第19話 2月6日 ぼくだけの惨敗

文字数 1,867文字

「ありがとうは言わないで。きっとどこかが痛むから。
 あたしは好きでやってるの。だから何にも言わないで。」
 
そう言葉をほき捨ててくれる、
膝を赤くした女性が、大好きだ。

…ってそんなんいるか!
ただのメ〇ヘラじゃねぇか!
しかもそのスラングはダメぇええええええ!!!
ほんとそういうとこだぞ!?
そういうとこだぞお前ぇええええええええ!!!!


さてさて、
私は仕事が終わり、最寄りの駅に到着。
ざ、ざぶい…

まっつぐはけーらず、
ちょいと軽い買い物をする。
といっても昼休みの書き込み通り、
全財産が2千円もないので、

ってどんな38歳ぃいいいいい!!!???
どんな生き方すればそんなになれるのぉおお!!!???
なあ、どうすりゃそんなになれるんだよぉおおおおおお!!!

まあまあ、そう青筋たてんなってぇ。
で、いつもの缶詰と韓国海苔を購入。
…あぁ、200円さえきつくなってきたな。

まあいっか!

家路に就く野良猫。
寒さに凍える野良猫38歳。
淋しさで涙も枯れ果て、金も餌も貰えない野良猫38歳。

うるせいうるせいうるせぇえええええええええええええいいい!!!


ふぅ、ご到着。

「たっだいまー!」

しぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいん。

言葉の書き方一つで、虚しいほどの寂寞も、
何だか賑やかになってしまう。

…おい、お前どんだけ淋しい中年なんだよ。

「さぁてと、さみぃしさみしぃし、アッツイ風呂にでも浸かるかな!」

私は湯を沸かし、その間に晩飯の支度をしておく。
…といっても買った物を並べるだけなのだが。


「お風呂が沸きました。」
「うむ!」

自動音声に相槌を打つ淋しい中年野良猫38歳。

「あ、あじゃ!あじゃじゃじゃ!
 あじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃぁああああああああああ~!
 ふぃ~~!!!…はぁ~~。きもちぇえええ…。」

言葉にならない言葉でもって、
心身の疲れを取る。
ほんっと湯舟ってすげぇなぁ。

風呂上り、
風呂のお湯をそのまま捨てるのは勿体ないので、
洗濯用に再利用!さすが独身!淋しい中年野良猫38歳!!!



風呂桶で浴槽から洗濯機へと手動で移すパワープレイ!
筋トレにもなってお勧めだぜ!!!
だけど、湯冷めしないように気を付けてね♪

…おい、普通もっと効率よくやるもんだろ、中年。

てへっ♪


「ああぁああー!!!
 いい湯だったなぁあああ!!!」

私はテレビもつけず、ぼけぇ~っと一杯始める。

「んめぇええ…」





って何もねぇええええええええええええええええ!!!!!

あ、いやぁ、そうでもないか。

風呂あるし、雨風しのげるこの部屋(まあ賃貸だけれども)もある、
お湯も出るし、電気もつく。あ、ガスだって。
ささやかだが肴もあり、安酒もある。
何より命がある。

じゅうぶんすぎんじゃねぇかああああああああああああああああ!!!

うんうん、十分十分。

あ、そうだ。
またL〇NEたまってるかもしれねぇから覘くか。

私は携帯電話を取り出し、L〇NEを起動した。

「ん?誰だこれ。」
「2月6日出勤なんで、飲みに来てくださいね(はーとまーく)」
「…あ、ああああ。6日って今日じゃねぇか!
 って誰だっけ、この子…」
(相変わらず最低だな…)

まあ、きっとガールズバーに勤めている女の子からの営業L〇NEであろう。

「ふっ、もう恋なんてしねぇ…
 何て言わないよ絶対ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!
 恋してぇし逢いに行きてぇよぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」

…お前、ほんっと救いようねぇな。

うん。

あっ、ついに開き直りやがった!

「ふっ、ゆ~のぉ、さびしさの、なかでぇ~♪
 きみのぉ~えいぎょおおおお~ら〇んにぃ~~♪
 こたえるぅ~、ことがぁ~、できない、ぼくわぁ~♪
 びんぼぉ、だったん、だよねぇ♪」

ネタ古すぎるからぁあああああああああああああ!!!!
全然うまくないからぁああああああああああああああ!!!!
もういい加減にしろよ俺ぇええええええええ!!!
頼むよ俺ぇえええええええええええ!!!!

あ~あ。
行きたかったな~。

ってそれか莫迦!
ほんと金無くて良かったわ!
お前は一生貧乏でいろ!

はぁ~。

でもまあ、金も何にもねぇが、
肴も安酒も美味いし、
何だかんだで今日も良く眠れそうだ!!!!!

それではみなさん、良い夜を!!!!
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