123話 鶉(うづら)となり

文字数 267文字

男が、京の南はずれにいる女を、最近あきてきたと感じたのか、
こんな歌を詠んだ。
 
 随分ここへも 通って来たけど 私が出てったら
 ずっと寂れて 草も深くなるよね
 
女の返し歌。
 
 そうなったなら わたしは鳥の(うづら)となって 鳴きましょう
 わたしを狩りに あなたが来てくれるでょうから
 
と詠んだので、男は心に感じ、去っていく気はなくなった。
 
   *
 
 年を経て 住みこし里を いでて()なば
 いとど 深草野とや なりなむ
 
 野とならば 鶉となりて 鳴きをらむ
 狩にだにやは 君は来ざらむ
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