3 4つの政策

文字数 1,381文字

文明活動の本体である経済・社会活動を、
豊かにするのが技術、健全に保つのが政策であり、
技術の具現化に必要なものが物的資源、
政策の実現に必要なものが人的資源だとすると、
政策は次の4つに分類できます。


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(1) 直接社会に働きかけて人々の利害を調整する、
 直接ルートともいうべき、経済・社会政策。
 経済政策には産業・金融・財政政策、
 社会政策には福祉・保険・労働政策があります。

(2) 政策実現の必要条件たる人的資源を確保する、
 間接ルートともいうべき、人的資源政策。
 これには教育政策や、保健(公衆衛生)政策があります。

(3)(制度・政策も広い意味では経済・社会活動の一部なので)
 制度・政策自身の健全性を保つための、
 自助ルートともいうべき、行政管理政策。
 これには行政組織内部における他の3ルートともいうべき、
 予算・組織運営、人材育成・健康管理や、
 技術開発・施設整備・業務管理があります。

(4)(科学・技術も広い意味では経済・社会活動の一部なので)
 技術の健全な開発・利用を図る、
 互助ルートともいうべき、技術的(ハード的)政策。
 これには科学研究・技術開発を助ける研究・開発政策や、
 科学・技術の大規模な物的資源化を助ける社会基盤(インフラ)政策、
 科学・技術の経済・社会活動内における健全な利用を助ける
 社会工学的政策があります。

以上が、文明論からみた4つの政策です。

ところで、〝文明の星〟理論(仮説)によれば、
上記の分類と全く対称的な形で、技術もまた4つに分類できます。


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それは、直接ルートとしての主力(核心)技術、
間接ルートとしての関連(周辺)技術、
自助ルートとしての研究・開発技術、
互助ルートとしての社会工学的技術です。

また社会工学的技術には、企画支援技術(オペレーションズ・リサーチ)
教育技術、組織・会計技術があります。

以上のような政策と技術が解決すべき、現実の具体的な社会問題を、
富(資源、財)の生産と分配という視点から見ると、
次の4つに分けられると思います。



① 資源枯渇
…… 特定の資源が不足すること(資源入手の困難)
② 環境破壊
…… ある資源の利用が、環境内にある他の資源を損なうこと(資源利用の衝突)
③ 貧困・不公正
…… 資源の分配が、文明の発展上好ましくない状態になること(利害調整の困難)
④ 戦争・犯罪
…… 公正感覚の不足や齟齬(そご)(食い違い)による行動、
あるいはその是正活動が、さらなる資源の損失を招くこと(利害調整の失敗)

しかし、4つの問題は相互作用の関係にあります。
技術と政策という解決手段にも、助け合うところがあります。

そこで、こうした問題を解決していく道筋(みちすじ)を、
政策と技術、それぞれの側から見たものが、
両者の各4ルートであるといえましょう。

(詳しくは、拙作『文明の星』をご覧ください。)
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