ずっと」
「愛しの飛鳥の君を・・・ようやく独占しているんだもの」

見かねた香苗が、キッチンから出て来た。
「ねえ、夏美ちゃん、飛鳥は弱虫だから、それくらいに」
美鈴も、寄って来た。
「飛鳥さんね、腕相撲でも、私に勝ったことないの」

夏美は、それを聞いて、ケラケラと笑う。
ようやく飛鳥を解放して、ウィンク。
「少しの間だけでも、独占できたぞ」

飛鳥は、握られていた手を、少しブラブラ。
ようやく動かして、モカ珈琲と、苺味のシュークリームを夏美の前に置く。

夏美は、モカ珈琲を一口飲んで、話し始める。
「でね、超ストレスがたまっていて」
「何しろ、芸能界って、足の引っ張り合い」
「男も女もアイドルも」
「マジに陰険でね、皮肉タラタラの子も多いの」
「大した演技もできないくせに、身体だけは立派とかさ」
「特にグラビアから来た子がそう」
「わざわざ谷間を強調するとか、わざとらしいミニで来る」
「仕事に有利な人の前では、猫撫で声」
「そうでない人には、馬鹿にしたり、知らんぷりしたり」

長い話が続くけれど、飛鳥はじっと聞いている。

夏美が、話題を変えた。
「ねえ、飛鳥さん、海外旅番組の話があるの」
「行きたい国って、言われたけれど、浮かばないの」
「面白い国ってある?」

飛鳥は。少し考えて答えた。
「夏美ちゃんは、お姫様ドレスを着ても、可愛いよね」

夏美は「え?」と顔を赤くする。

飛鳥は続けた。
「あまり食レポしないけれど、チェコのプラハとか」
「お城もあって、雄大なドナウ川もあって」
「料理は美味しい、ビールもね」

夏美が、フンフンと聞き、手帳にメモしていると、飛鳥が棚から「プラハ写真集」を手渡す。

夏美
「スヴィチュコヴァー?チェコの伝統的な肉料理。牛肉のサーロインやヒレ肉にクリームソースをかけたもの」
「グラーシュ・・・牛肉をソースと一緒に煮込んだ、ビーフシチューですが、トロリと柔らかくなったお肉にスパイスと野菜の旨味が染み込んだソースが絡み合って絶品」
「シュニッツェルは、牛のカツレツ。脂身が少なくてさっぱり」

飛鳥
「日本人でも抵抗なく美味しいよ」
「街は中世の面影を残している」

夏美は、飛鳥をじっと見た。
「飛鳥さんと行きたい」
その声が震えたのを気にして、美鈴が声をかけた。
「そんなことしたら、両方のファンからうらまれます」

夏美は、引かない。
「飛鳥さんと・・・行きたいなあ・・・」

飛鳥は、「いいよ、一緒に行こう」と答えた。
しかし、「この時限り」であることは間違いない。
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