異 序曲
文字数 384文字
廻りて巡る、運命の歯車
一度回り出せば、止められぬことを知っていよう
来たりて来たれ、約束の丘
彼の想いが手足となり、世界を殺めてしまう前に
二つが一つに交わる晩 再び彼女が目を開ける
三柱の願いが、清く正しきものならば
「……感じる。感じる、主の鼓動……」
「……巫女様」
奉じられた銅鏡に膝を付く女。その隣に歩み寄る少年は、僅かな焔が揺らめくこの闇の中で瞳を細めた。
「やっと……やっとこの恥辱から、解放されるのだな」
「……はい。はい、そうです」
女は、その言葉とは裏腹に首を横に振った。
「これが正しいことであるのか、……私にはわからぬ。だが、遅かれ早かれこうなることは確かであった。……仮に、主の怒りを買うとすれば……嗚呼、お許しを……お許しください……」
「……」
少年は、声を掛けられなかった。