第13話 最高位の神・ゼウス
文字数 3,493文字
天界へと続く階段が見えた。ファイアドレイクは急降下した。
「これより先は歩いていかないといけないようだ。上空には結界が張られている。黄道十二宮と呼ばれる場所だ。面倒だが仕方がないな」
階段を登っていくことにした。天兵とよばれる兵士が階段を降りてきた。
「いたぞ。あの黒猫が大罪人オテロだ」
周りを囲まれた。
「ここは俺にまかせて、先に行け」
ファイアドレイクは火炎弾を放った。前方の天兵の囲いが乱れた。その隙に階段を登って行った。
アズリエルはゼルエルと戦っていた。女の戦い。両方がオテロを身近に置きたい者同士。
「オテロは、あなたに渡さない」
「オテロは私の側にいた方が幸せのハズだ。私がズーッと可愛がってやるからな。オテロのことは忘れろ!」
剣と鎌がぶつかり、すれ違う度に会話をする。
「あなただけには渡さない」
「その粋だ、アズ。負けるんじゃないぞ!」
アズリエルはゼルエルの白い羽が気に入らなかった。同じ天使なのに羽が黒いだけで意味もなく、のけ者にされてきた過去がある。産まれてくるなら白い羽がよかったと幼少期に思っていた。その白い羽をもつ天使が今度はオテロを奪い取ろうとしていることに怒りをおぼえた。
「あなたは私のオテロを略奪するつもりなのね。許せない」
「オテロは私のものだー」
「ちがう。あなたのは愛じゃない。そんなあなたにオテロは渡せない」
めずらしくアズリエルはヤル気満々。上空でいくどもゼルエルと、うちあっていた。
先に進んだものの次々と現れる天兵に困っていた。全力で戦えばどうということはないが、天位議会のある神殿まではできるだけ体力を温存したい。
「オテロ、助けにきたぞ。ここはオイラにまかせろ」
困っているところにアムルガルが突然、現れた。
「よくここにいると分かったね」
「うーん。まー、勘が当たっただけだけどな。ブルハのじじいが『街へ向かうより、こっちにオテロ殿は現れるだろう』と言っていたからな。半信半疑だったが、急いできて正解だったな。久しぶりに暴れるぞー。村で退屈だったからな。力は、ありあまっているんだ。お前ら、覚悟しろよ」
アムルガルは次々と天兵を倒していく。強いのは知っていたが、これほどとは思わなかった。ここは任せて、先へと進んだ。
やっと階段の終わりが見えてきた。
「コオォォォ」
この場所を守る者だろうか? 色違いの三体が襲ってきた。
「コオォォォ」
三位一体の攻撃。体力を削る者、味方の盾となる者、槍となり、貫通攻撃する者。
(やっかいなヤツらが現れたな)
体力温存ができそうにない。本気で戦おうと構えた時だった。
「オテロ。やっと会えた」
なつかしい声。かつて一緒に冒険した仲間。アディの銃が赤色の守護者をとらえる。急所に銃弾が命中する。
「大丈夫?」
「ありがとう、助かったよ。でも、なんでここに・・・」
「なんでって? そんなの決まっているじゃない。あなたを助けにきたのよ」
「こんな危険な目にあわせてしまってゴメン」
「あやまらなくっていいわよ。私達は仲間でしょう。みずくさいわよ。それにあなたは私の夢をかなえてくれた。仲間に反対されても、私だけは助けにくるわよ」
涙がこぼれた。泣いていると後ろから頭を叩かれた。
「バカ弟子。お前をそんな軟弱に育てたおぼえはないぞ。『カムイ無双流・天弦』」
ダーシェ師匠は紫色の守護者を蹴り飛ばす。結界を突き破り、ソイツは空のかなたへキラーンと消えた。
「こんなヤツらでは修行の相手にもならんな」
はじめてみた。師匠の本気。真のカムイ無双流伝承者の姿。いつもの重りつきの服装ではない。白装束にも見えるチャイナドレス姿。
「オテロ、ソイツは俺に任せろ」
レグスは盾役の黄色の守護者をつらぬく。
「どうして、ここに」
「どうしてじゃない。俺達は家族みたいなもんだろう。助けにくるのは当たり前だ。一人で先走ってんじゃねえよ」
「・・・ゴメン」
「まー、仕方がない。こうなった以上、後戻りはできないからな」
「いたぞ、オテロだ。つかまえろ」
「まったく、しつこいヤツらだ。ここは俺にまかせて先にいけ。オテロの答えはこの先にあるんだろう。いって解決してこい!」
「ありがとう」
こうして黄道十二宮を突破。天位議会がひらかれる神殿へ向かった。
「ゼルエルよ。頼みがあるのだが、戻ってきてくれないか?」
ゼルエルが振り向くと、下にケガをしているミカエルが見えた。
「この勝負はおあずけだ」
剣を横に振り、アズリエルを遠ざけると急降下。アズリエルはその隙に黄道十二宮を登って行った。
「ミカエル様、その姿はいったい?」
「面目ない。兄さんに勝てなかった」
「兄さん?」
「あぁ、ルシファーと私は双子の兄妹なんだ。別に隠していた訳でもないんだがな」
「えーっ、はじめて聞いたのですが・・・」
ゼルエルは絶句。白の大地を半分焼失したのが、実は、ただの兄妹ゲンカだとは、開いた口がふさがらない。
「すまんが近くの森に回復のスキルを持つ者を探して、連れてきてくれないか?」
「わかりました」
「すまんな。大至急、頼んだぞ」
ミカエルは座りこんだ。
ゼルエルは急いで森へ向かい、ドライアドを連れてきた。
「ミカエル様、大丈夫ですか?」
ドライアドはすぐに回復スキルを発動。みるみるケガが治っていく。
「助かった。ありがとう」
「ミカエル様、これからどうするのですか?」
「ゼルエル、私はこれから兄さんを追いかける。悪を討つつもりだ」
「えっ、また兄妹ゲンカですか? 止めてください。これ以上は白の大地が失くなります」
「いや、何か勘違いしているぞ。兄さんは悪ではない。今は説明している時ではない。時間がない。先を急ぐぞ」
ミカエルは黄道十二宮をかけ上がった。ゼルエルはドライアドと一緒にミカエルを追いかけた。そこらじゅうに天兵が倒れている。焼け焦げた者。斬られた者。息のある者。ケガをした者。状態はちがうが、戦意は無かった。動ける者はレグス、アムルガル、ファイアドレイクに倒されていた。ドライアドは傷ついた天兵を見捨てては先にいけない。治療をしていた。ゼルエルはドライアドをその場に残し、ミカエルを追いかけた。
「大罪人オテロ、猫のくせによくもやってくれたな。ここまでくるとは、天兵どもはどこへいった。守護者はどうした?」
「仲間が倒してくれたよ。私は貴方をゆるさない。どうしてあんな命令をしたんだ。酒場のマスターは私に巻き込まれただけだろう。捕まえる必要も殺す必要もなかったハズだ。なのに、なぜなんだ」
「お前は、なにもわかっておらん。猫だから仕方がないのかもしれんが、人間は存在自体が悪なのだ。だから我々は神として導く必要がある。法と秩序はそのための物だ。ルールを破った者は裁かれる。その協力者もだ。まずオテロ、そもそもキサマがいけないのだぞ。街のクエストを全部クリアするとは思わなかった。しかも、二つの街でだ。我々は、なんらかの対策をうたねば、他の街もクエスト無しになってしまうだろうと考えた。キサマのような冒険者が現れるとは思わなかったのだ。別の世界からの冒険者。今から思えば見つけ次第、三人の冒険者を排除すればよかったと後悔している。誰がなんの企みで呼んだのかわからんが、もっと警戒すべきだったな。・・・だが、ちょうどよい。排除する者が目の前にいるのだからな。我が自ら、消してやろう。我が名は天空神ゼウス。全知全能の神だ」
ゼウスは雷撃を放ってきた。すかさずかわしたが、地面をつたい、電撃が襲いかかる。なんとか跳んでかわすことができた。
「おのれ、ちょこまかと逃げおって・・・」
次々と雷撃が天から落ちる。よけるだけで精一杯。
だが、注意はひけた。おとり作戦。
「カムイ無双流・天弦」
師匠の一撃がゼウスに命中。
「おのれ、人間の分際で神に手をあげるとは不届き者め」
「手はあげてない。まだ、足だけだ」
「へ理屈を言いおって、許さんぞ!」
雷霆を放つゼウス。本気をだした。神殿が溶解する。
「もうこんなオセロニア世界のことなんて滅ぼしてやる。また、無から作り直してやる。ハッハッハー」
雷霆により、白の大地も黒の大地も一部が溶解する。
(まずい、このままではこの世界が失くなる)
その時、救世主が現れた。
「これより先は歩いていかないといけないようだ。上空には結界が張られている。黄道十二宮と呼ばれる場所だ。面倒だが仕方がないな」
階段を登っていくことにした。天兵とよばれる兵士が階段を降りてきた。
「いたぞ。あの黒猫が大罪人オテロだ」
周りを囲まれた。
「ここは俺にまかせて、先に行け」
ファイアドレイクは火炎弾を放った。前方の天兵の囲いが乱れた。その隙に階段を登って行った。
アズリエルはゼルエルと戦っていた。女の戦い。両方がオテロを身近に置きたい者同士。
「オテロは、あなたに渡さない」
「オテロは私の側にいた方が幸せのハズだ。私がズーッと可愛がってやるからな。オテロのことは忘れろ!」
剣と鎌がぶつかり、すれ違う度に会話をする。
「あなただけには渡さない」
「その粋だ、アズ。負けるんじゃないぞ!」
アズリエルはゼルエルの白い羽が気に入らなかった。同じ天使なのに羽が黒いだけで意味もなく、のけ者にされてきた過去がある。産まれてくるなら白い羽がよかったと幼少期に思っていた。その白い羽をもつ天使が今度はオテロを奪い取ろうとしていることに怒りをおぼえた。
「あなたは私のオテロを略奪するつもりなのね。許せない」
「オテロは私のものだー」
「ちがう。あなたのは愛じゃない。そんなあなたにオテロは渡せない」
めずらしくアズリエルはヤル気満々。上空でいくどもゼルエルと、うちあっていた。
先に進んだものの次々と現れる天兵に困っていた。全力で戦えばどうということはないが、天位議会のある神殿まではできるだけ体力を温存したい。
「オテロ、助けにきたぞ。ここはオイラにまかせろ」
困っているところにアムルガルが突然、現れた。
「よくここにいると分かったね」
「うーん。まー、勘が当たっただけだけどな。ブルハのじじいが『街へ向かうより、こっちにオテロ殿は現れるだろう』と言っていたからな。半信半疑だったが、急いできて正解だったな。久しぶりに暴れるぞー。村で退屈だったからな。力は、ありあまっているんだ。お前ら、覚悟しろよ」
アムルガルは次々と天兵を倒していく。強いのは知っていたが、これほどとは思わなかった。ここは任せて、先へと進んだ。
やっと階段の終わりが見えてきた。
「コオォォォ」
この場所を守る者だろうか? 色違いの三体が襲ってきた。
「コオォォォ」
三位一体の攻撃。体力を削る者、味方の盾となる者、槍となり、貫通攻撃する者。
(やっかいなヤツらが現れたな)
体力温存ができそうにない。本気で戦おうと構えた時だった。
「オテロ。やっと会えた」
なつかしい声。かつて一緒に冒険した仲間。アディの銃が赤色の守護者をとらえる。急所に銃弾が命中する。
「大丈夫?」
「ありがとう、助かったよ。でも、なんでここに・・・」
「なんでって? そんなの決まっているじゃない。あなたを助けにきたのよ」
「こんな危険な目にあわせてしまってゴメン」
「あやまらなくっていいわよ。私達は仲間でしょう。みずくさいわよ。それにあなたは私の夢をかなえてくれた。仲間に反対されても、私だけは助けにくるわよ」
涙がこぼれた。泣いていると後ろから頭を叩かれた。
「バカ弟子。お前をそんな軟弱に育てたおぼえはないぞ。『カムイ無双流・天弦』」
ダーシェ師匠は紫色の守護者を蹴り飛ばす。結界を突き破り、ソイツは空のかなたへキラーンと消えた。
「こんなヤツらでは修行の相手にもならんな」
はじめてみた。師匠の本気。真のカムイ無双流伝承者の姿。いつもの重りつきの服装ではない。白装束にも見えるチャイナドレス姿。
「オテロ、ソイツは俺に任せろ」
レグスは盾役の黄色の守護者をつらぬく。
「どうして、ここに」
「どうしてじゃない。俺達は家族みたいなもんだろう。助けにくるのは当たり前だ。一人で先走ってんじゃねえよ」
「・・・ゴメン」
「まー、仕方がない。こうなった以上、後戻りはできないからな」
「いたぞ、オテロだ。つかまえろ」
「まったく、しつこいヤツらだ。ここは俺にまかせて先にいけ。オテロの答えはこの先にあるんだろう。いって解決してこい!」
「ありがとう」
こうして黄道十二宮を突破。天位議会がひらかれる神殿へ向かった。
「ゼルエルよ。頼みがあるのだが、戻ってきてくれないか?」
ゼルエルが振り向くと、下にケガをしているミカエルが見えた。
「この勝負はおあずけだ」
剣を横に振り、アズリエルを遠ざけると急降下。アズリエルはその隙に黄道十二宮を登って行った。
「ミカエル様、その姿はいったい?」
「面目ない。兄さんに勝てなかった」
「兄さん?」
「あぁ、ルシファーと私は双子の兄妹なんだ。別に隠していた訳でもないんだがな」
「えーっ、はじめて聞いたのですが・・・」
ゼルエルは絶句。白の大地を半分焼失したのが、実は、ただの兄妹ゲンカだとは、開いた口がふさがらない。
「すまんが近くの森に回復のスキルを持つ者を探して、連れてきてくれないか?」
「わかりました」
「すまんな。大至急、頼んだぞ」
ミカエルは座りこんだ。
ゼルエルは急いで森へ向かい、ドライアドを連れてきた。
「ミカエル様、大丈夫ですか?」
ドライアドはすぐに回復スキルを発動。みるみるケガが治っていく。
「助かった。ありがとう」
「ミカエル様、これからどうするのですか?」
「ゼルエル、私はこれから兄さんを追いかける。悪を討つつもりだ」
「えっ、また兄妹ゲンカですか? 止めてください。これ以上は白の大地が失くなります」
「いや、何か勘違いしているぞ。兄さんは悪ではない。今は説明している時ではない。時間がない。先を急ぐぞ」
ミカエルは黄道十二宮をかけ上がった。ゼルエルはドライアドと一緒にミカエルを追いかけた。そこらじゅうに天兵が倒れている。焼け焦げた者。斬られた者。息のある者。ケガをした者。状態はちがうが、戦意は無かった。動ける者はレグス、アムルガル、ファイアドレイクに倒されていた。ドライアドは傷ついた天兵を見捨てては先にいけない。治療をしていた。ゼルエルはドライアドをその場に残し、ミカエルを追いかけた。
「大罪人オテロ、猫のくせによくもやってくれたな。ここまでくるとは、天兵どもはどこへいった。守護者はどうした?」
「仲間が倒してくれたよ。私は貴方をゆるさない。どうしてあんな命令をしたんだ。酒場のマスターは私に巻き込まれただけだろう。捕まえる必要も殺す必要もなかったハズだ。なのに、なぜなんだ」
「お前は、なにもわかっておらん。猫だから仕方がないのかもしれんが、人間は存在自体が悪なのだ。だから我々は神として導く必要がある。法と秩序はそのための物だ。ルールを破った者は裁かれる。その協力者もだ。まずオテロ、そもそもキサマがいけないのだぞ。街のクエストを全部クリアするとは思わなかった。しかも、二つの街でだ。我々は、なんらかの対策をうたねば、他の街もクエスト無しになってしまうだろうと考えた。キサマのような冒険者が現れるとは思わなかったのだ。別の世界からの冒険者。今から思えば見つけ次第、三人の冒険者を排除すればよかったと後悔している。誰がなんの企みで呼んだのかわからんが、もっと警戒すべきだったな。・・・だが、ちょうどよい。排除する者が目の前にいるのだからな。我が自ら、消してやろう。我が名は天空神ゼウス。全知全能の神だ」
ゼウスは雷撃を放ってきた。すかさずかわしたが、地面をつたい、電撃が襲いかかる。なんとか跳んでかわすことができた。
「おのれ、ちょこまかと逃げおって・・・」
次々と雷撃が天から落ちる。よけるだけで精一杯。
だが、注意はひけた。おとり作戦。
「カムイ無双流・天弦」
師匠の一撃がゼウスに命中。
「おのれ、人間の分際で神に手をあげるとは不届き者め」
「手はあげてない。まだ、足だけだ」
「へ理屈を言いおって、許さんぞ!」
雷霆を放つゼウス。本気をだした。神殿が溶解する。
「もうこんなオセロニア世界のことなんて滅ぼしてやる。また、無から作り直してやる。ハッハッハー」
雷霆により、白の大地も黒の大地も一部が溶解する。
(まずい、このままではこの世界が失くなる)
その時、救世主が現れた。