第20話 カマレーロ

文字数 5,963文字

その後すぐに会議は終了した。
次の会議開催の予定は不明である。
散らかった会議室を他の侍女達と片付けながら、メグは考えていた。
(近衛隊長を潰せばミカエルは決議案に署名するだろうか?いいや、あの冷静なミカエルがその程度で意見を変えるとは思えない。カテリーナの口から署名するよう後押しさせては?いや、政治に無関心なカテリーナの口からそのような言葉が出たら私が怪しまれてしまうだろう。メリンダから言わせてはどうか?あるいは母親の言うことなら聞くだろうか・・・?)
「メグ、手が止まっていますよ?」
そのメリンダがメグの前に突然現れて言った。
どうやら考えにふけるあまり、仕事をおろそかにしてしまったようだ。
「・・・大変申し訳ございません。」
謝りながら仕事の手を早めるメグ。
しかし、その手をそっと、メリンダは遮った。
「もういいわ、ここは他のメイドに任せて貴方はカテリーナの面倒を見てちょうだい。」
突然の言いつけを受けどぎまぎするメグ。
「しかし・・・。」
「カテリーナが直々に貴方を指名しているの。」
メリンダは優しく微笑んでいる。
「今日から貴方は彼女の専属よ。」
メグの事実上の昇進に、他の侍女や執事達は手を止めて羨ましそうな目でメグを見つめている。
優しく、他人への気遣いが出来るカテリーナは王宮内でも、国民からも人気が高い。
その彼女から直々に指名されたとなれば、着任早々、メグは自分の能力の高さをあっさりと証明してしまった事になる。
カテリーナの専属メイドというポストは前々から狙っていた者も少なくはないだろう。
「あなたたち、手を動かしてちょうだい。」
メリンダが全員に聞こえるよう静かに言うと、慌てて作業に戻るメイド達。

「あら、メグ!ご機嫌麗しゅう。」
メグが寝室に入るとカテリーナは膝に載せて読んでいた本を閉じながら言った。
彼女は窓を背にベッドに腰掛けている。
聡明そうな大きな双眸は青く、髪の色は薄い茶色である。
顔立ちは不思議なほど整っており、まさに王族然とした物腰の柔らかさも備えている。
「・・・カテリーナ様、その後のご体調はいかがでしょうか?」
綺麗にお辞儀したのちにメグは尋ねた。
「うん、すごく良いわ。この子も喜んでるみたい。」
目線を伏せ、お腹を撫でながら言うカテリーナ。
「・・・それはなによりでございます。」
努めて嬉しそうに言うメグ。
彼女が宿しているのは王の跡取りになることが半ば確定した子供なので、さっさと始末してしまいたいのがメグことデガータの本音だ。
「・・・何かご入り用でしょうか?」
微笑みながら尋ねるメグ。
「うーん・・・。いいえ、特に無いわ。」
素早く起き上がろうとしてよろめくカテリーナ。
慌ててメグは駆け寄ると彼女の腕をそっと掴み支えた。
「おっとっと、いけない。駄目ね、私ったら。」
はにかむカテリーナ。
「ご無理をなさらず。」
「ありがとう、メグ。優しいのね。」
笑顔を浮かべてカテリーナはメグにお礼を言った。
「どちらへ?」
カテリーナが体勢を立て直したのを見届けると、メグは掴んでいた腕をそっと離した。
「手紙を書きたくて・・・。」
もじもじとしながらメグに伝える。
「・・・長い間机に向かうのは体に毒でございますよ?」
さも当然のような口調でカテリーナにアドバイスをするメグ。
「えっと、でもなるべく早く返事を書きたくて、それに私の筆跡じゃないと駄目なの。」
戦時なので郵便物は全て検閲されている。
他国へと運ばれる文書なら尚更である。
スパイ狩りの弊害であった。
「・・・左様でございますか。」
しばらく思案してひらめくメグ。
そして、二人の間に流れていた気まずい沈黙を破るようにメグは言った。
「この王宮に大工仕事の得意な者はおりますか?」
カテリーナに尋ねると、
「うーん、居るとは思うけど、どうして?」
眉間に皺を寄せ、疑問符を表情で表すカテリーナ。
「私に考えがございます。」
しかし、そっとほほえむメグ。

「わあ!これすごく便利ね!」
王宮お抱え大工の職人技に目を輝かせて喜ぶカテリーナ。
メグの書いた図面を元に王宮の大工が作ったのは、折りたたみ式で車輪の付いたテーブルであった。
テーブルを畳んだ状態では歩行補助にもなる。
王妃の頼みとあらば腕によりをかけて作る、と半日も経たずに集団での流れ作業であっという間に品物を完成させたのだ。
メグの書いた図面の精巧さと、カテリーナの人望の高さがうかがえる出来事だ。
「・・・お喜びいただけて幸いでございます。」
笑みを浮かべたメグであるが、内心複雑であった。
何を隠そう、以前、身ごもった魔王の妃、エルザが似たような物を作らせて使っていたのだ。
そのときエルザは自分からひらめいていた。
完成品を見た際の彼女の笑顔が脳裏に焼き付いているメグことデガータは目眩に似たものを少し覚えていた。
「本当にご両親はお医者なのね!元気にしてらっしゃる?」
うきうきとメグに尋ねるカテリーナ。
事前に調べた情報と脳内で照らし合わせて、メグは答えた。
「既に他界しております。そのため侍女として住み込みで働くようになった次第です。」
無表情で答えたメグにぎょっとし、申し訳なさそうなカテリーナ。
「ごめんなさい、私ったら。」
ベッドに腰掛けるカテリーナ。
「お気になさらず。」
意気消沈したメグを見て慌ててフォローするメグ。
そして微笑みながら、
「お茶を淹れ直しますね、お手紙と羽ペン、インクもお持ちします。」
とカテリーナに告げた。
「ええ、お願い。」
と笑顔を返すカテリーナ。
そして、膝に載せた手紙を読む。
すると、
「ねえ、メグ?」
と嬉しそうに彼女に呼びかける。
「何でございましょうか?」
メグが聞き返すと、
「アンヌったら、デミトリに告白したみたい!上手くいったそうよ!」
拳を握って振りながら子供のようにはしゃぐ。
「左様でございますか。」
テーブルにお茶と筆記用具一式を置くとメグはカテリーナと一緒に手紙を読んだ。
「拝啓 カテリーナ様 デミトリに勇気を振り絞って告白しました。
すると、デミトリも以前から沢山話しかけてくれる私の事を好いてくれていたそうで、二つ返事で承諾してくれました。
今は幸せでいっぱいです。
カテリーナもミカエル様とはこのように気持ちが通じ合っているのでしょうか?
不思議です。
セラームは議会で徴兵令が可決されたそうです。
ひょっとしたらデミトリも戦場に赴くのでしょうか?
そのことを考えると胸が張り裂ける思いです。
やっとデミトリと一緒になれたのに、離れたくは無いのです。
ミカエル王は息災ですか?
サミュエル様のご足跡も気になります。
何か良いお知らせがあると信じています。
敬具 アンヌ・エリザベッタ」

「アンヌったら、もう!隅に置けないわね。」
読み終えて嬉しそうなカテリーナ。
「・・・失礼ですが、アンヌ様とはどのようなご関係ですか?」
探りを入れるメグ。
「アンヌは近所の幼なじみよ。本当に小さい時から姉妹同然に遊んでいたわ。お互い、一人っ子で両親が多忙な上に、お互いの子守が仲良しだったの。」
メグの意図には全く気が付かずに饒舌になるカテリーナ。
「カテリーナ様は王族でいらっしゃるのでは?」
身分格差が生じている奇妙な友情に疑問を持つメグ。
「ええ、そうよ。私の父上はセラームの王よ。どうして?」
キョトンとしながら当たり前のように言う。
すると、メグは更に探りをいれてみる。
「アンヌ様の住所を拝見しました。高級住宅街ですが、王宮のそばではございませんでした。」
アンヌの素性はメグことデガータには不明なままであった。
そして、メグの脳内にはすでにセラーム全体の地図と城下町の詳細が記憶されている。
潜入を得意とするデガータの徹底した下調べが功を奏していた。
「ああ、そのことね。」
合点がいった様子で、更にカテリーナは饒舌になる。
「彼女は両親の家業を継いだの。」
メグも合点がいった様子である。
セラームはウィンストとは隣国同士で、交易が非常に盛んである。
行商人の一族ともなれば、王族同様の高い権限と威光があるのだ。
そして、少しでも王との取引をスムーズに行うため、昔から王宮の側に定住している。
恐らくアンヌの素性はそうした一族なのだろう。
「と、いっても彼女がやることなんてほとんど無くて、親戚にほぼ任せっきりみたい。」
すこしつまらなそうに言うカテリーナ。
アンヌへの信頼がうかがえる。
「王宮から近い家の方が都合良いからってその親戚に家は明け渡したみたいよ。」
家、とは言うものの庶民からしたら豪邸どころかさながら小さな城である。
それを簡単にやり取りするアンヌ一族の財力と商人特有の決断力の高さがくみ取れる。
「代わりに親戚の家に交換で移り住んだ、というわけ。」
どうやらアンヌは一族でも発言力が高い人物のようだ。
そうでなければ騒動が起こりそうな出来事である。
「・・・左様でございましたか。」
多少、面をくらった様子のメグ。
「それにしても、ずいぶんセラームの地理に詳しいのね?」
気軽に聞いてきたカテリーナに対し、急いで脳内情報を整理するメグ。
「・・・実はセラームに親戚の家がございます。」
地元住民のカテリーナとは対照的にメグには土地勘が全くない。
ボロを出さないよう丁寧に答弁することになる。
「へえ、どのあたりかしら?」
警戒心の欠片もなく更に尋ねるカテリーナ。
メグことデガータは表情には出さないが内心、落ち着かない。
「城門のほど近くでございます。」
内科医と関連が深いのはやはり薬剤師であろう。
事実、デガータの演じている人物にもそうした繋がりは確かにあった。
といっても、本物のメグはもう二度と親戚には会えないのだが。
「あそこには確か薬剤師さんのお家がたくさんあったかしら。きっとそのうちのどれかね。」
王族にとって体調の管理はもはや義務である。
となれば、カテリーナにもお抱えの薬剤師の一人や二人は居てもおかしくはない。
もちろん、一人で気軽に出かけられるような身分の女性では無いのだが。
「そうでございます。」
着地点を見いだし、ホッとするメグ。
「やっぱり貴方を初めて見た時からなんとなく親近感が沸いたのはそのせいだったのね。」
笑顔を浮かべながらカテリーナは意外な事をメグに伝える。
「・・・といいますと?」
全く合点がいかない様子のメグ。
「少しでもセラーム人の血が入っているとお互いに分かる、って言うそうよ?」
「左様ですか。」
もちろん、メグことデガータは魔族なので人間とは関わりが無い。
すると、更に意外な事をカテリーナは告げる。
「ええ、確かにセラームにはメグみたく背が高く、肌が白くて黒髪に黒い目の女性が沢山いるもの。私ったら母親似ですものね。」
ややがっかりした様子でカテリーナはメグに言った。
町に出た瞬間に誰か分かる外見というのは肩身の狭いものだろう。
ましてや王族のカテリーナには重圧がつきものだ。
「お母様はどちらの方なのですか?」
気遣う様子で尋ねるメグ。
「北のウッドラント出身よ。そこのお姫様だったみたい。」
「騎士の国ですね、魔族の拠点が近いので昔から列強として名高いとか。」
北に居座る魔族の絶対的な防壁の役割を太古の昔から担ってきた国である。
城も国民も岩のように強固で、魔族にとってはいわば目の上のたんこぶである。
しかし、ウッドラントの実像を知るカテリーナは意外な事実をメグに告げた。
「母上いわく、男は年がら年中戦ってばっかりだから、女は昔から家で本を読んだり書いたりしていたそうよ。」
男の居ない家を守るのは残された女性達である。
しかし、ただ待つのはつまらないものだ。
カテリーナが読書家なのは母親譲りかもしれない。
「あの有名なパンサー王伝説も実はノンフィクションで、パンサー王の奥さんだか娘さんだかが実際に見聞きした事をそのまま書いただけ、なんて話もあるくらい。」
パンサー王伝説は、この大陸における歴史的な名著である。
老若男女問わず愛読され、文章の表現も巧みだが、個人的な見解やまるで傍らで実際に見ているかのような写実的な描写が多く、読み終えると疑問符が残る作品でもある。
「・・・それは驚きです。」
デガータにとっては潜入の入り口となった本でもある。
潜入対象の文化や風習は、スパイにとっては知りすぎて困るものではない。
「でしょう?母上、元気にしているかしら・・・?」
「今はどちらに?」
尋ねると急に表情が曇るカテリーナ。
「実はウッドラントに帰郷しているのよ、議会に招集されたんですって。」
平民を率いるのが王族の任務である。
であれば、カテリーナの母親は真っ先に故郷へ戻ったのだろう。
すると、メグことデガータの脳裏にある考えが浮かんだ。
「お手紙を出されてはいかかがでしょう?」
もちろん、盗み読むのが前提である。
「それもそうね、メグが作ってくれたこの、回転式円卓?のお陰でだいぶ楽に手紙が書けますもの。」
先ほどからカテリーナの茶請けを担うテーブルを触りながら言う。
「張り切って書くわ、手伝ってちょうだいね?」
にこやかに言うカテリーナ。
「かしこまりました。」
メグは快諾した。

翌日、速達でカテリーナの母親から返事が届いた。
「カテリーナへ 
お手紙嬉しいわ。
思い切って速達で出したのだけれど、ちゃんと早めに届いたかしら?
それはそうと、今のウッドラントは最悪よ。
議会は荒れに荒れていて、簡単な法案一つ通らないの。
このまま魔族に攻められたらひとたまりも無いわ。
せっかくの強力な軍隊も政治家の指示が無いと動けませんもの。
さて、孫の顔を見るのを楽しみにしているわね。
ミカエルと仲良くね。
マーナ・ウッドラントより」

夜遅く、王宮からあてがわれた小さな部屋でメグことデガータは月明かりを頼りに手紙を書いていた。
魔法を使わないと読めないよう細工がしてある。
宛先は魔王姫ヒルダである。
「今は王宮で侍女として住み込みで働いております。
着任早々、経済大臣を始末いたしました。
保守的な男でしたが、後任のナンシーという女は予想通り魔族との和平決議案を通そうとしています。
外務大臣の男と法務大臣の女も同様にミカエル王に決議への署名を迫っています。
いずれ王も折れるかと。
・・・残念ながら、私とほとんど入れ違いになりサミュエルを取り逃がしてしまいました。
戻ったら何なりと処罰をお申し付けください。
覚悟は出来ております。
どうやらサミュエルはエルザ様の剣を携えているようです。
サミュエル自身があの剣の価値に気がついているとは考えにくいのですが・・・。
先ほど入手した情報によりますと、北国ウッドラントでは議会の進行が上手く行っておらず、軍隊も攻めあぐねている様子。
奇襲を掛ければ簡単に攻め落とせるものかと。
引き続き潜入を続行いたします。」
窓辺に留まるワタリガラスの足にしっかりと手紙を結ぶ。
すると、カラスは北へと飛び立った。
それを見送ると、メグことデガータはヒルダの事を思った
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登場人物紹介

サミュエル·ドゥーベ:60代の男性。西の大国、ウィンストを30年以上も統治した元国王。前王(ぜんおう)という肩書を与えられ、王宮で引退生活をしていた。しかし、魔王軍の宣戦を受けて最後の旅に出る。政治的駆け引き、作戦立案、各種の法律等に卓越した知識を持つ。また、徒手格闘、盾と剣を用いた剣術も得意な元気な爺様。好きな食べ物は妻の手料理、嫌いな物は生野菜。猟犬フリードの飼い主でもある。

フリード:5歳の猟犬。戦闘と追跡の訓練を受けている。また、魔族を嗅ぎ分ける事が出来る。性格は大人しく、聞き分けが良い。吠えて返事をするクセがある。

好きな食べ物は鹿の生肉、嫌いな食べ物は生野菜。

メリンダ·ドゥーベ:60代の女性。サミュエルの妻。元々、貴族の3女だったため自らお家騒動から身を引く形で14歳の時に修道院に入った。しかし、野戦病院と化した先の大戦中の修道院で「慈悲深き神」の存在に疑問を抱くように。

そんな中、当時から英雄ともてはやされていたサミュエルに出会い、彼を手当てするうちに恋に落ち、駆け落ち同然で修道院を後にした。優しいが気丈な性格。好きな食べ物は、カテリーナの作るお菓子ならなんでも。嫌いな食べ物は塩辛い料理全般。実は乗馬が得意。

ミカエル·ドゥーベ:30代前半。現役のウィンスト国王。小さい頃から英才教育を受けた、「王になるべくして王に」なった人物。冷静沈着な性格だが、冷血な人物ともとれる。愛情や親切さが無い訳ではなく、単に生真面目なだけである。

好きな食べ物は、甘いお菓子。嫌いな食べ物は塩辛い料理全般(母親に似たようだ)実は鎧を着込んでの馬上槍試合で無敵の強さを誇る、文武両道の人物。

カテリーナ·ドゥーベ:30代前半。ウィンスト隣国、セラームのお姫様(国王の娘)

産まれた時からミカエルと結婚する事が決まっていた。しかし、男女の幼なじみとして親交を深めるうちに、政略結婚と恋愛を兼ねてしまう事になった。

華奢な体格で、小さい頃は病気がちだったが、ミカエルが外に連れ出して遊ぶうちに身体は丈夫になったようだ。

好きな食べ物は、セラームの茶菓子、嫌いな食べ物は生焼けのステーキ。実は刺繍が得意で、いつか個展を開きたいと考えている。

ヒルダ:魔王軍の総大将。人間の寿命に直すと、十代後半の女子。父サンゲルは何者かに暗殺され、母エルザは幼いときサミュエルとの一騎打ちで敗れ殺害された悲運な人物。そのため、サミュエルと人類全体に対して底しれぬ憎悪を抱いている。可憐な外見だが、服装も地味で恋愛には一切興味が無い冷酷非情な人物

好きな食べ物はサソリの唐揚げ、嫌いな食べ物は薬味の効いた料理。火を扱う魔法が得意で小さい頃は母親に対して度々、火を使うイタズラを仕掛けていた

デガータ(メイドのメグ):妖艶な美女だが、性格は生い立ちの事もあり「堅物」そのもの。とにかく真面目で職務最優先である。そのため、冗談や笑い話が通じない。ヒルダを姉として母として支える事が生き甲斐となっているため、自身の事は二の次である。外見の共通点が非常に多いため、どうやら魔王一族の親戚なようだが、詳細は不明。好きな食べ物はビーフジャーキ、嫌いな食べ物は生魚。実は料理全般が得意でプロ級。ヒルダを喜ばせるためではなく、毒薬調合の合間に上達したようだ。

エルンスト:2mちょうどくらいの身長をした巨漢。戦争孤児のため、名字と自分の年齢がわからない(生年月日が不詳)

砂漠の国カラリム帝国出身の20代後半男性。双剣の使い手で大道芸の達人という二面性のある肩書を持つ。

が、本人は至って真面目で動物にも優しい人物。卓越した戦闘能力以外では、動物の解体&皮のなめし、木工や鉄工にも詳しい。これは産まれ住んだ地域が関係しているようだ。

ナンス:20代半ばの(元)盗賊団のリーダー。女性にしてはやや身長が高い。

明るく元気だが、少しマヌケな性格。

面倒見が良く家庭的なため、半ば義賊だった盗賊団で引き取った孤児たちの面倒を良く見ていた。手先と身のこなしはプロの盗人らしく卓越している。

旅のメンツのムードメーカー。

ファルニール:エルフの女性。柔和な印象を与える美女だが、エルフ随一の弓の使い手で鷹のような視力を誇る。

森から出た事があまり無いので、何でもかんでも「自己流&エルフ流」にしてしまう。物言いのハッキリした気の強い人物。実はブルンニルに惚れたのは彼女のほう。恥ずかしいので周囲には伏せているが、彼と家族にはバレている。

ブルンニル:エルフの鍛冶屋&大剣の使い手。ファルニールの旦那さん。温厚な性格で周囲に流されやすい。職人らしくDIY精神の塊で大剣とその留め具に留まらず様々な武器、防具を自作しファルニールと旅に出た。彼女の弓矢も彼の手製である。実は弟が居る。兄弟二人で鍛冶屋を経営しているようだ。

アイヒ:痩身の老人。魔王軍と姫の調整役。かなり以前、前魔王、そしてその妃エルザの補佐も長年、務めていた勤勉な人物。常に冷静で声を荒げたりすることはない。貴族出身で社交の場でも存在感がある人物。休暇はもっぱら執筆にいそしむ生活をしている。近年の著作は、「竜人族における飛竜の運用及び調教方法について」魔王軍士官学校のテキストに採用される予定である。ドライデルとは旧知の仲。


ドライデル:竜人族と竜人で構成された軍のトップ。知恵と経験を重んじる性格で筋違いの推論や的外れな批判などには即座に反論する正義感の強い人物。

普段から本の虫で、知識欲が強い。これはエリート竜人全体的に当てはまる傾向である。休暇は愛用の飛竜の世話や騎乗しての空中散歩をしている。同じ空を飛ぶ鳥人には仲間意識があるようだ。

ルフマン:獣人族の男性。部族社会の彼らにおいて満場一致でリーダーに選ばれた実力と幸運を併せ持つ男。獣人においては小柄な方で昔から頭の回転が早い事を活かしてきたようだ。顔に大きな傷跡がある。喧嘩ばかりする彼ららしいと言えばらしい特徴。彼の故郷には妻と小さい娘が帰りを待っている。今回の戦争は家族を養うためでもあるのだ。

イガール:鳥人族の実質トップの女性。一族で最も速く飛べる翼を持ちよく回る舌と頭脳をした才女。弟のアガムと二人三脚で頂点にのし上がったようだ。奸計や相手の裏をかくのが得意だが、善悪の判断はハッキリしている、喰えない性格

特に実子や所帯は持っておらず、婚期を逃すまいと休暇はそういった活動で忙しいようだ。もっとも、彼女の眼鏡にかなうのは彼女の実の弟くらいの様子。

アガム:鳥人族の男性でイガールの弟。

彼女とは違い、彼は根っからの武闘派で昔から姉を守るべく武芸を磨き、知恵を付けた苦労人。他人を突き放す印象を受ける姉とは違い、柔らかい物腰をした皮肉屋。実質的に実働部隊のリーダーを今回は務めている。

休暇は姉につきあわされて荷物持ちや書類作成の手伝いをさせられている。

もっとも、独りで暇なときはひたすら稽古をしているようだが。

ガモー:屈強なオークの男性。真面目で実直な性格で、普段は無口である。

根っからの軍人気質で、部隊の仲間を大切にし、共に過ごす事に喜びを感じているが、陳情も聞く懐の深さもあるようだ。つんつるてんの魔王軍将校の制服を着ているが、これは彼がオークの中でも特に巨体であるためと、わざわざ特注して作らせる事に煩わしさを感じたため。

スナギ:東の果てにある島国に住む鬼一族の頭領。要は忍者をしている彼らの中でも特に腕が立ち、家柄も優れた人物。

武人らしく竹を割った様な豪胆な性格。机上で作戦を練るのはもちろん、現場で指揮を執るのも得意な戦上手。時々、抜けた発言をするのは常に真面目でふざけることがないせい。

休暇は武具の手入れを妹と一緒にするのが日課だ。

魔王サンゲル:物語開始時点から40年前に何者かに暗殺された。知力に優れた人物で周りの意見も良く聞くため頼りにされていたようだ。エルザとは相思相愛で体育会系の彼女を知恵で支えていた様子

読書が趣味。純文学など難解な本を好んだようだ。

魔王妃エルザ:ヒルダの母親。サミュエルとの一騎打ちで敗れ殺害される。夫の死後、引き継いだ公務で領地を飛び回る生活をしていたが、ヒルダの前では明るく優しい母親だったようだ。魔王一族で並ぶ者が居ない剣豪で、これは彼女の家系が陸軍人トップを代々輩出することと関係している

彼女自身も結婚前は陸軍人だったが、社交界で魔王サンゲルからダンスを申し込まれ快諾した事が運命を決めた

沼地の魔女マルゲッタ:妖艶な雰囲気を漂わす中年女性。

エルフと人間の混血で、非常に高い魔力と長い寿命を持つ。

魔法そのものについての造詣も深い

物腰は柔らかく口調も丁寧だが、自分の意志はハッキリと伝える性格。

これは彼ら魔法使いの辿った歴史が関係している

腰に剣を帯びているが、飾りではなく剣技も得意。

もっとも、人の立ち入らない沼地では枝木の剪定にもっぱら使用するようだ

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