第17話 修也旅行(縁結び神社)

文字数 2,421文字

仙台空港に向かうバスは、俺と明は席が隣。


愛と酒井さんが隣。冬月さんはクラスのあんまり目立たない口数が少ない子の隣に座った。


本当は冬月さんの隣には愛に座って欲しかったけど、そこは強要出来ない…


でも、口数少なくて温厚な子の隣だから少し安心した。


冬月さんが心配で何回も冬月さんの席の方を見てしまうのだが、今のところ上手くやれていそうだ。


そんな俺の様子を見て明に言われた。

そんなに冬月さん気になるのか?(笑)


お前、子供を心配する親みたいだぞ(笑)

それは、転校してきてすぐに班を決めて、テストがあって、修学旅行で、全然まだクラスに馴染めて無いのに心配するだろ。
あのな、もう俺達は学生とはいえ、高校生なんだぞ。


小学生じゃないんだから、冬月さんだって俺達と同い年なんだから、心配いらないだろ。


それにお前ばかりが仲良くしてたらいつまでたっても冬月さんに他の友達が出来ないんだぞ。


少し子離れするときだな(笑)

(明の言うことはわかる…でも、それとはまた違うことで俺は心配してるんだよ…)
冬月さんはクラスの人の前でこそ口調が良くなってきたけど、俺の前だと最初より少し良いくらいでしかない…


ボロが出ておとなしい子が萎縮してしまったりしないといいなってことで、冬月さんよりも隣の席の子を心配してるんだよ…

多分、冬月さんのことだから、ひどいこと言っても自分じゃ気づいてないだろうし、悪気もないんだろうし…
そ、そうだな。
明には話をとりあえず合わせておいた。
バスは、陽キャな奴らが騒いでいて結構、賑やかだった。


俺は眠かったけど、ひたすら明に話しかけられて、寝させてもらえなかった…

飛行機に乗る席は、自由で、やはり仲が良い人同士が固まる傾向にあった。
俺はみんなが行ってからでいいやと思って、明と最後の方に乗ろうとすると、愛や酒井さん冬月さん達も最後の方に乗ろうと思っていたみたいで、一番後ろの列の端から順に座っていった。


俺の左側には冬月さん、右側には明がいる状態となった。

飛行機が離陸すると俺は眠りについてしまっていた…
夢で小さな頃の自分が、知らない女の子と公園の遊具で遊んでいた。


その子は、顔が夢の中ではぼやけていてわからない…


多分、愛ではないということだけはわかる。


そして、夕方になるとお互いの親が迎えに来て、その子が帰り際に行ったんだ「龍一またね♪」って


そこで目が覚めると俺は隣の席のの冬月さんにもたれかかって寝ていたのがわかった…

(よくわかんない夢だったな…)
ご、ごめん…もたれかかってしまって…キモかったよね…
別に大丈夫。気にすることないよ。


疲れてるんでしょ。

(ん?冬月さんにしては珍しく優しい口調だな?)
横を見ると明は起きていて、冬月さんの隣の酒井さんも愛と話しているのが見えた…


(なるほど…周りに聞こえるからか…でも周りが見えるようになってきたんだな。)

そう言えば、今更だけど、班も一緒だし、俺の横にいる、こいつが佐藤 明。


中学から一緒で友達なんだ。悪いやつじゃないから、仲良くしてやってね。

やっと起きたか。何回も冬月さんにもたれかかるから、わざとなのかと思ったら、マジで寝てたんだな(笑)


どうも、よろしくです♪

冬月 千春です、


こちらこそよろしくお願いします。
冬月さんは明に微笑みながら言ったうえに言葉遣いも悪くなくなっている。
明も冬月さんを見ながら何回も頷いている。
俺を挟んで行われるやり取りが、なんかよそよそしいのはさて置き
(随分と今日は冬月さんカワイイキャラ設定だな…)
関西空港について、バスで移動すると無事に初日の団体行動の清水寺についた。


最初は団体行動でいろいろお寺を見たり難なりしていたが、1時間半ほど、お土産を買ったり好きにする時間が設けられた。


明に誘われたけど、用事があると断った。


俺は冬月さんと待ち合わせの場所へ向かった。

縁結びの神社は人気があるのか、他の高校の修学旅行生とかも結構来ていた。


俺が冬月さんと待ち合わせの場所に行くと違う高校の男子生徒に冬月さんはナンパされていた…


何を言われてもフルシカト状態でスマホを見ている冬月さん…


俺がお待たせと言って近づくと、そいつらはどっかへ行ってしまった。

なんか大変そうだったね(汗)とりあえず揉め事ならずに去ってくれてよかったよ(汗)
揉め事なっても龍一ならあいつら簡単にやっつけれるだろ?


見た目は強そうには見えねーけどな(笑)


今日はマジで疲れた。言葉遣いずっと気をつけてんのマジでダルい。


このあと、ホテル向かったら、また気をつけなきゃねーのダルい(汗)

そう?結構冬月さん普通に話せるようになってると思ったけどな。


そう言えば、何でそういう口調なの?

なんでか知らねーよ(笑)自然と出るから、記憶なくす前の私もこうだったんじゃね?


それより龍一、縁結び神社のお守りとか欲しいんだろ?


時間そんなねーんだから、早く行くぞ。

冬月さんにそう言われると俺達は縁結び神社でお賽銭したり、お守りを買ったり、おみくじを引いたりした。
おみくじには二人とも「良縁来たる」と同じことが書かれていた。


俺は2つ買っていたお守りの片方を冬月さんに渡した。

これ、どうぞ。誕生日の日知らなくて、何もあげられなかったからさ(汗)


冬月さんにこれから色々いい縁がありますようにと思ってさ。


いらなかったらごめん…

ありがとな龍一。もらうよ。


いい縁か。私みてーなやつにいい縁あるといいけどな。


龍一待ってる間にゴミみてーな奴らに話しかけられてたけどな(笑)

(ゴミみたいな奴らって…それはちょっと凄い表現だね…(汗))
短い自由行動が終わり、俺と冬月さんは集合場所に戻ると、「龍一、またね♪」そう言って冬月さんは愛や酒井さんの方へ行ってしまった…


冬月さんの言った言葉は夢で見た女の子とまったく同じセリフだった…


(たまたまだよな?冬月さんの幼少期、俺といるはずないもんな。白石 千春は東京都出身なはずだしな。)

そう思うと、明たちが見えたので、そっちに向かった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

上田 龍一(うえだ りゅういち)

城西高等学校2年生

成績、スポーツ、容姿全てが平均的男子。同級生で同じ高校で同じクラスの坂木 愛(さかき あい)に恋をしている。

冬月 千春(ふゆつき ちはる)龍一のクラスへの転校生。

両親離婚前は白石 千春(しらいし ちはる)

元アイドル。そして記憶を失くしている。

坂木 愛(さかき あい)城西高等学校2年生。龍一と同じクラス。


目立つタイプではなく、あんまり人の輪に入ることが得意ではないが、容姿が良いため男子から密かに人気がある。

酒井 真美(さかい まみ)。龍一のクラスメイトで、愛の親友。

佐藤 明(さとう あきら)。龍一のクラスメイトで親友。

神谷 俊(かみや しゅん)。龍一と同じクラスで学年一のモテ男。性格もイケメン。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色