第五話「海の向こうから来たハイテンションガール」
文字数 2,035文字
十番駅行電車に乗る為、十八番駅に向かう一行。
川中市の中心部であり、日曜ということも相まって大勢の人が街を歩いていた。
人の波をかき分け、ほっと一息を入れているとカフェテラスからこちらに向かって手を振る女性がいた。
聖リバーサイド学園の制服を着た西欧人の彼女はデザートを食べていたようだ。
3人とも心当たりはなかった。
そばかすがチャーミングな彼女は笑顔のまま手を振っている。
そのままにしておくわけにもいかない。
意を決して護は彼女に話しかけた。
理論者は9段階ある〈連盟〉の位階の内、下から3つ目にあたる。
主に〈モノノケ〉と戦ったり、超常事件の情報収集・処理にあたる役を担う。
連盟の位階は下から
新参者(エオファイト)
熱心者(ジーレイター)
理論者(セオリカス)
実践者(プラクティカス)
哲学者(フィロソファス)
小達人(アデプタスマイナー)
大達人(アデプタスメジャー)
被免達人(アデプタスイグゼンプタス)
神殿主(マギスターテンプリ)
高等魔術師(メイガス)
自発者(イプシシマス)
となる。
なお、カミガカリは哲学者以上である。
余談だが、まゆみの所属する聖堂騎士団にも同じような位階がある。
修道士(モンク)
従者(エスクワイア)
騎士(ナイト)
聖堂騎士(テンプルナイト)
祓魔騎士(エクソシスムナイト)
騎士長(ナイトチーフ)
筆頭騎士(プライマシー)
副長(アシュタント)
総長(ジェネラル)
修道士が最も低く、総長が最も高くなる。
カミガカリは聖堂騎士以上の位階を授かると同時に守護聖人の名を”コードネーム”として与えられる。
まゆみは聖堂騎士であり、上司のテレサは副長である。
閑話休題。
〈連盟〉にこの街の魔導書の情報が届いたのは、つい数日前。
ワタクシたちはtrip…あ、失礼。ンフ! カミガカリの人たちが現場入りする前段階での情報収集が任務ですのに、あまりに遅くって。
〈連盟〉の達人(アデプタス)たちが派遣されるような動きもないですし、色々もてあましてましたの
でしょうね。ワタクシも偶然知っただけですし。
本当にただ偶然、道ですれ違っただけですが、霊力の高い人間は一応チェックしておかないといけませんし。
訊けばグラウンド・ゼロ周辺地域の自然についての調査だとかどうとか。
学者さんの難しい話なんてわかりませんから聞き飛ばしてしまいましたけれど。ンフ!
そう言ってスージーと別れた護たち。
その姿に手を振りながらスージーは独り言ち、どこかに電話を掛けた。
……また会えたら、ですけれどね。ンフ!
あ、Mですの?川中市の……ワタクシのいるところですよ! の魔導書の件あったでしょう?
現地で面白そうなカミガカリがいたので、〈OOO〉の派遣は中止してくださる?
ついでに〈連盟〉の足止めもヨロシクです! ンフ!