『味見と毒見と、』(常葉「放課後R.I.P」)

文字数 776文字

「常葉君は料理上手なんだね」
「他にやる人いなかったしね」
「うちも父さん上手だよ」
「そうなんだ」
「私はまだだけど、父さんに教わってる」
「僕も教えようか?」
「でも、失敗もあるし」
「上手く出来たものだけとか寂しいこと言わないで」
「え?」
「好きな人のなら全部欲しいよ」
*****

「じゃあ始めようか」
「待って常葉君。コレ何」
「エプロンですが」
「……可愛すぎるよ」
「着てください」
「もっと普通ので良かったのに」
「僕はこっちが見てみたかったんです」
「私は……お揃いが良かったかな」
「……」
「ダメ?」
「あぁもう! 次、次やる時はお揃いにします」
*****

「常葉君って、こういうのにこだわりがある方なの?」
「いや、そんな事はないと思うんですけど」
「でも私にどうぞって出してくるの、結構こういうの多いよね」
「あー、それは、仕方ないのです」
「仕方ない?」
「かわいいものを見かけると、似合うかなーって思ってしまうんですよ」
「……似合わないと思うんだけどなぁ」
「そんな事ないよ。今のところ、似合ってなかった事はないですし」
「嘘だぁ〜」
「形に拘りがあるんじゃなく、似合いそうって思ったら手が伸びちゃう感じです」
「そういうの無駄遣いって言うんだよ」
「もし、すごくヤダなって思われてるなら自重しますが」
「えっとね。ヤダっていうか。いやあの、無駄遣いはダメっていうのはあるんだけど」
「一応月の予算の範囲内だし、毎月貯蓄もしてるんですけどね」
「それに、似合ってなかった時、残念って思われるのが、怖いかな」
「僕に限ってその可能性は低いと思うけど」
「もしも! 低くても、0じゃないでしょ」
「そっか。わかった」
「わかってくれた?」
「じゃあ、次から出来るだけ一緒に買いに行けばいいね」
「なんか違うよ常葉君」
「手始めに、お揃いのを買いに行こうね。それとも僕に任せてくれるの?」
「……一緒に行きます」
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