第00話(4)

文字数 589文字

 黒い鳥がさえずり、白い鳥が奇声を放つ。
「イオンさん、ちょっとええ?」
 シュヴァルツ三大貴族グローヴァー家に仕えるイオンに声をかけたのは、ツツジの里の少女ーー七瀬だった。
 イオンは首を傾げ、七瀬から話を聞く。
 イオンは真剣に聞いていたが、とある単語が七瀬の口から露わになると、顔を強張らせる。
「王国復興の為や。イオンさん、一役買ってくれん? あんたの協力が必要や、グローヴァー家領主を暗殺するには」
「七瀬さん、タダでは出来ませんよ。タダでは」
「あんたも、現金な奴やなあ。まあ、ええ。金ならぎょうさんあるで、これでどうや?」
 そう言い、七瀬は小さな袋をイオンに手渡した。
「これだけのお金の出所が知りたいですね。まあ、良いでしょう」
「イオンさん、おおきに」
 これで、契約は結ばれた。あとは、親ノールオリゾン国側の領主を殺せば、親ノールオリゾン側も黙ってられないだろう。




「ダニエル様、あんたも悪い奴やなあ。人殺しするんやもん、それなりの対価払わんとなあ」
「世の中、綺麗事じゃやってけない。僕には、シュヴァルツ王国復興を果たさないといけないんだ」
 そろそろ、グローヴァー家第一子息とソレイユ第一令嬢の婚約は行われる。グローヴァー家領主の命のタイムリミットは来るだろう。
 上手く、上手く行けばいい。
 シュヴァルツ王国復興の道筋は、始まったばかりだ。
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登場人物紹介

エレン・ディル(16)

シュヴァルツ王国第二皇女の少女。

性格はほのぼの穏やかだが、王女としてのプライドはある。

フェイを心の底から信頼している。

亡国となったシュヴァルツ王国を再建する為に、奮闘する。

フェイ・ローレンス(17)

エレン姫に仕える護衛騎士。

クールで一匹狼だが、面倒見が良い。

エレンの事が好き。

エレンの夢の為に、フェイもまた奔走する。

セレナ・エーデル

ニコラが作った機械人形。

通称・仮初めの姫。

たどたどしく喋るのが印象的。

アレックとニコラを親のように感じている。

アレック・リトナー(20)

おちゃらけている謎の剣士。

セレナとニコラを連れて、旅をしている。

昔はセレナ姫の護衛騎士だった。

セレナ姫と瓜二つのセレナに特別な感情を抱いている。

ニコラ・オルセン(19)

腕の立つ技師。

部乱暴なしゃべり方で心は熱い。

アレックとはなんやかんやで仲が良い。

機械人形・セレナの親的存在。

香月七瀬(16)

ツツジの集落に住んでいた香月家の少女。

今は家出して、ダニエルの元にいる。

明るく元気な性格。

ダニエルの事を少々気になっている様子。

ダニエル・フォン・マクスウェル(25)

若き青紫男爵家領主。

シュヴァルツ王国を再建する為に奔走する。

物腰柔らかで爽やかな性格。

七瀬の事をなんやかんやで信頼している。

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