リデビュー小説賞 座談会 #2
文字数 14,036文字
ご質問ありがとうございます。これは実は結構悩むご質問でして…。
講談社タイガは、講談社ノベルスの弟レーベルですし、メフィスト賞作品も今はタイガでも刊行することが増えています。ので、ノベルスやメフィスト賞と同じく、「面白ければOK!」としか言いづらいのですよね(笑)
もちろん、ノベルス的に、ミステリが強いレーベルであることは間違いないですし、ミステリはいつだって大募集なのですが、必ずしも、ミステリだけを求めているわけではないです。
ただ、一点言えるとしたら、講談社タイガも尖っていたい、とは思っています。軽く読めて楽しめることももちろん大切ですが、このジャンルが流行っているからこういう作品を……というよりは、重たくてもいいので「10年後も書店に並んでいて読まれ続ける作品」を刊行していきたいです。
今や一大ジャンルでもある「お店もの」「あやかしもの」を、文芸第三出版部が出してたとすれば、それは京極夏彦さんの『姑獲鳥の夏』から始まる「百鬼夜行」シリーズなのだと思います。
「異世界転生」をメフィスト賞が出すとすると、一番最近のメフィスト賞受賞作名倉編さんの『異セカイ系』になるという……(笑)
キャラクターに魅力があるとか、スピード感があるといった、今の時代のエンタメではありながらも、何か突き抜けた魅力を持っていて欲しい……というのが、我が儘ですけども、希望でしょうか。
ということで、個人的には今も昔も、「ラブコメ」が個人的にも好きなので、ラブコメを求めてみたいとは思います。ただラブコメといっても、こちらも示す範囲が大変広いので、他の作品群との差別化をはかることが大変難しいのですが。
そうですねえ、作品のジャンル的なところではなく、抽象的で申し訳ないのですが、せっかく幾ばくかの自由になるお金を出してお買い上げいただくものなのですから、読んでいただける人、たとえばその人が高校生男子で、学校生活において必ずしも「クラスの中心」にいるわけではなくても、その人の存在とか、生活とか、人生の目標みたいなものを「キミはそれでいいんだ……なぜなら~」という感じで「常に肯定」してあげられるような作品であればいいなとは、思います。
わかりづらくて申し訳ございません(_ _)
今回の座談会、とても興味深く拝見しております。海野さんや大澤さんと同じく「現在、期待されているジャンルは何かあるのだろうか」というところは、私も(おそらく他にも大勢の方々が)関心を持っております。とはいえ「おもしろければジャンルなど問わない」というご返答も、また掛け値なしのお言葉でありましょう。
そこで私から質問させていただきますが、先に話題に挙がったように、いま「あやかしもの」「お店もの」および「あやかしが営むお店もの」は非常に人気があり、別のジャンルでデビューした方も、現在はそのジャンルの作品をお書きになっていることが多々あります。
もし「あやかし/お店もの」に、これから期待する新しいアプローチや、ぜひ含まれていてほしい魅力などございましたら、お聞かせいただければ幸いです。
では、そのほかの小説の長所、小説の魅力とは何なのか。
ある程度の分量の、筋書きがある(筋書きを排した前衛的な作品もありますけど)文章に期待されることは何なのか。
なぜ、ひとは小説を読むのか。
例えば「学校生活において必ずしも『クラスの中心』にいるわけではない人の生活や目標を肯定する」というのは、私も、小説にとても期待されていることだと思います。
「小説が売れない」というのは、ポジティブにとらえれば「小説への期待がより高まっている」ともいえるのかな、と考えています。嬉しいことであり、同時に大変なことです。でも嬉しい。
>小説の長所、小説の魅力とは何なのか。
多くのコンテンツって、本当に消費するだけのものが多いですよね。
コンテンツ系の経営者などとお話すると「消費者にとってゲームが最もコスパがいいのではないか」と言われることがあります。そこそこのRPGとか今じゃ2000円とか3000円とかで出回ってて、消費するのに50時間とか100時間を要します。それに繰り返し遊んだりもしますから、外にでなくてもかなり長い間楽しめる消費コンテンツなんですよね。
ソシャゲとかMMOとかになると、同じゲームに1000時間もハマっている人もいるでしょう。
ただしゲームって、消費しちゃえば、後は終わりなんですよね。ゲームで人生がプラスに変わる人とか、なかなかいないでしょう。
ゲームに限らず、他のコンテンツも大筋では似たような大量消費物かなと思います。
でも小説って、消費するだけのものではないところが他のコンテンツとの違いかなと考えています。
イノクマ編集長が#1で仰っていたことと通じるところがあるかもですが、書き手は読み手でもある、読み手は書き手にもなるという側面が小説の興味深さの一つかなと。
人の作ったものを見て、自分も何かをしたくなる。相手の人生にプラスの影響を与えられるコンテンツかもしれません。
「なんか自分にも書けそう感」って(それが事実かどうかはともかく)小説の大事な一要素なのかなと思います。
皆さんご参加、ご質問などありがとうございます。
もしよろしければですが、ご自身の投稿作へのリンクなど遠慮なく貼って頂いて大丈夫ですよ。それがプロとしての一番わかりやすい自己紹介になりますし。
皆さん自分からは貼りづらいかなと思ったので、いちおう横から投稿作へのリンク掲載をオススメしておきます。
すいません、僕の書き方が悪く誤解を招いてしまいました。
「あやかし」「お店」が人気ジャンルとなったから、そのジャンルをぜひ…という意味ではなく、
「あやかし」「お店」をやるならば、非常にハードルが高くなるという意図でした。
期待する新たなアプローチといえば、誰も類似作品を読んだことがない「お店」「あやかし」ということになってしまいます。人気ジャンルに合わせる作品よりは、この作品で新たなジャンルを開拓する!このアプローチはこれまでなかった!というような。
講談社タイガは、ライト文芸、キャラクター文芸だとは思っていないのですね。
メフィスト賞に代表されるような、尖った作品や重ための作品が実際には多いと思います。
(ライトなものの良さは、もちろんありますが)
ですので、講談社ラノベ文庫と文芸第三出版部の各レーベルで、レンジは広く取れているのだと思います。
ミステリに限るつもりはないのですが、やはり、「新時代の魅力的な探偵像」はいつでも大募集中です。
先日までドラマが放送されていた『探偵が早すぎる』などは、「事件が起こる前に解決する」という新しいアプローチの探偵でした。12月にタイガから続編が刊行される『虚構推理』は、虚構の推理で事件を解決する探偵ですね(あれも一応「あやかし」ジャンルではありますが独創性があります…)。ノベルスで出版されている早坂吝さんのシリーズは、なんと社会派エロミス、という新ジャンルを作り上げました。
あくまで、希望や目標はそういった方向性でしょうか。
作家さんに対して、大上段からになってしまって、なんとも恐縮です…。
至らぬ点があれば、ご指摘下さいませ。
お仕事小説としての出版業界もの…。いえ、僕としては特に忌避することはございませんよ。
それこそ、#1で出ていた『小説の神様』はまさにそういう作品ですし。
(あまりにも切実な内容なので、僕の担当作家さんたちからも、読んで筆を折りたくなったぞ!と言われました 笑)
自分の知っている業界のことを書くことになるので、そのぶん独創性はタイガは求めたいと思いますが。
ただ、書きやすいからこそ、内輪受け、楽屋オチになりそうな危惧はありますし、さっきのお店と同じようなことを言ってしまいますが、これまたハードルは自然と高くなるのかもしれません。
小さくまとまってしまって、出版業界あるある(笑)みたいなところで終わって欲しくはないですね。
具体的なモデルがあることについては、むしろ、現実的にそのモデルとなる誰かを傷つける、揶揄するような書き方はするべきではない、と、これは出版業界小説以外でも、同じことですね。
でも、すごく嫌な編集者が出てきたから出版しない!なんてことは全然ありません(笑)
>講談社タイガはメフィスト賞に代表されるような、尖った作品や重ための作品が多いと思います
>「新時代の魅力的な探偵像」はいつでも大募集中です
ご返答、ありがとうございます。講談社タイガはやはり、本格推理/ノワール/SFなどのミステリをもっとも期待なさっているのですね。その中で「カフェの店主が探偵役」などという作品にも門戸は開かれてはいるけれど、相当な個性が求められる……
「大上段からになってしまって」などと思わず、そういうご希望を忌憚なく聞かせていただけたら嬉しいです。私たち実作者にとって、とても貴重なご意見ですから。
大丈夫です!あとから編集できるのが、この座談会のいいところです!
あくまでここに書いたことは、僕個人の意見であり、出版業界や、講談社の文芸局、どころか、文三や講談社タイガを代表するものではありません。これはラノベ文庫も同じだと思います。
講談社タイガを代表するものではない、というのは、僕自身の編集長としての意見であるのは確かです。ですが、編集部全体が同じ意見ではありませんし、むしろ、意見は違うほうが、出版物の幅があって面白いですよね。
ですので、これが講談社タイガの公式見解、とまでは言えないことをご了承くださいませ。
先日、『叙述トリック短編集』という作品を出版しましてですね…って、宣伝ばかりですが(笑)
叙述トリックも、小説の価値の一つだと思います。テキストで構成されているシンプルなエンタメだからこそ得られるものはたくさんありますよね。
>秋永様
そうですね、ミステリは僕たちの主戦場ではあるので、やはりミステリに期待するところは大きいです。
「講談社タイガらしさ」というものを、講談社ノベルスのようにこれからもっと作り上げていきたいと思います。……もちろん、それが多くの読者の心に届くものになるように。
初めまして、道草家守です。
こちらには「虚斬り平蔵 おっさんと幼女の魍魎討伐記」で、リデビュー小説賞に参加させて頂いております。
私からの質問は、個人的で些細なのですが。
Web小説サイトで、編集部を通さない個人の「好き!」を自由に書き連ねた作品が多く読者の心をつかんでいます。
それは作者の「書きたい」と読者さんの「読みたい」が一致したことが理由の一つだと私は考えています。
そのような中で、より良い作品を生み出すことに関して、編集者が介在することでどのような効果が考えられているでしょうか。
私自身は編集者さんに助けられたことは多々あります。
ただ、作品を作る上で二人三脚となる編集者さんのスタンスが知りたいと思いまして、このような問いとなりました。
ご無礼をお許しください。
昨今はやっぱりハード目の長編ミステリーよりはコージーな連作短編形式に収束しがちなのかな? みたいなアレもありますがアレ。
叙述トリックはミステリーからの派生で確立されてきた経緯があるので既存の作品は従来のミステリーてきなフォーマットと抱き合わせになっていることが多いんですけれども、実際のところ何にでも好きに足せるカレー粉みたいな万能のトッピングなので「異世界ファンタジー+叙述トリック」でも「ラブコメ+叙述トリック」でもなんでもできるんですよね。
>秋永さま
あやかしもの、お店ものですが、そうですね、当たり前じゃん、とおっしゃられましたら元も子もないうえに、これまたうまく言えないので申し訳ございませんが、あやかしや、お店……中心となるそれらを「再定義」「再発明」していただけるなら、と思います。ああ、こんなところで「あやかし」という切り口がつかわれるのか……みたいな驚きがあったら、小説が定義できる世界が広がるのかなあ……という感じです。あまり具体的でなくて申し訳ございません(_ _)
しかし、言語化されたもの、小説はまさしくそのど真ん中だと思いますが、読んでいて汲み取った面白さを、読んだ方が抽出した言葉で伝えればいいわけです。なんでしょう、言語化されたものの魅力は、言語化して伝えやすいのでは、というところは利点のひとつではと。まとまっていない感じで申し訳ございませんが……。
出版業界を扱った作品についての話題と、自分が投稿した作品のリンクを貼ってよいというお話がありましたので、私もいくつか紹介いたします。
1:手にしたものに文才を与える力を持つ原稿を題材としたラノベSF怪奇ミステリ【絶対小説】https://novel.daysneo.com/works/8b4af1552dc58c9a6a2935ed927faa7a.html
2:魔物討伐系ドタバタ王道ファンタジー【赤ずきんちゃんレベル999999】
https://novel.daysneo.com/works/9f7fb952ef1b437d4b8136fff21f83e7.html
それと先日NOVELDAYS上で開催されている共幻社チャットノベル小説賞にて優秀賞をいただきましたので【新】わくわく☆ドリームランドも「こんなものも書けます」的なサンプル作品として投稿させていただきました。一応チャットノベル形式での応募も受けつけているみたいなので。
https://novel.daysneo.com/works/b01b590382bf2a66d63f4557b9d35f3d.html
というわけで気になったことがあったらまた質問させていただきます!よろしくお願いします!
小山洋典さん、海野ハルさん、
投稿エディタからURLリンクが設定できますので、よろしければ設定してもらったほうがいいかもです。
以下をご確認ください。
【公式】NOVEL DAYS詳細マニュアル:エディタ機能の確認
せっかくなので読者の方々には皆さまの投稿作を発掘してもらう機会にもしたく、ただしクリックでいけないと一般的には読者の方はそこまで飛ばないものです。とくにNOVEL DAYSはチャットノベル表示形式などが「スマホの読み手」さんに最適化されているのでスマホユーザーが多いのですが、スマホだとURLのコピーの心理的ハードルもかなり高いです。
もちろんIDからたどれば皆さまの作品にもたどりつけるものの、これも心理的ハードルが高めなので、直接飛べるようにしてもらえると読者の目に触れる機会が多くなろうかなと思います。
横からすみませんが、もしPCからのご執筆でしたらということで。
>編集者が介在することでどのような効果
これは多くのプロ作家や編集者が色々な見解を持っていると思いますが、出版のビジネスモデルにとって重要な事柄ですね。
自分も編集者が介在することによるプラス面やマイナス面で考えていることありますが、どちらかと言えば作家側である自分が書くのは無粋なので、編集長お二人のお答えを待ってからにしようと思います。
編集者以外の部分で一つあるとすれば、どれほどWeb小説の優位を声高に叫ぼうとも、結局はやっぱり現状は出版社を……それも大手版元さんを介さないと小説がビジネスとして成立するという絵図がほとんど描けないという根幹は、まだ揺るがない部分かなと思います。
ご返答、ありがとうございます。これは確かに! マンガや音楽、おもしろ動画のような爆発的な「バズ」は望みにくいけれど、読んでくれた方々が作品の魅力を語りたくなるし、アンサーのようにして自分でも書いてみたくなる…… その静かだけど深く大きなうねりが小説の素敵なところだし、だから商業的には不利な面が増えてきても、小説を盛り上げようという機運はますます高まっているのでしょう。
そして、小説という「大きな運動体」みたいなものを盛り上げたうえで、職業作家や出版社はさらに付加価値を考えなければならない…… この座談会を拝見し、浅学なりに参加することで、考えを深めていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
無礼なんてとんでもないです!
いわゆる、編集者不要論(これからの時代の編集者の在り方)については、僕たちも悩み続けています。
よく、就職活動の学生さんなどにお話しする機会の際は、編集者の仕事を、
・プロデューサー
・ディレクター
・マネージャー
・タレント:難しい立ち位置ですが……作家さんの前に立つスター編集者という意味ではなく、黒子ではなく顔や名前をさらして、いい物を伝える、という意味です。
にわけて説明しています。
著者さんによって、また、その作品によって、求められる能力は変わってくるのではないでしょうか。
少なくとも、旧態依然とした編集者の在り方では、存在価値が薄れていることは自覚しています。
たとえば、リデビュー小説賞の場を設立して、こういう形で座談会を開くことも、編集者の新業務の一つなのかな、と考えています。
語り出すと果てしなく長くなりそうなので、まずはさわりだけで……。
『叙述トリック短編集』読んでくださってありがとうございます!あの装幀は……ずっとやりたかった(笑)
叙述トリックの新たな可能性、は気になります(笑)
恋愛叙述、異世界叙述、小説ならではの楽しみ方ですね。
>粟生様
伝奇全般については、確かに最近ジャンルとしては強くはないですよね……。
伝奇という言葉自体が、あまり使われなくなってしまったからかもしれません。
『空の境界』で使われた、「新伝奇」という言葉などがもっと大きくなってくれていれば……。
ただ、講談社タイガでも青崎有吾さんの『アンデッドガール・マーダーファルス』などは、伝奇ミステリの傑作だと思っています。ので、個人的には、伝奇大好きですよ。
あと、本を最近出版したからNGなんてことはまったくありません!
最近本を出版されていない方のための賞だとは全然思っていませんし、現在も第一線で活躍されている著者さんも大歓迎です。
カドカワBOOKSから『おめでとう、俺は美少女に進化した。』(←ここから試し読みへいけます)を出させていただいております和久井透夏と申します。
今回このようなコンテストを開いていただき、とてもありがたく思いました。
リデビュー小説賞には『姉物』として下記の3作エントリーさせていただいてます。
余裕があれば、書き下ろしも1作追加しようと思います。
1つ質問があります。
具体的にどんな作品でも応募を受け付けるといわれてましたが、編集者の方に全ての応募作品の本文を読んでいただけるのでしょうか。
それとも、タイトルとあらすじで足切り等があるのでしょうか。
不躾な質問ですが、お答えいただけると幸いです。
>旧態依然とした編集者の在り方では、存在価値が薄れていることは自覚
編集者さんは誰もがそれを感じている(はず)ですが、一方で実際に行動している編集者さんは本当にごく一部に限られるなという実感があります。
慣性の法則は間違いなく働いていて、業界の将来とか自社の存続とかよりも、目先の自分の給料や立場さえ確保すればいいと深層心理で考えている編集者さんはまだまだ多いとお見受けしています。こうした座談会を開催する河北編集長やイノクマ編集長は珍しい部類のほうで、大抵の編集者さんは漠然とした危機感を感じつつも、今が問題なければそれでいいとなってしまっているようには感じます。
とくに講談社のような会社だと社員の方々の待遇は通常の企業と比べて良いですから、そうした傾向は強めに出てしまい、それが結果として講談社の転換を遅らせているのだと思います(ただし先にも書きましたが、その転換が遅いことによって編集者が矜持を確保できる領域が残っており、クリエイターにとって良いほうに作用してくれていると思います)。
ただしこれは、何も出版社に限ったことでもなさそうです。だから取り立てて編集者の方々ばかりを責めるべきではないのも確かです。
統計上においては日本は今かなりの好景気を享受しているとされていますが、しかし一方で日本全体が言葉では言い表せない暗澹たる空気感に包まれているのは、過去の遺産にしがみついてしまっているサラリーマンの方々のスタンスが強く影響している故だろうと感じています。
おにぎりスタッバー ←ここから試し読みにとべます。
小説でしかできないこと、シーケンシャルな言語記述だけでできること、文章表現としてまだ誰もやっていないこと、みたいなのをいろいろとやってみよう! てきな意気込みで書いたもので、ミステリーでもあるかもしれません。連作短編で一話目にだいたい全ての要素は詰まっていますので、サッと目を通せますからちょっとした時間にでも是非。
アンデッドガール・マーダーファルス本当に好きなのでめっちゃ早口になるんですけれども、今の時代においてミステリーをやる場合、古典のパスティーシュや水戸黄門てき変わらない安心感とかを狙うのでなければ世界設定じたいを少しズラすのはほぼ必須だろうとわたしは思っていて、殺竜事件とか折れた竜骨みたいにファンタジーと融合してみたり、ルヴォワールシリーズみたいに特殊ルールが支配する逆転裁判世界みたいなのを打ち立てたり、まだまだやりようはあるなぁと。これじたい、もう20年くらい言われ続けていることなのですが古典ミステリーのように飽和するまでには時間がかかるだろうと。新伝奇が新本格ほどに定着しなかったのは単純に物量の問題ではないかと思うので、今からでも「勢いのある新伝奇の書き手」を10人くらい並べればひとつのジャンルとして打ち立てるのは可能なのではないかと思ったりもします。
出版社、出版業界ものも全然問題ないと思います。実際、ラノベ界でもそのようなところをあつかった作品はたくさんありますし、要するに読者が「あらたな知識を得て」「こころを動かされ」ればなんだっていいのだと思います。
ただ、デビュー作にこのテーマをもってくるのはお勧めできないかと……この業界でいろいろな体験を経たことが、作品から沸き立つ説得力の源になるわけですから。
自分も「重版出来!」のドラマをみていて、身につまされて途中でみていられなくなってしまいました。
自分がこの業界(最初は漫画の部署でしたが)に入ったウン十年前くらいは「編集者は黒子である」と諸先輩方から言われ続けてきました。ただ時代は移ろい、編集者の役割の「幅」みたいなものが増え、作品内容に介在したり、作家を育てるのだ……みたいなところから、より作品の売り方流行らせ方の仕組みを作ることに重きをおく、プロデューサー型とでもいいましょうか?そんなタイプが主流になってきているように思います。
それでもって、「編集者が作家(漫画家)に指名される」ということがより顕著になってきています――それこそこの「NOVEL DAYS」が所属するところの「DAYS NEO」の思想がまさに「選ばれる編集者」を作ることにあるのだと思います(で、いいんですよね、スズキさん)
――という変遷を経つつも、なおかつ変わらない「編集者がやるべきこと」とは、「作家(漫画家)のみなさんが本当に描くべきことを、いっしょに探す」ことに他ならないのではと考えています。
様々な見方があり、ですが一方的に編集者が悪い作者の努力が足りないという訳では無いのだろうと私も思います。
「作者と共に書くべき物語を作ってゆく」
編集者様も悩まれているのだと少しほっといたしました。
初めまして。スニーカー文庫より一冊本を出して、日本橋BOOKCONにてなぜかコメントがアンデッドガール・マーダーファルスの帯に使ってもらえた空伏空人と申します。
さて、リデビュー賞以外の質問もあるようなので、自分もそちら方面で。
最近はSNSが広まり、小説家個人のSNSアカウントや、編集者個人のSNSアカウントも当然のようにあり、デビューする前からSNSで有名だった人。ということも多い時代になっていると思います。Web発小説家も大体そんな感じに「デビューする前から有名」な人も多いですね。
これにより、作家買いという言葉に「面白い作品を書いていた人のだから買う」という意味だけでなく、「作者が面白いから作品を買う」みたいな意味も付随してきたような気がします(無論、昔からそれもあったかもしれませんが)。しかし、SNSが面白いから本を買う。という人が現れた一方でSNSでの発言が嫌いだから本も買わない。という人も現れているのも確かです。小説家や編集者の炎上事案というのも、たまにありますし。
そこで質問なのですが、編集者さん的には、小説家にSNSをやっていてほしいものなのでしょうか。それとも出来れば控えていてほしいものなのでしょうか。所謂ツイ廃な人間なもので、少し気になりまして。
リデビュー賞には三つ作品をあげています。よろしくお願いします。
猪熊さん
>それでもって、「編集者が作家(漫画家)に指名される」ということがより顕著になってきています
>それこそこの「NOVEL DAYS」が所属するところの「DAYS NEO」の思想がまさに「選ばれる編集者」を>作ることにあるのだと思います(で、いいんですよね、スズキさん)
おっしゃるとおりです。
こちらが選ばれる立場になることで、ただ座して待つのではなく、緊張感と研鑽への意識を常に磨いておけるようになると思いました。
何でもそうですが「編集者不要論」が出るということは、逆照射的に見れば「編集者が必要」という考えが(ありがたいことに)未だ残っているということです(でなければわざわざ不要を主張する意味がないので)。
であるならば、編集者を必要としてくださるクリエイターさんに、ベストパートナー(とクリエイターさん自身が思った編集者)を気軽に見つけられる場所があればいいなぁと思ったのがDAYSNEOを構想したきっかけのひとつです。
おじゃましました。
>小説家個人のSNS
小説家のSNS利用へのお答えは編集長お二人にお任せするとして、
派生したついでの話になって恐縮ですが、せっかくなので。
SNSよりもっと作品・コンテンツに近いものを生成できる方法に、プロの皆さま、「NOVEL DAYS座談会の主催」をしていただくことできますよ。
皆さま、座談会主催しませんか。クリエイターに関係したものなら、どんな方向でも大丈夫です。創作論のことだけでなく、ジャンルを決めた読書会とか、クリエイター生活や生き残り方とか何でも大丈夫ですよ。
こんな感じでコラボノベルを活用した多数の座談会の系統がありますので、ご自身で主催され、ご自身の系統を作っていってみませんか。
NOVEL DAYSサポートデスクまでご連絡いただけましたら、サポート担当者がアレンジしてくれると思います。もし不備があれば、ぼくに取り次ぐよう伝えてもらっても大丈夫かもです。
>DAYSNEOを構想
DAYSNEOは今、マンガ業界人が日々チェックするサービスになっているようですね。投稿された作品に、他社編集者さんもチェックの目を光らせているようです。
この『NOVEL DAYSリデビュー賞 座談会』も、とくに小説業界にいる編集者の方々は興味を持って一度は目を通しておこうとなるのではないでしょうか。そうして他社まで含めた編集者の方々の奮起を少しでも促せるとよいですね。
ぼくらとしては他社と争うのではなく、まず自分たちの思想ありきで、クリエイターの方々にとって本当に大切だと思えるものに末永く注力していきたいですね。