裏切り

文字数 646文字

ある日、理恵が未来を訪ねて来た。

いきなり未来は理恵に頬をビンタされた。

「翼と会ってるんでしょう!」

突然の事で頭の中が真っ白になった。

「全然、会ってないよ。」

最近は、残業続きで翼に愚痴を言う暇さえない。

「?つき!裏切り者!」

「だから、会って無いって。」

理恵は顔を真っ赤にしてアパートの部屋に入れてくれない。

そこに息を切らした翼が来た。


「理恵、何してるんだ?」

翼が、怒っている理恵に聞いた。

「翼が好きな人って未来なんでしょう?」

数秒の沈黙が流れた。

「そうだけど…。」

聞いた理恵自身が一番驚いた様子だ。

「やっぱり、大学生の時から怪しいと思ってたんだよね。二人してわたしを騙してたんでしょう?」

「未来が、そんな女に見えるのか?」

翼の言葉が理恵を逆撫でする。

「見えるわよ!未来は美人で可愛いし…。それに…。」

「それ以上言ったら今度は俺が本気で怒るぞ。」

翼は理恵に静かに言った。


「何よ!裏切り者のくせに、お互いを庇い合うの?」

翼が、理恵の頬を叩いた。

理恵は、信じられないという顔をして頬を押さえた。

「翼、何もそこまで…。」

「未来は黙ってろ!」

翼は、本気で怒っていた。

「こうなったら、本当の事、言う。」

「やめろ!理恵…。」

「じゃあ、わたしとまた付き合って、結婚を前提に。」

未来は、理恵の本当の事が気になった。

「二人とも、何を隠してるの?」

未来は、小さな声で二人に聞いた。
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