第10話

文字数 485文字

「どうするニャ?」
「出られないニャ」

みんな、大弱り。
イチゴのなかは暗くて寒いし、おなかもへってきます。

「このままじゃ、みんな死んでしまうニャ」
「キメさん。あんた、魔法使いなんだから、にゃんとかしてください」
「そんなこと言われても、どうしようもないニャ」

「にゃあ。たよりにならないニャ」
「魔法の使えない魔法使いなんて、魔法使いじゃないニャ」
「ニャアッ。魔法は使えるニャ! プライドが傷ついたニャ」

みんな、おなかがへって、カリカリしています。
大人たちはケンカを始めました。
子どもたちは泣きだしました。

自分のせいで、みんなが争うのを見て、しんるは悲しくなりました。

こんなことなら、最初から、みんなとわけて食べればよかったよ……。

「あっ、そうだ!」
しんるは、いいことを思いつきました。

「みんなでイチゴを食べようよ。みんなで食べれば、オバケイチゴだって、きっと小さくなるよ」

しんるたちは、いっせいに、デカデカイチゴにかぶりつきました。


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