第28話 ていねいに生きる~エピローグ~

文字数 872文字

 みなさんこんにちは。
 2021年現在で、2~3年前のことになりますが。
 一緒にライブ参戦していた元友人の一人が亡くなったという知らせを受けました。
 共通の友人が言うには。
 年賀状は彼女から来たが、年末にご主人から喪中はがきが来たとのこと。

 思い出すのは一緒に行ったアーティストのライブ。
 私たちは若かったし、ステージのアーティストも若かった。
 ステージも観客も元気の塊で、このまま突っ走るものだと信じていた。

 そのとき、彼女は20代前半にして【ちょっと血圧が高くて】とつぶやいていた。
 そういうこと、なのかな。とは考えたが。50代というのは、【まだ若いのに】とは言い難いが【死ぬには早いだろ】という年齢。

 まだこれからだろ。

 連絡を取らなくなった期間が長すぎたため、彼女に対する涙は出なかったが、ライブ通いの1ページが閉じられた気がして寂しさを覚える。
 アーティストの楽曲はまだ歌えるから、カラオケで歌うたびに彼女のことを思い出すのかな。楽しかったステージを思い出すのかな。
 キラキラしかなかった、あのステージを。はしゃいでいた自分たちを。



 ライブ通いを中断していた20年間のことが思い出せないでいる。
 特に会社の奴隷だった40~50歳の期間。部屋には寝に帰るだけの【屍】にはなんの音も聞こえては来なかった。
 あの頃の自分に必要だったものは、何だったのか。
 何が足りなかったのか。

 弱っていると、誰にもやさしくなれない。



 2021年現在。
 50代半ばの私は。
 いつまで働けるのか。
 いつまで二本の足で立って歩けるのか。
 いつまで好きな場所へ行けるのか。
 いつまで友だちというものは存在しているのか。
 いつまで身内はそばにいるのか。



【つまらない大人にはなりたくない】

 つまりは、どういうことなのだろう。

 電車やバスで座れたとき。乗ってくる人のなかに【高齢者】や【妊婦マーク】【ヘルプマーク】を下げている人はいないか確認するようにしている。
 そんなところからはじめている。

~了~
 つたない思い出たちを読んでくださってありがとうございました。
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