あとがき
文字数 688文字
青い鳥文庫は好きでよく読ませてもらってるけど、子どもにもわかるほど少ない語彙で、子どもだましではないストーリーをつむぐ児童文学は自分の中の力では書けないと思ってます。
けどこの話は児童文学でしか表現しようのない話だと覚悟を決めました。
言わずもがな、この話はフランク・ボーム「オズの魔法使い」をベースにしています。カンザスに住むドロシーと犬のトトは竜巻でオズの国に飛ばされ、カンザスに帰るため脳みそのないかかし、心のないブリキ男、勇気のないライオンとともにオズ大王のもとへ向かうストーリーはあまりにも有名。青い鳥文庫からも松村達雄さんの訳が出ています。またジュディ・ガーランド主演の映画と名曲「虹の彼方に」も広く知られています。
あの話のパンチラインは「望むものは自分の中にある」なのですが、それが自分の中にない子どもはどこへ帰ればいいのか? というのが自分の出発点でした。
だから、この話の主人公は帰るべきふるさとを持たない少女です。そして心を、知恵を、勇気を持たない少年たちはどうしてそれらを失い、そこから再生するかの過程を重視しました。
虹は空気中に残った水滴が日光に反射して起こる現象です。だから太陽と雨の名を持つチームが戦い、そこに起こる化学反応を虹と表現しました。
ただ、この話はまだ本体を持ちません。ここにあるのは骨組みだけで、まだ血や肉を得るには至りません。
「書いてくれ」「続きを読ませて」という声がない限り、それをする必要もないのかも知れません。それでも書くかもしれませんが。