第73話 グロネコ
文字数 2,571文字
山田の喫茶動物園はもののけ喫茶ホラー動物園になっていた。
制服がホラー系。沖田がデザインしたというだけあり、バリバリ本物感だ!
でも沖田はこの事実を知らないらしい。
あの後、神はあのラフで山田に新たな制服を作らせた。沖田はこの店に入らないから大丈夫だろうとの甘い見込みで。
だがしかし!
鶏達は通勤していた。群れで住んでいる集合獣宅というか養鶏場?みたいな家から出勤していく。
鶏あたまなのであっちいっちゃこっちいっちゃしながら店まで通勤する。
鶏だからいちいち着替えるのを面倒くさがり、制服のまま通勤していた。
更に、営業中の買い物なども鶏が行く。なのでたまに沖田とすれ違うことなどあったりするだろう。
でも沖田は、そのホラーに出てくるような服が視界に入っても全く何も思わない。つか、自分の書いたラフ画がその制服と結びつかない。
実は沖田の脳内画像とその手で描いた画像は物理的には一致していないのだが、沖田の精神上では一致しているのだ。だから自分の手の外にある「沖田が描いた絵」でも、自分の精神内でそれが同一のものだと一致しない限り、普通に見たとおりの別物、だと認識してしまう。
神は「バレたら言い訳すりゃいいや」とか思ってたが、誰も言わなければ沖田は永遠に気が付かないのだ。
こういう「画伯絵」のクリエーターにはよくあることなのだ。
山田は山田で新たな店員を探し出すことにチャレンジしていた。
金物屋、駄菓子屋、タバコ屋、古物商、生鮮市場、なぜかあらゆるいなさそうなところばかり探していた。山田の勘働きなのだろうか?
で、
「今日から入る新人の、、、、、」(山田)名前を聞いていないらしい
「ぶにゃこにゃ!」
「そう、豚ネコさんです!」山田
「あほう!ぶにゃこにゃ!!」
「ぶにゃねこさんです!」山田
・・・・・まぁいいか(ぶにゃこ)
「ぶにゃこは黒猫人種にゃ」
「ぶにゃねこさんはグロ猫です、」
「「「「「・・・・・・・」」」」」
((確かにかわいいとは言い難いし、、グロイっちゃーグロだわねー))厨房の千葉家から出向中の2人。
「ムッ!誰かがいらんこと考えている?失礼な!」ぶにゃ
「ほう、ネコの勘ですか?」
「乙女の勘にゃ!」
(おと、、おかめ?)
ムッ!!?
「そうそう、オーナー、新しいメニュー作ってみたんだけど、試食してみて?」(千葉1)
ず、ずずず、むしゃむしゃむしゃ、、ごっくん、、「うっめぇー、、なにこれ?」
「サルサソーススパゲッティー」
「・・えー、、猿猿ソース、、、猿のエキスが入っているのか、、、でもうまいからいいや、猿猿スパ、で売っていいよ!」
・・・・・・
オーナーの指示に従うしかない2人。
ちなみにサルサ=ソース、なのでサルサソース=ソースソースなので「前のフロントタイヤ」みたいなものである、とのことらしい。
山田のお店も日々成長しているのだ!!明後日の斜め上にむかって!!!
ぶにゃはデビュー一発で客から人気を奪った!!デビューというかでぶーというか、、
「ぶーちゃーん!おかわりー!!」
「誰が豚にゃ!このハゲ!!」
「ぶにゃちゃーん、で、ぶにゃちゃーん!注文いいかなー?」
「誰が豚だこの靴下臭いがっ!!」
「豚ネコちゃーん!メニューが来てないよー!」
ボコっつ!!お盆が凹んだ音、そのおっさんのあたまによって。
なんか、プチマゾ系が多いのだろうか?60年代の者達は、、
それか、ぶすッ娘バカッ娘に罵倒されるのが好きなのか、、、
しかし、それでも、彼女は天職を得たわけである。
バカ鶏ッ娘達もそうだけど。
ナマケモノッ娘は違うのか?と言えば、そうではない、と言い切れるだろう。
罵倒されぶっ飛ばされた客達が床にのびた時、彼らを癒やすのは彼らの視線の先で天井にぶら下がっているナマケモノッ娘たちの無機質な目であった。
道端のゲロや人糞跡を見る目ではなく、完全無視の無機質さ、、ぶっ飛ばされた喜びに更に完全無視されるこのえも言えぬほどの大歓喜!
彼ら客達は、前世含めて数十年どれだけ願っても得られなかったものを、ここで見つけたのだった。
彼らは思う、ああ、死んでよかった、転生してよかった!と。
そして彼らは密かに心に決めている、また死んでも、生まれ変わりだけはしない!絶対にっつ!!と。
この歓喜を忘れるくらいなら、うしなうくらいなら、消える!!と。
バカです。
一方、
「ごぉら”ぁああああ!なにさらっと割込みしてやがんでいそこっつ!!」
むんずと頭を掴んで振り回す
ぶーん、ぶーん、ぶぶーーんん!!
とんでけーー♪ きらりん*♪
「はーい、割り込みダメですからねー♪」
沖田である。その前には100人ほどが列をなしている。
マルネラでは危険な大空に投げ飛ばす行為も、ここ日のいずる国では些細なことである。国民生まれながらにして鍛えられている?のだ。高い高いぃーと数十メートル上まで放り上げるのが一般的。でないと赤子も喜ばないのだ。大鷲などが狙うが、赤子の母は小刀を投げ撃ち落とし、大鷲はおかずにされる。一挙両得である、使い方ほんの少し違うけど。
なので、
喫茶ミューズの男性客達の間で密かに、
「俺、今日投げられちゃった♪」
「いいなー、どこまで飛んだ?」
とか「ご褒美」級。
レアクラスが小田からの折檻。今迄一人しかない。客達はカレを奇跡を得た男と呼んでいる。
バカである。
なので美味しい食事をしたくて来る客も結構ひいちゃって、予約で個室以外使わなくなっている。
神山だけではなく、
他の連中も、そーゆーのを集めるようになってしまているようだ。
ギルドの要請で危険なダンジョンを壊滅させている山梨チーム。
「山さん、いまいっすかー?」
「おお、山梨さんか、大丈夫だけど何?」
「うち、今仕事終わったとこだけど、これから沖田ちゃん達の新しい店に顔だそうと思うんだけど、一緒にどうっすか?」
「おー、行く行く、俺らももうすぐおわるかグッジャッツ!終わったからー!」
「んじゃあとでお店でー!」
「母上はどっちに行くのだ?」
「決まっているじゃないですか、山田神様のお店ですよ」
・・・・・・・
周子は見に行ったことがあった。はいら、入れなかったが。お腹の子に絶対悪影響あるなー、とか思ったんで。
「んじゃ、我らは沖田と小田の店に行きますので」
神に近い癒やしの力がある小田の近くにいるほうが万倍良いと思うのは当然だろう。
母がアレにどう反応するのか見てみたい気もしたがw