「緑化運動に賛同していただけますか?」
天然モノの侵略者
○桜庭 える(さくらば える)
性別:女
植物好きの両親から生まれ、目一杯の愛を注がれて育ったアイドル。
物心がつく前からガーデニングの知識を叩き込まれ、
初めてしゃべった言葉は「防虫対策」だという。
好きな花は濃紅色のバラ。恋焦がれて止まない。
幼少期を緑化特化政策が施された田舎で過ごし、
どこにでも植物は育つと信じていた純粋無垢な乙女。
可愛い見た目と佇まいが休暇中のスカウトマンの心を射抜き、
12歳にしてアイドルになる権利と上京のチャンスを得る。
意外にも両親の反発も少なく、意味深な笑顔で送り出される。
「あなたも外の世界を知るときが来たのね」
母が最後につぶやいた言葉の意味を、その時はまだ知らない――。
トンネルを抜けるとそこは東京だった。
電車を乗り継いだ先に彼女が見たものは、あまりに無情な大人の世界。
人間都合で近代化の進められた街の末路を見た彼女は、ショックの余り過呼吸を起こし、病院に搬送されてしまう。
舗装されたコンクリートの上ではぺんぺん草一本も生えない。
外の世界を知った彼女は、もう昔のようには振る舞えなかった。
もう植物に囲まれた暮らしは出来ないのだろうか――。
だったら、私が文明を作り変えてしまえばいい。
植物がピラミッドの頂点を飾る時が来た。
病院の個室に少女の狂った笑いが響き渡る。
ナースが駆けつけたとき、そこは草花で埋め尽くされていた――。
能力名:スマイル・ガーデン
笑うことで周囲に草花が咲き乱れる能力。
生える植物は指定が無ければランダムに、
意識することで特定の種を繁殖させることも可能。
冬に向日葵を咲かせるような芸当も出来るが、
その寿命は元の植物のまま。
地球上には存在しない植物を咲かせることも出来る。
彼女は世界有数の魔人アイドルとしてファンを獲得し、
握手会会場やステージを緑に変えていく光景が目撃されていた。
世界が緑一色になる日も遠くない。
戦う動機:武道館を緑に塗り替えるため。
幕内 窮人(まくうち きゅうと)
性別:男性
非魔人の中学生。
アイドルオタの兄・新瑛太(しんえいた)が魔人として目覚めたことで、女性アイドル《C・U・T・E》として嫌々デビューすることになる。
本当はもっと男子中学生らしい青春を送りたいがアイドル業の多忙さがそれをさせてくれない。
しかし気が弱いので魔人となった兄に直接文句を言うこともできなかった。
プロデューサーとしてもマネージャーとしても才能に溢れていた新瑛太が完璧にガードしているため、C・U・T・Eの正体は誰も知らない。
アイコンはC・U・T・Eの姿。
能力名:Cheer Up my Tiny Elf !
新瑛太の魔人能力で、窮人にしか効かない。
窮人を一時的に女体化させる。
窮人は女体化している間、新瑛太以外の人の前では「かわいい女の子」な言動を強制される。
また、新瑛太が激しく応援すればするほど、女の子としての魅力が上がっていく。
新瑛太はアイドルオタを拗らせて「我が家にもアイドルがいればいいのに」と思っていた。
だが現実には弟しかいない。
男性アイドルは望んでいないのだ。
深い絶望が彼を襲った。
弟ではなく妹ならば……。
その考えが新瑛太を魔人へと変えたのだった。
戦う動機(窮人):他の子と揉め事を起こせばアイドル辞められるかな……。
戦う動機(新瑛太):積極的に仕掛ける気は無いが、相手がC・U・T・Eを引退させるつもりなら致し方ない。
作者:qaz