第2話 まともな生活を!と、銭湯!、と訓練!

文字数 6,316文字


「でぇーーーーー!!!やったーーやっとべっどだぁああーーーー!!!!」山田がベットに飛び込んだ。
「げぼっつ!!硬い、、、」わら敷きのベットだな。マットレスがまだないのか、高級品なのか、、



町に入ってすぐに、町の洋服屋?仕立て屋?みたいな高級店、町で最も高い品を売っている店に行き、今来ている服を売りたいと頼んだ。
まず俺の服を売って金をもらって、山田と神田が男子全員分の中古の一般人向け服を買ってきて、次に山田と神田の服を売り、皆で女子の服を買いに行き、そこで着替えて女子の服を先程の店に売りに行った。
全部で金貨30枚になった。

山さんが言うには、町中にいる人たちは大体月に大銀貨1枚から5枚ほどの稼ぎらしい。この町は、ものの値段を知らなくてもそれほどぼったくる者などほとんどいないので、客が多い店なら問題ないとのことだった。ほんと良い情報くれるよね山さん。

宿「野うさぎとイノシシ亭」は朝飯付きで大部屋銀貨3枚。ベットを追加でいれてもらい、5人で泊まる。女子が一緒なのは安全性がわからないからだ。
この宿も山さんおすすめのところ。比較的安全で値段が手頃で飯がうまいとのこと。うさぎシチューと角イノシシ料理が得意とのこと。看板そのままだね♪。
この町は全体的にいやすい安全度の高い町らしい。放り出された最も近場の町がこれ、ついている!

風呂がある宿も無いこともないらしいが、高級宿なので値段が桁違いとのこと。「だったら家を借りて風呂を作ればいい、そのほうが安く済む」とのことだった。勿論収入のめどが立ったら実行しよう!と皆で決めた目標!!
現状はトイレの水桶から水浴び。石鹸買ってきといた。トイレって、洋式便座!でも手動水洗、手桶で水桶から水汲んで流す、ってやつ。水桶の水が無くなったら、外の井戸から汲んでくる。

神らしきものが言った「強くなれ」。これを忘れたらいけない。毎日寝る前と朝起きた時に、心の中で復唱するようにしようと思う。


翌日、町中を散策。どこになにがあるのか?どの店がよさそうか?客が多いか?などを見て回った。5人いると結構いろいろな意見が出て効果的だ。

飯は、スープもの、焼きもの、が大半。油の流通量が少ないのか高いのか、炒めもの等中華っぽいのは見あたらない。洋風なかんじだ。塩はあるが、少々お高いようで、料理は薄味だ。スパイスも同様で胡椒らしきものも控えめだ。
まぁ、塩と胡椒さえあれば食っていけるらしいんだが。

その翌日、午前中から武具屋のはしご。
2軒目の武具屋のおっさんがあたりで、「おまえにはこれだ」と勝手におしつけてきた。
が、持ってみるとしっくりくる。最初の店で買ったものと種類がちがかったりしたが、このおっさんの助言に従ってみることにした。最初の店で買ったのは幾分質が劣るものだったので予備武器にすることにした。
店の名前を覚えておこうと看板見たら、ガッツの武具店、、、、ww
薬草類の店とかも教えてもらった。ガッツには俺らがど初心者だと最初からばればれだった。
その後ギルドへ。



ギルドに登録し、初心者のカードをもらい、講習やってもらう。
依頼掲示板で初心者用のをいくつか見た。野草採取があった。
目的の野草の資料を資料室の本で確認、記憶力の良い沖田と小田に覚えてもらう。
職員に聞くと、森の入り口付近に生えているはずだという。依頼を受ける。職員は猛獣や魔獣は「まず出ない」と。
今日はもう昼過ぎなので明日行くことにする。ギルドで武器の訓練ができないかと聞くと、通常はやっていないが、希望すればやってくれると。なのでお願いした。

「俺はガンコー。このギルドのマスターだ。さて坊主、穣ちゃん達、ど初心者に見えるんだが、、」
「「「「「はい!」」」」」
なるほど頑固親父か、、、神さま、、手抜きかよ、、、

「にしては、適性に合わせた武器をうまく選んだな、ガッツか?」
「はいそうです。最初の店ではうまくなかったんですが、二軒目にガッツさんとこで」俺。
「ついていたな。第一段階はOKと。最初は適性に会った武器を選ぶことからだ。でないと死ぬ」
「「「「「・・・・・」」」」」

「びびらんでいい。死なないための講習だ。それぞれ構えてみろ。」
両手剣、片手剣、槍、弓、
ガンコーは構えた姿勢をどんどん直していく。
剣は素振り、弓は放ちまで空で。を2時間ほど。
少しでも姿勢が崩れると直される。
「今日はここまで。これを毎日できれば1000回ほど振れ。それがお前らを生かす。死にたくなければ毎日振れ」

一拍おいて、
「今日は俺はまだ時間がとれる。魔法やってみるか?適性のあるものはほとんどいないんだが、あったらラッキーだぞ?」
「おおおおお!キタコレーーーっつ!!!」山田ーーー!!
皆ワクワク顔を見合わせているっ!!
「「「「「お願いしまっす!!!」」」」」

結局適性出たのが女子2人。俺ら男子は「まだ不明だな、、ありそうなんかないんだか微妙、、、」とか言われた。
ただ、「毎日訓練してみろ、生えるかもしれんぞ?」適性って生えるもんなんかい!!!

「気」の訓練みたいなものだ。イメージ重視?
女子は「気を回すと、すぐに体があったまって、そのうち熱くなる」そうだ。
俺らは「なんとなく感じるような感じないような、、、」とちょっと情けない。が、まったく無いと決まってたわけじゃない!!もしおれらにも生えたら「転移者は適性が生えやすい」ということになるなー、クラスの他の奴らを考えてみると、危険か?とも思えるが、、、奴らの中の我儘なやつらに生えたら、、盗賊団とかになっちゃうんじゃね?

翌朝、早めに起きて朝飯前に素振りを行った。山田の腕時計で2時間はかかった。

ーーーー

「ねぇ、このブーツ、靴底硬いのは疲れにくいから良いんだけど、インナー無いから痛いよね?」

俺らは依頼遂行のために森に向かっている。徒歩2時間程度だという話だが。
もう森が近いかな?くらいになったときに沖田が言った。今言っちゃいけないのにっ!!帰るまで黙っててほしかったのにっつ!!

「で、考えたの。敷革が大きめだから、端をちょっと使って中敷きにしたらどうかな?」皆ズボンの尻に獣の革を広げてさげて尻の部分を隠す感じにしている。一応、いきなり後ろから獣が来た場合少しは防御になるし、座るときにズボンが濡れたり汚れたりしないし地面の冷たさを感じないで済む。あれば結構便利なものだった。
「「「「それだ!!!」」」」
「なんだみんな痛かったんじゃん!・・ぷ!」

各自縦部分と横部分から靴の大きさに合わせて切り取り、敷いてみた。毛の向きに気をつければ中で滑らない。
中で遊びがある者は、少々大きめに切って前後左右に盛るようにしてみた。
全員まえより具合が良くなったようだ。

「こういう小さいことと思えるようなことの積み重ねが、俺達を長生きさせるんじゃないかな?」
何気に言うと、みな「うんうん」と大きく頷いた。皆神らしき者の言葉をしっかり覚えているんだろう。
「強くなれ、自分で強くなれ。でも、仲間がいるときは、仲間と一緒に強くなっていく」
と沖田。記憶力は良いな。俺は「自分で・・」は忘れていたわ。
「良い仲間といると、相乗効果で強くなれるだろうな」
現在の俺らのことを俺は言った。

でもクラスの他の奴らは、足を引っ張り合って悪循環に陥ることも少なくないだろう。いまどうなっているか考えるのも怖いわ。皆の顔が微妙になっているのは、やはり俺と同じことを考えたのではなかろうか?



「ふんふんふーーん、いぬのふんーーー、ふんふんふーんねこのふんー」
「おい神田、なんだそりゃ?」
「いや、さっき採取したところで糞を見たからー」
「「「「言えよ!!!」」」」
「いや、小動物、猫くらいの糞だったよ?」
「はい!沖田くん!!」
「こっちでは、猫、うさぎくらいでも魔獣というものがいる。うちら一人じゃ、今のレベルなら不味いんじゃないか?程度だが何か?」
「ごめんなさいっ!!こんどっから言いますっ!!
「糞の中身を見れば、草食か肉食かがわかる場合もある。できれば調べたいよね。なんでも良いから、なんかあったら言い合おう!」
沖田男前じゃん、
「「「「らーじゃー」」」」

結局、普通のイノシシの子供だったみたいで、採取中、団体で俺らの前を通り抜けていった。
採取は完了できた。俺ら自分たち用にも少し取っておいた。どくだみと同じような効能だという。部屋の隅に吊るして乾燥させる。



そんなこんなでだいたい毎日採取を続けた。
週に一度はギルドで武器の訓練を受けた。
毎日の素振りの成果で「正しい振り方が身についた」とのことなので、今は「型」を教えてもらっている。
なので毎朝の鍛錬が増えた。素振りは続けていくもんだ、とのことなので、新しく覚えた型を何度もやる。身についた素振りの時間は半減していたので、型も身につけばさほど時間もかからなくなるだろう。
もし「一人だったら・・」と考え、、多分朝練はサボってたなー、そう思うと怖かった。
女子の弓は型は無いので、実射。宿の庭は小さいので、近距離で小さい的に。また、女子も剣の素振りは覚えさせられた。なので毎朝振っている。


こっちに来てからひと月近くになった頃、夕飯を宿の一階で摂っていると、山さん達が入ってきた。
「やまさん!!!」俺が最初に気づいて思わず声を上げた。
「おお!お前ら!生きてたかー、なんだ、いっちょまえな見栄えになってるな!安心した、、。」
「「「「その節はーー」」」」

山さん達はとりあえず部屋を取り着替えて降りてきた。
「銭湯には行ったのか?」
「「「「「は?」」」」」なにその懐かしくも激しく思い焦がれる響きは?!
「一ヶ月もいて知らないのか?気持ちいいぞ?」
「「「「「気持ちいいのは知ってますから!!!」」」」」
俺らは速攻で飯を終え、山さんたちに連れて行ってもらうことにした。

「いやー、風呂なんてどんだけぶりだろう?体が覚えているだろうか?!!」
「そんななんか?」
「いえ、やく一月ぶりでしょうけどwでもそれまで毎日入っていたんで、それからこっちじゃ体を拭く程度しかしていないんで、、、川に水浴びにでもいきたかったんっすけどねー」
「川は危ないぞ」
「寄生虫とかですか?」
「いや、魚系のモンスターがな、食われるぞ?」
「ピラニアかい!!!」
「なんだ知っているのか。」
「まじっすか!!」
同じ名前の同じような習性かよ、、まてよ?地球のピラニアってこっちから、、、まさかな?な?
皆の顔を見ると、似たように青い顔をしていた。

そんなんも、風呂を出たら皆ピンク色のニッコにっこ顔だ!!
一人大銅貨2枚なので頻繁には行けないが、週一くらいでいきたいものだ。
でも大金貨1枚程度で庭付きの小さめな家が買えるので、節約すべきか?これは会議だな!
危惧したとおり、女子たちに押し切られてやっぱ週一に銭湯。


で、宿に帰って山さん達は晩飯と晩酌。俺らはエールをちびちびとつまみで、山さん達とお話。
何やら山さん達は妙な話を仕込んできたらしい。
多分、残されたクラスの奴らのことだろう、と俺も山田もピンときたので皆の顔をみたら、やっぱピンと来ていた様子w似たもの同士だな俺ら!!


「お前らに最初に出会ったときのお前らの服装と似たような物を着た若い奴らが何人か奴隷に売られていったそうだ。勿論その服など全て奪われて。
また、別のところで小さな商隊が、変わった服装の若い奴らの集団に襲われたそうだ。そいつらは武器を使わず、というか持っておらず、何人かが強力な魔法を使って攻撃したらしい。商隊の護衛はすぐに全滅だと。

お前らの関係者かどうか知らないが、お前らは今は力がないだろう?何も気にする必要はない。気に病むなよ?
今のお前らには力がない、どうすることもできないのだから。力がある者たちがなにかをすればいいだけだ。

どれいの件は気の毒としか言えないが、それこそ知恵と努力と、その上での運だ。
お前らは事前に用意していた。
俺らと出会った運を使い、戦う努力をして勝ち取った。
奴隷になった奴らはそれが全てなかったか、何かがなかった、だけだ。

お前らは、今は自分たちが強くなり、生きていくことに不自由しないようになるために努力をすればいい。
今まで以上の努力をすれば、きっと、行きたいところまで、とは言わんが、それなりにまで行けるだろう。
余計なことは気にするな、考えるな。」

山さんはどこまでわかっているんだろう?見通す力でももっているのか?と思わせるくらいだった。
他の者たちは俺みたいにぐれていないんで、素直に聞き入り、しんみりしていた。これが本物の大人の説教、なんだろうな。ありがたい、心から思った。


「で、俺らのチームはこれから数日は休暇でのんびりする。その後なんかしらの依頼を受け、多分また町を離れるだろう。その休暇中に、お前らを一度か二度、狩りに連れて行ってやる。戦いを見ないと戦い方はわからないからな」

感激に皆潤んだ目を山さんに向ける!!
「・・でも、どうしておれらにそこまでしてくれるんですか?」

「・・俺らだって最初は初心者、何もわからなかった。でも同じように教えてくれた人たちがいるんだ。その人たちに同じように聞いたんだ、そしたらな、
『俺らも最初は初心者だった、そのときにこんな感じで教えてくれらた人たちがいた。その人になぜそこまでしてくれるのか?と聞いたら、”お前らが一人前になったら、初心者で素直な良い子達がいれば、同じように助けてやれ。”と。』
カッコよかったなーーー、思い出すと今でも痺れるわー」

「わかりました。俺らも山さん達やその先輩たちをすっげーかっこいいと感動してます!それを継承します。な?」
「「「「おう!!」」」」
おれらは素直でいい子らしい。素直な子でよかった!!素直に育ててくれた両親、友人どもよ!ありがとう!!おまけに神もな!
その晩は皆結構酔っ払った。嬉しかったからなー♪


翌々日、
少し離れた場所で山さんチームの戦いを見ていた。
その後山さんチームのミーティングを聞いていた。
そして、山さん達が俺達に説明してくれる。俺らのチームの各人の戦い方、連携をアドバイス。

再度山さんチームの戦いを見る。今度は戦いを見る見方が変わっていた。
戦い後の山さんチームのミーティングに参加。質問や意見を言い、返答をもらい、アドバイスを受ける。

もう一度山さんチームの戦いを見て、ミーティングやって、今日は町に帰る。
余力を残したうちに止めるのが「生き残る重要なコツ」だという。
「帰りになにがあるかわからんだろう?帰りに全滅する者たちも結構多いんだ」とのこと。
力の殆どを使い切ってバテバテを魔獣や盗賊どもにおそわれちゃぁなぁ。


翌日、山さんチームの戦い後のミーテイングの後、俺らのチームで狩りをしてみた。
最初は獣。ミーテイングをしてから、
山さんは「そのまま彼らにやらせよう」。俺らの連戦でよいとのこと。

魔獣を見つけて戦った。前に戦った一角いのしし?なんとかボアとか呼ぶらしい、3頭の小群れと。
なんとか大きな怪我もせずに戦いきった。ミーティングでは結構指摘された。

その後、大っきめの牛みたいの単独、更にまたなんとかボア5頭と。
最後のミーティングでは、「まぁなんとか形になったな。この程度の相手を選んで、やり続けなさい。もう一段階上の相手とやりたいな、と思い始めたら、そこから10回は今までのレベルの相手をこなしなさい。その全てで全く危ういところがなかったら、2−3頭の魔牛の小群れらいから始めなさい」とアドバイスもらった。
俺達の中では山さん達は兄貴姉貴(魔法使いの人は女性だった)になっていた。

翌々日、山さん達は護衛の仕事を受け、隣の領まで出発した。
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