第5話(10)

エピソード文字数 1,700文字

『ゆ、優星?』
(いやはや、俺はホントにアホだ。滅多に使用しないから、アレの存在を忘れてたわ)

 この『アレ』を使えば、優星に他の攻撃方法がなくても。三人に声を届けられなくても、勝てる!

(……アイツは、元凶なんだけども。少しは感謝しないといけないな)

 俺は額に手を当ててククッと笑い、下げていた右手を真上にかかげる。

「白金人間、お遊びは終わりだ。もう仕舞にするぞ」

 カメラを見るに、この状況は引き続き中継されているっぽいので――当初の目的を果たせそうなので、例のキャラで終結を予告。それからコッソリ『虹の増速』を発動させ、次の行動を10倍にした。

「魅里ちゃんを傷付ける者は、許さない!! 色紙優星、倒す!!

 悪いが、倒されるのはアンタだ。いくぜ神蔵さん!

(――――!!

 俺は10倍速で、ある言葉を紡ぐ。
 コレは、別に聞き取れなくてもいいんだ。どんな形でも、『言えば』いいんだからな。

「魅里ちゃんを傷付ける者は、許さない!! 色紙ゆうせ……」

 突如俺らの頭上に現れた、物体――。ドデカい金色の太陽を目の当たりにした白金人間は、たまらず舌を止めた。

「色紙、優星……。な、んだ、あれ、は……?」
「普段は特殊な結界を張って悟られないようにしているが、俺は聖金術ってのも使えてね。それでお前を倒すことにしたのさ」

 というのは、もちろん大嘘。俺はさっき10倍の速さで、『レミア、命令だ。神蔵王器に死なない程度の聖金術をぶつけろ』と指示。魔王使いの力を使い、魔王様に術をぶっ放してもらったのだ。

『なーる、考えたな優星。見物人どもは、お前を詳しく知らない』
(だから、何を言ってもやっても疑われない)

 詰まる所、特技を追加し放題。好きなだけあとから付け足せるのである!

「王子様よ、とっておきを出してやるんだからな。光栄に思えよ?」

 俺が口の端を吊り上げると、黄金の太陽が破裂。宇宙誕生のもととなったビッグバンを想起させる閃光と爆音と衝撃が、フィールドに襲い掛かる。

「ぐあっっ! あぐ! ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 これはレミアが操る術であり俺達は間近にいるため、光や熱が神蔵さんと俺に激しく降り注ぐ。
 しかしながらこっちには、『金硬防壁』がありますのでね。なんら影響ありません。

「あがっ! あがっっ! あがっっっ! あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 最後に一際眩い光を放ち、役目を終えたゴールドの太陽は消える。そうして聖金術がこの場を去ると、


 ボロボロになった神殿。
 平然としている俺。
 白金色の肌が黒こげになった神蔵王器さん。


 この、一つと二人だけが残った。

「ぁ、か、く、ぅ……。みさと、ちゃんを、きずつける、も、は……ゆ、さない……」

 神蔵さんは戦闘体勢を取るが、満身創痍。立っているのがやっとで、きちんと喋ることすらできなくなっている。

「ほぉ~、あの聖金術に耐えたか。お前は弱いが、俺以外だと束になっても勝てないだろうな」

 白金族さんの惑星が狙われないようにするため、さらっと強さをアピールしておく。これでこの人が俺に負けても、襲撃されることはないだろう。

「…………確か、神蔵王器という名だったな。今のでテメェを気に入った」
「がぁ……。が……。がぁぁ……」
「お前は、もっと育ててから殺してぇ。次に会った時は消し炭にしてやるから、それまで鍛えてろよ?」

 最初の流れだと、殺さないのはおかしいですからね。始末しなくていいようにして、やっと立っている神蔵さんの首を掴む。

「は、な……。はな、せ……」
「またな、強者よ。『チェンジ・マナ』、発射!」

 掴んでいるため射程距離1センチの究極奥義が当たり、ソレは彼の体力を魔力に変換する。

「ぅ、ぁ! ぁあっ! ぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ…………………」

 変換された魔力が全てこちらに流れ込むと、神蔵さんはついにダウン。今は非常事態中ゆえ勝利を告げる音は鳴らないが、最強決定戦のチーム部門は俺達の優勝で幕を閉じたのだった。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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