第4幕

文字数 248文字

 「あいつ、両親に捨てられたらしいよ」
 ああ、転入生のことか。
 僕はすぐに理解した。
 転入生のれいという男は両親に捨てられ義理の親に育てられたらしい。
 しかし、その家庭も貧しいようだ。
 結局、彼は今、クラスで孤立している。
 いつも一人。
 
 「君、名前はたしか、れい、だよね」
 彼は不安げな視線を僕によこした。
 でもこくんと頷いた。
 僕は彼と少し話をした。
 それから毎日彼と話をした。
 
 弱者に接することの喜びを知った。
 
 彼は間違いなく弱者だ。
 彼は僕に従うはずだ。
 従うのではなかったのか。
 
 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み