第7話 残された星を探して

文字数 1,451文字

~高校棟4階、天文部部室前~

ちょっとしたトラブルが発生中

…すみません、せっかく来てもらったのに

あの人、数日前から行方不明なんですよ…

行方不明!?それは大丈夫なのか?
俺たちは死んだりしないですけど、それでも心配ですね…

普通に体調崩したりはしますし…

そうだな。それに、怪しい機関に連れていかれて非人道的な研究をされている可能性だってある。

僕たちみたいな特殊な存在は格好の餌食じゃないか…!

さすがにそれはSF作品の見過ぎでは...?
あいつが行きそうなところに心当たりとかはないのか?

そうですね…

近くの山か、屋上…ですかね

…とりあえず屋上を見てみるか

山は勘弁してくれよ…

ええ~俺は山行きたいですよ
それは1人で行ってくれ…
~屋上~

…それにしても天文部は本当に屋上にいるのか?

ここ数日行方不明なのだろう?

確かにな…今だって鍵を借りてきたわけだし、もしいたとしたら屋上に放置されてたってことになるもんな
…じゃあやっぱり山ですかね?
…まずい、生物部の目が輝き出したぞ

あれ…?三馬鹿がいる…

…なんで?

いや「なんで?」はこっちのセリフだよ!!

まさか本当に天文部がここにいるとは…

屋上で一体何をしていたんだ?

何を…って天体観測に決まってる

わかりきったこと聞くなんて、物理部って変

え、僕は変なのか…?
いや明らかに屋上で数日過ごしてる方が変だっての!
た、確かに…

別に部活だから数日くらい屋上で過ごしても死なないし…

でも今回は勝手に鍵をかけられてただけ。正直暇だったから助かった

そもそもどうやって屋上に…?

屋上の鍵くらい、持ってて当然

マスターキーで内側から閉められちゃうと屋上から出られなくなるのは難点だけど…

さも当然、みたいな顔で悪いことしてやがる…

しかし、君1人ならまだしも、普通の生徒たちが巻き込まれたら大変だろう。

彼らは何日も屋上に閉じ込められたら生きていけないはずだ

そのへんは大丈夫

理論が好きな子やプラネタリウム作りに夢中な子が多いから

それにみんなで観測会やるときは合宿として申請書、出してる
おお…そのへんはきちんとしてるんだな
それくらい部活動として、当然

おい、ちょっと待て

そもそも屋上を使うのにも許可が…

ちょっとなんのことかわかんない
…ったく、お前らは…

”ら”?

どうして複数形?

あ~…

そういえば今はいなくなってしまいましたが、地学部の地質班さんも結構やんちゃなことしていましたっけ

あっ、おい、生物部!

その話題は…

…別に大丈夫

むしろ化学部が気を遣うの、気持ち悪い

あの子の真似をしているわけじゃない

天体観測が好きだからやってるだけ

天文部さん…

…とりあえず部室に戻る

たぶんみんな心配してるだろうし

鍵、開けてくれてありがと
あ、ああ…
(昼の間は星が見えない…)
(その代わり屋上からの見通しは良い)
(退学になった部活動たちがどうなるのかわからないけど、消滅すると決まったわけじゃない)
(もしかしたらあの子はまだどこかで化石を掘っているかもしれない)
キャラクター紹介

文化部さんファイル8

天文部さん:理系グループの隠れた4人目。元々は地学部だったが天体班しか残らず今の形になった。理系トリオとは距離を置いているが別に彼らのことが嫌いなわけではない。星のことばかり考えている不思議ちゃんで天体観測中は暑さも寒さも忘れるためよく体調を崩す。度々屋上で観測会を行うため学校に住んでいるのではと噂されている。


望遠鏡などの機材を必要とするため予算も欲しいと思っているが、仲間(地質班)がいなくなるところを見ているため人一倍廃部に怯えている。


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