13 深く想われて

文字数 7,748文字

「レーヴェンイェルム将軍が僕の立場にあったら、この現状にどう対応されますか」操縦席に腰かけてじっと前を見据え、マノンが問いかけます。
「……私であれば」通信器から壮年の男性の声が返ってきます。「そろそろ最後の手段を講じる覚悟を定めつつあるところだろうね」
 その言葉を受けて、マノンだけでなく彼女の隣に座るグリューもまた、音声の出処(でどころ)をぎろりと睨みつけます。しかし二人の険しい形相は、操縦席の背後に置かれた椅子に座るミシスとノエリィの目には入りません。少女たちはただ、緊張した面持ちで肩を寄せあっています。
 いつもは鮮やかな赤紫が一面に広がる甲板は、現在は周囲の岩肌と同化させられています。白々しい朝陽を浴びるカネリアの鉢が、計器盤の上で静かに佇んでいます。昨晩それに背を預けていたレスコーリアの姿は今、グリューの頭の上にあります。
「二度とその手段を採るつもりはありません」凍てつくような声でマノンが告げました。「先日もそうお伝えしたはずです」
 二人の少女が思わず息を呑みます。ひと月のあいだ生活を共にしてきて、彼女がそこまで語気を荒げるのを耳にしたのは初めてのことでした。
「きみらしくないな。そこまで感情的になるなんて」遠く離れた王都ヨアネスにいるレーヴェンイェルム将軍が、小さく息をつきます。
「感情的にだってなります。今は恩師のご息女たちを乗せているんです」
「なにも私は、きみたち自身まで巻き添えにしろとは言っていないつもりだが」
「ですが大きな危険を伴う行為であることに変わりはありません。それにもしその手段を用いたとしても、今とは別の種類の苦境を招くことになるだけかもしれません。この隊を預かる身として、僕にはここにいる全員の自由と安全を守る責務があります」
「与えられた使命がなんだったか、忘れたわけではあるまいね」氷塊を押しやるような語調で、将軍が問いただします。
「無論です」マノンもきっぱりと押し返します。「それを果たすために、今日も僕らはここにいます」
 隣で青年もうなずきます。
「わかっているならいいのだ。これからもその調子で頼むよ、ディーダラス博士。いや、ディーダラス隊長」穏やかな口ぶりに戻って、将軍が言いました。「きみたち特務小隊は、重大な国家機密を(しか)るべき日が来るまで守り抜く任務に就いているのだということを、ゆめゆめ忘れずにいてもらいたい」
「了解しています」
「然るべき日ねぇ」レスコーリアがごろりと寝そべります。「いつになることやら」
「まったくだぜ」グリューも同調します。「それで、レーヴェンイェルム将軍。世界は今どうなってます。王都の混乱もまだ続いて……」
「続いているどころか日毎(ひごと)に深刻化している」将軍が平然とこたえます。「王都だけでなく、この大陸に現存するあらゆる都市と軍事施設においてもね。今となっては、世界のどこに反政府主義者や外部の諜報員が潜んでいるか知れたものではない。まちがってもそのような安全性の不透明な環境に――」
「〈リディア〉を近づけるわけにはいかない」マノンが先んじます。
「そのとおりだ」
「……率直に言います」一呼吸置いて、グリューが口を開きました。「昨日は夜間だったため、そして地の利と光学迷彩がうまく重なってくれたおかげで、なんとか事無きを得たにすぎません。これが仮に昼間だったら、あるいは夜間であってもなんらかの事情で迷彩装置が稼動していなかったら、おそらく発見されていたと思います」
「僕も同意見だ」マノンがうなずきます。「このままパズール近郊を捜索され続けたら、昨晩のような危機の再来は避けられないだろう」
「あの~……」ノエリィがおずおずと発言します。「きっと難しいだろうなぁとは思うんですけど……たとえば、パズールに駐留している王国軍から信用できそうな人を選んで事情を説明して、援助を求めたりっていうのは、やっぱり……」
「そう、やっぱり却下だ」あっさりと将軍が返します。「パズールにはリディアのことを知っている人間も、知られていい人間も、ただの一人だっていないよ」
「〈調律師団〉の人たちでも、ですか?」ミシスが訊きます。
「そうだよ。世界各地に派遣されている総勢数万の調律師団関係者のなかに、リディアの情報に触れることを許された人物は皆無だ」
「あれだけ偉そうにしてる人たちでさえ、そうなんだ」ノエリィが眉をひそめます。
「前から気になっていたんですが」ミシスが首をひねります。「いったい、リディアのことを知っている人というのは、つまり隠す必要がない人は、どれくらいいらっしゃるんでしょうか」
 座席を回転させて振り返り、マノンが説明します。「まず、リディア開発の現場に直接関わった僕と助手くん、それにおなじ班に選抜された開発者や技術者が数名。あとは政府と軍の上層の人たちということになるけど……」
「あ、そういえば」ノエリィがひょっと眉を上げます。「マノンさんたちがわたしたちの家に来た時、この船に乗っていた警備兵の人たちがいましたよね。あの人たちは――」
「彼らは警備兵などではない」将軍が遮ります。「彼らは私の直属の部下にして一騎当千の兵士、〈国王親衛隊〉の者たちだ」
「えっ」少女たちは共に目を丸くします。
「……知らなかったことだらけだね」ノエリィがミシスに耳打ちしました。
「ほんと」ミシスも小声で返します。そして気を取り直して前を向きます。「たしか、わたしたちのところへいらっしゃる前に、マノンさんたちはどこかの実験場に滞在してたっておっしゃってましたよね。なら当然、そこにいた人たちはリディアのことをご存知なのでは」
「この場合の『実験場』というのは、いわゆる暗号名の一種だよ」将軍が代わってこたえます。「その正体は、リディア建造のためだけに用意された極秘開発工場だ。開発計画の完了と同時に解体されて、今では跡形も残っていないがね」
「そしてそこに立ち入ることが許されたのは、王都から送り込まれたおれたち開発班だけだった」グリューが続きます。
「あれ、じゃあグリューとマノンさん以外の人たちは、どうしてうちに来た時に一緒じゃなかったの?」ノエリィが首をかしげます。
「他の者たちはそこにいる二人とは別行動で王都へ帰還した。各地の研究施設の視察を兼ねつつ、軍用車と鉄道を利用してね」やや冷ややかな口調で、将軍が説明します。「そこにいる二人は、なにがなんでも寄り道して帰ると言って聞かなかったものでね」
「んっ……」マノンが中途半端な咳ばらいをしました。
「あぁ」ノエリィが苦笑します。「そういうことですね」
「よく許してもらえたもんですよ、ほんと……」グリューがかぶりを振りました。「その後、開発班のみんなはどうしてますか」
「全員健在だ」
 操縦席の二人は顔を見あわせ、共に吐息をつきました。
「では、班に選ばれなかった他の同僚たちは」マノンが続けてたずねます。
「そちらは若干名欠員が出ている。だが残った者たちはみな無事だ。彼らには、ディーダラス博士一行は地方の研究所に避難していると伝えてある。心配いらない」
「それじゃ、それ以外にリディアを知ってる人っていうのは……」ミシスが質問を続けます。
 将軍が簡潔に回答します。「国王陛下。政府の最上層組織〈長老連(ちょうろうれん)〉。軍の統率者の私。そして今しがた名の挙がった国王親衛隊の者たちと、マノンたち開発班の者たち数名を除けば、あとは各騎士団の団長と副団長だけが、〈リディア〉ときみたち特務小隊の存在を認知している人間のすべてだ」
「騎士団」聞き馴染みのないその単語を、ミシスがぽかんとした顔でくり返します。
 グリューが180度座席を回して、少女たちに面と向かいます。
「ホルンフェルス王国軍には、個々の技能や資質に応じて選出された精鋭で構成される〈騎士団〉っていう組織がいくつかあるんだ。で、平たく言うと、王国軍のなかで将軍に次いで偉いとされてるのが、その各騎士団の団長や幹部の連中ってわけ」
「なるほど」ノエリィがうなずきます。「じゃあ、これだけ厳重に秘密にされてるリディアのことを知らされてるってことは、その人たちはとても重要な立場にいるってことなんですね」
「そうだよ」将軍がこたえます。「彼ら彼女らはみな、その出自や家柄からして王家と繋がりの深い、いわば血の盟約で結ばれた者たちだ」
「それはともかくさぁ、結局あたしたちこれからどうするのよ」青年の頭上で四つん這いになりながら、レスコーリアがぼやきます。「将軍、なんか知恵を授けてよ。世に名立たる名将なんでしょ」
「言ってくれるね、レスコーリア」将軍が小さく笑います。「難しい局面だ。その場に留まり続けるのも、そこを出てあてもなく移動するのも、どちらも等しく危うい賭けだ。しかし常識的に考えるなら、昨晩その近辺でなんの成果も得られなかったばかりの相手が、間を置かず再びおなじ場所へ捜索に出てくる可能性はやや低い、ということは言えるかもしれない」
「やや……って」マノンが鼻を膨らませます。
「逆に言うと、間を置いたらまた戻ってくるだろうってことですよね」グリューが指摘します。「それがいつになるのかってのを、ぜひとも知りたいところですよ」
「さて、どうだろうね。一時間後かもしれないし、一日、一週間、あるいは一カ月後かもしれない。それは誰にもわからない」将軍が淡泊に応じます。
「ちょっとぉ。そんなの身も蓋もないじゃない」レスコーリアが身を起こして糾弾します。
「安易に希望をでっち上げるよりはましさ。そういうものに(すが)って任務に失敗した者をごまんと知っている」
「つくづくやな人種ねぇ、軍人って」
「……あの、レーヴェンイェルム将軍」ふいにミシスが口を開きました。
「なにかな。ミシス」
「もしも世界がこんなことになってなかったら、いったい今頃、リディアはどこでどうしていたのですか」
「ここにあった」間髪入れず将軍がこたえます。「この、王都中枢に。発顕因子を有する躯体であることは伏せたまま、試作体の一つと称して極秘裏に保管される予定だった。そして必要になる日が来るまで、その存在自体を秘匿し続ける約束だった」
「……そう、ですか」思わしげに虚空を見つめて、ミシスはうなずきます。
「だがあまりにも急激に政情がひっくり返っちまって、それができなくなったってことだな」グリューが気だるげに肩をすくめました。
「えっと……」ノエリィがわずかに身を乗り出します。「将軍、わたしも一つよろしいでしょうか」
「かまわないよ」うなずくような衣擦れの音が、通信器から伝わってきます。
「この際、思いきってどこか別の土地へ逃げてしまうというのは、どうしても許されないことなのでしょうか。どこでなにをしたって危険であることに変わりないのなら、ここでじっとしたまま見つけられるのを待つよりは、少しでもより良い道を探して自分たちから動く方が、よっぽど前向きなんじゃないか……って、わたし、どうしても思ってしまいます」
 彼女のまわりの全員が思わず身をひねり、一斉にその眼鏡の奥のひたむきな瞳に見入ります。
「気持ちはわかるよ、ノエリィ」(しず)やかに将軍がこたえます。「もちろん、それも選択肢の一つにはちがいない。とは言えやはり、厳しいだろうね。定期的に水と食料の調達が可能で、なおかつその巨大な船を隠匿するのに適した場所が再度見つかるという保証は、残念ながらどこにもない。このような事態になって以来われわれの方でも検討を重ねてはきたが、結論から言うと、現在きみたちが潜伏しているビスマス地方東部以上の環境は、なかなか見あたらない」
 低いけれどよく通る将軍の声音に同調するように、操舵室内の空気もまた厳かな静寂に沈みました。わるい夢でも見ているような気分に包まれる一同の身を、事情を知らない夏の太陽がどこまでも祝祭的に照らしています。
「ところで、きみたち」いっそう声を低くして、将軍が沈黙を破りました。「〈緑のフーガ〉のことは知っているな」
 唐突に意外な名を耳にして、一行は揃って狐につままれたような表情を浮かべます。
「ええ」マノンが一拍置いてうなずきます。「昨日補給に赴いたミシスたちが、パズールの市街地で彼らの怪しい動きを目撃したばかりです」
「怪しい動き?」
「軍事訓練を積んだっぽい身元不明の男が二名、その集団と接触して行動を共にしてたわ」レスコーリアが面倒くさそうに報告します。
「パズールは、さほどコランダムと繋がりの深い都市ではなかったはずだ」将軍が言います。「だがそのような土地でさえ、そういった不穏な動きが持ち上がるようになっているのだ。戦前からコランダム公国と同盟関係にあり、彼らの此度(こたび)の決起にも陰ながら加担したはずの旧諸国領において、あの集団の影響力はいかほどだと思うかね」
「まさか」マノンが顔を歪めます。「あの独立宣言からたったの一カ月程度で、そこまで台頭してきたというのですか?」
「そういう報告を毎日大量に受けている。王都のなかにも、いや王都のなかだからこそと言うべきか、〈緑のフーガ〉の思想は急速に浸透しつつある。もともと潜在的に存在していた反王権派や過激派の連中と合流して、日に日に水面下での動きも大きくなってきているようだ」
「静観なさるおつもりですか?」マノンが鋭く目を細めます。「放っておくと、このまま雪だるま式に……」
「彼らは実にうまくやっているよ」こともなげに将軍は言います。「あらゆる思想と団結の自由を保障する、戦後の新憲法に則ってね」
「だからって……」レスコーリアが呆れたように通信器を見おろします。
「彼らが今後も着々と勢力を増し、やがてはコランダム軍と手を結ぶようになるのは、火を見るより明らかだ。そしてそれを食い止めるのは、もはや誰にとっても難しいだろうね」相も変わらず穏やかに、将軍は語ります。「相当な軍事力を保有しているとはいえ、現在のコランダム軍は拠点以外に支部を持たない単なる武装組織にすぎない。だが、ゆくゆくは〈緑のフーガ〉を媒介として、世界各地に活動の足場を築いていくことだろう。その進展の速度は、われわれの取締りをわずかに上回ると予測される」
「いくらなんでも冷静すぎやしませんか、レーヴェンイェルム将軍」マノンが嘆息します。
「私はいつでも冷静さ」言葉どおりの落ち着いた調子で、将軍がこたえます。「なに、案ずるな。われわれにも考えがないわけではない。こういった政治的な事柄はこちらに任せておけばいい。ともかく今きみたちが危惧すべきなのは、あの集団の急成長にともなう捜査網の拡大だ」
「えっ」ノエリィが息を詰まらせます。「それってつまり、コランダム軍は緑のフーガの人たちにわたしたちの捜索の協力を取りつける……ってことですか?」
「そうならない方がおかしいとは思わないかね?」
「そんな……」ミシスがうなだれます。「あの人たちは、緑色のスカーフを外してしまえば、ごく当たり前の一般市民の方々ですよ。そんな、世界のどこにいたっておかしくない大勢の人たちから、いつまでも姿を隠し続けなくちゃいけないなんて」
「ますますお出かけしづらくなっちゃったね」嘲笑的な口ぶりとは裏腹に、レスコーリアはその両目に怒りの火を燃やします。
「今夜そちらへ補給隊を送る」いささかの前触れもなく将軍が告げました。
「……は?」マノンとグリューが同時に目を点にしました。
「積めるだけの保存食と各種資材、そして船とリディアの整備を担当する技術者たちを乗せて、こちらから飛空船を一機、きみたちのもとへ派遣する。今から全速力で飛べば、夜には到着するはずだ」
「え……え? どうして、急に……」ミシスが不思議そうに首をかしげます。
「今後なにがどうなっていくにせよ、今の一瞬の隙をついて態勢を万全に整えておくのが賢明だという、こちらの判断によるものだ」
「それは……素直に助かります」ほっと息をついて、マノンが背もたれに身を預けます。「でも、本当に大丈夫でしょうか? いくら用心しても、多少は目立つ動きになってしまうはずですが」
「危険は承知だが、言ってしまえば今後もずっと間断なく危険ではあるのだ。それにもう自分たちでの補給と整備が難しいのであれば、こうするしかあるまい。まぁ、そう心配するな。これもまた当初から想定されてあった一案でもあるのだ。迅速な作戦行動が可能な選りすぐりの者たちにも、すでに声をかけてある。仮になんらかの危機に見舞われたとしても、彼らならひとまずその場を切り抜けることくらい容易(たやす)いはずだ」
「迅速な、って」グリューが疑わしげに眉根を寄せます。「けっこうな量ですよ。おれたちが必要とする補給物資の量は」
「想定してあると言っただろう」将軍が即座に返します。「たしかに普通の人間であったら丸一日かかりかねない作業だろうが、彼らなら問題はない」
「普通の人間?」ノエリィが首をひねります。
「ではさっそく今から召集しよう。いつでも飛び立つ準備はできていると、彼女は言っているからな。すぐに出発できるだろう」
 その言葉を耳にした途端、グリューの顔面が一瞬で蒼白になりました。そしてまるで背骨を抜かれてしまったかのように、体をぐったりと前のめりに倒しました。その拍子に彼の頭上から滑り落ちそうになったレスコーリアが、短い悲鳴をもらしました。
「……彼女?」いつになく暗い声で青年がつぶやきました。
「ああ」将軍がうなずきます。
「ちょっと……ちょ~っと、待ってください!!」いきなり頭を振り上げて、グリューが絶叫しました。
「わっ!?」ノエリィがのけぞります。
「なになに、どうしたのグリュー?」ミシスも腰を浮かせます。
「だめです! あいつはだめです!」青年は髪を振り乱してわめきます。
 うんざりした顔をして、レスコーリアはやかましい椅子から離れました。
「だめ?」将軍が言います。「なにがだめなのかね」
「リディアとおれたちの事情を承知していて、普通の人間じゃない女っていったら、あいつしかいないじゃないですか!」
「そんなふうに言うものではないぞ、グリュー。彼女は許婚(いいなずけ)のお前の身を案じて、毎日三度は私に伝話をかけてくるぞ」
「いっ!!」ミシスとノエリィが手を取りあって叫びます。「許婚!?
「勘弁してください、将軍! 他にも適任者はいるでしょう!?」青年は懇願します。
「あははは」マノンがお腹を抱えて笑います。「深く想われて幸せだね、助手くん」
 冷ややかな目つきで青年を眺めていたレスコーリアが、叩くように指先を振るって顕術の風を放ち、乱れに乱れた緑の前髪を押し上げてやりました。そして、刺すように一言浴びせました。
「落ち着きなさいよ、馬鹿」
 やがて自分の力の及ぶところがないことを悟った青年は、追い込まれて観念した小動物のように身を縮め、すっかり黙りこくってしまいました。
「そういったわけで、今夜きみたちのもとへ特別編成された小隊が到着する。その後のことは、また機会を改めて協議するとしよう」最後に将軍が告げました。「では特務小隊の諸君、首を長くして待っていてくれたまえ。王国騎士団が一つ〈(きよ)(てのひら)〉副団長、クラリッサ・シュナーベルの指揮する補給隊の到着を」
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登場人物紹介

◆ミシス・エーレンガート


≫主人公。エーレンガート家に家族の一員として迎え入れられ幸福な日々を過ごしていたが、思わぬ形でコランダム独立の騒乱に巻き込まれ、ノエリィと共に丘の家から旅立つことになった。

◆ノエリィ・エーレンガート


≫ミシスの親友であり家族でもある心優しい少女。望まぬ形で軍に連行されるミシスを独りにさせまいと、ほとんど押しかけるようにして〈特務小隊〉の一員となる。

◆マノン・ディーダラス


≫本職は科学者であり発明家だが、カセドラ〈リディア〉を守護するため急造された部隊〈特務小隊〉の隊長を務めることになった。同隊が移動式拠点として利用する飛空船〈レジュイサンス〉も、彼女の発明の賜物。

◆グリュー・ケアリ


≫マノンの腹心の助手。彼女に付き従い、ホルンフェルス王国軍極秘部隊〈特務小隊〉に所属する。飛空船での暮らしにおいては、もっぱら料理係と操縦士の役割を務めている。

◆レスコーリア


≫マノンたちに同行するがまま、〈特務小隊〉に加わることになったアトマ族の少女。相変わらず自分流に気ままな日々を過ごしながらも、密かに隊の皆を見守っている。

◆クラリッサ・シュナーベル


≫世界最強の顕術士一族として知られるシュナーベル家の長女。優れた顕術士ばかりで構成される王国騎士団〈浄き掌〉の副団長を務める。グリューとは許婚どうしで、マノンやレスコーリアとも旧知の仲。

◆ゼーバルト・クラナッハ


≫新生コランダム軍を率いる将軍。統一王権からの離脱と祖国独立の宣言を発し、全世界に対し戦後最大級の衝撃を与えた。

◆ライカ・キャラウェイ


≫新生コランダム軍に所属する軍人。エーレンガートの丘での失態の後、妹のレンカと共に小部隊を率いてミシス一行を追撃する。

◆レンカ・キャラウェイ


≫エーレンガートの丘で勃発したカセドラどうしの戦闘によって重傷を負い、その後しばらくのあいだ治療に専念していた。

◆ヤッシャ・レーヴェンイェルム


≫国王トーメ・ホルンフェルスの名代として、マノン一行に〈特務小隊〉としての任務を与えた。以後さまざまな手段を用いて、先の見えない困難な日々を送る同小隊を遠く王都より支援する。

◆ハスキル・エーレンガート


≫愛する娘たちと離ればなれになり、我が子同然の学院校舎が損傷してもなお、決して希望を失うことなく毎日を前向きに生きている。

◆ピレシュ・ペパーズ


≫幼少時より人知れず抱えていたカセドラ恐怖症の劇的な発作により、長期に渡って入院生活を送っていた。恩師ハスキルに護られながら、徐々に回復へと向かう。

◆ドノヴァン・ベーム


≫十年ほど前に王都から忽然と姿を消した、伝説的な大科学者。レーヴェンイェルム将軍の幼馴染みにして、マノンの恩師。現在の彼の動向を知る者は極めて少ない。

◆プルーデンス


≫ベーム博士と共に暮らすアトマ族の少女。博士とおなじくアルバンベルク王国の出身。幼い頃から過酷な環境を生き抜いてきたためか、非常に気立てと面倒見が良い。

◆〈リディア〉


≫ホルンフェルス王国軍が極秘裏に開発していた最新型のカセドラ。本来ならカセドラが備えるはずのない、ある極めて特異な能力をその身に宿している。操縦者はミシス・エーレンガート。

◆〈フィデリオ〉


≫コランダム軍が新たに開発した特専型カセドラ。操縦者はライカ・キャラウェイ。

◆〈コリオラン〉


≫フィデリオと同一の鋳型を基に建造された姉妹機だったが、リディアとの交戦の末に大破した。かつての操縦者はレンカ・キャラウェイ。

◆〈□□□□□〉


≫???

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