1月23日 廣東粥と開高健

文字数 1,241文字

 晴れのち曇り。
 日本人にとって、お粥とはどんなイメージだろう?

 風邪を引いて学校を休んだ日。母がお粥をつくってくれる。食欲なんてないのだが、白いお粥に梅干しの赤が滲んでいるところがきれいで、見ていると口に唾が溜まってくる。スプーンで掬って、湯気を吹きながらそっと口に運ぶと、やさしい味が舌に沁みる。梅干しの酸っぱさも心地よい。風邪が少し良くなったような、でもこのまま二三日学校を休んでいたいような気分……。

 「廣東粥(グゥアン・トン・ヂョウ)」は、そんな子供時代の甘酸っぱい記憶を思い出させてくれ――ない!
 それどころか、日本人が「お粥」に対して抱くイメージを粉砕してくれるのだ。

 先ず写真を御覧いただきたい。



 見た目が、あまりおいしそうではない。はっきり言って。
 「廣東粥」と言ってもいろいろな味があって、わたしが今日食べたのは、「皮蛋瘦肉粥(ピィ・タン・ショウ・ロウ・ヂョウ)」だ。「皮蛋(ピィ・タン)」は日本の中華料理屋だと、けっこう高級食材扱いだが、台湾では安い。全然特別なものじゃないので、スーパーでもコンビニでも普通に売っている。しかも、なぜか7-11でパックで打っている「皮蛋」が安くておいしい。
 ちなみに、台湾には7-11やファミリーマート(中国語では、【全家便利商店】と表記する)等のコンビニがすごく沢山ある。人口比率的には日本よりずっと多いのではないかと思う。

 以前、日本から来た人に、「おいしい皮蛋を買いたいのだが、どこで打っているか教えてくれ」と言われ、「7-11のがお薦めですよ」と言ったら変な顔をされた。その人はわたしがふざけていると思ったらしいが、実際7-11のが安くておいしいんだから、仕方がない。

 上の写真を見て、「皮蛋」が何処にあるのかという思った人がいるかもしれない。実は、刻むように細かく切られた「皮蛋」が、お粥の中に入っているのだ。それを少し掘り出してみよう(下図)。



 ぐわっという感じで、内部を掘り出してみる。

 うーん。
 ますますおいしそうじゃない。
 どうしたらいいんだ、わたし。

「廣東粥」と言えば、開高健の言葉を思い出す。タイトルは忘れてしまった。小説だったのかエッセイだったのかすら覚えていない。だが、とにかく開高健が「廣東粥」の見た目を「豚の〇〇のようだ」と表現したのだけは忘れずにいる。
 この「〇〇」はさすがにわたしは書けない。
 食欲が大幅に減じること、請け合いである。

 わたしは「廣東粥」を食べるために、この開高健の言葉を思い出し、食欲を減じさせられている。
 どうしてくれるの? 開高健。
 でも、言い得て妙だとは思う。
 そこが、悔しい。

 今日のBGMは何にしよう?
 「廣東粥」が日本人の「お粥」のイメージを吹き飛ばすものなので、BGMは失恋の痛手を吹き飛ばしてくれるものにしよう。

 五月天(ウゥ・ユエ・ティエン)(メイデイ)の「傷心的人別聽慢歌」(失恋したヤツは、バラードなんて聴くな)です。URL:https://youtu.be/xWTiOqJqkk0
 わたし別に失恋してないけど!(これ、前にも言わなかった?)
 


 

 

 

 
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