第6話 力

文字数 1,020文字

ハーバーは皆の前で言う。

「人間どもよ。愚かな虫ケラどもめ……

お前達など、私が生かしている存在にすぎない……

せいぜい虫ケラは虫ケラらしく這いつくばって生きる事だな……」

それを聞いた回りにいるバルトス率いる兵士達は、何をと言わんばかりに、

「バカな奴め……そっちから俺達の前に姿を現しやがって、探す手間が省けたぜ、全く……

だったら、今、ちょうどここでお前を始末してやる!覚悟しろ!魔族め!」

と言い、兵士達は一斉にハーバーに向かって武器を持って襲いかかった。

だがこの時、バルトスだけは違った。

バルトスは得体の知れない能力値がわからない者に迂闊に攻撃を仕掛けるなと兵士達に警告し、攻撃をするなと止めに入り声を促した。

だが時すでに遅し……

ハーバーはまるで何事もなかったように紙一重に人差し指をふっとたてると、攻撃を仕掛けてきた兵士達が次々とハーバーの体を中心に孤を描くように粉々に体が粉砕し、兵士達は倒れ体が焼き崩れた。

術がほぼモーション無しに発動していることに驚くバルトス。

そしてそんなハーバーの姿を見てバルトスは、

「……どこから侵入できた?

城全体には結界が張っているはずだが、音もたてずに入り込めるとは通常はあり得ないはず……

何故入り込めた?」

ハーバーはそんな質問をして来たバルトスに向かって言う。

「私に境界線などない。

どこへでも自由だ。

しかし、堂々とカルベロッカに兵を連れて中に攻めいるとは、なかなか見かけによらず大胆な奴だな、お前は……

兵を指揮し、尚且つ吸血鬼化した人間どもを制圧し封印術で眠らせるとは……

クックック、まあ、この先危険な男になるには間違いない。

どれ、有能な駒は多いほうがいいな、人間よ。

お前もこちらの世界に来て、時の流れに逆らうことができる肉体にしてやろう、クックック……

まずは、一回、死ね……」

バシュッ!

「!」

そう、ハーバーがバルトスに言うと、ハーバーは瞬時に矢のような形状の塊の魔力をバルトスに向けて放った。

光速に放たれる一本の矢の攻撃。

バルトスはこの時、

「……速い!」

と言い、その矢はバルトスの心臓目掛けて体を貫こうとした。

……が、そんな時、バルトスの体の横から青い閃光の稲妻が……

ハーバーの攻撃を遮り、バルトスの体を助けたのは、体を雷火し、ハーバーの攻撃を打ち落としたエヴァンだった。
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