第10話 描写に関するあれこれ

文字数 733文字

 新年あけてからしばらく、神社仏閣に行く機会が何度かあったのですが、お堂の中で安全祈願などしている間、「この空間をどう描写するんだろう?」とか考えるわけです。こんな活動しているあまりに。だけどとてもじゃないけど手がでない、というより歯が立たない。
 寺社建築に対する専門用語を全く知らないし、ディテールが細かすぎて気力が萎えてしまうわけです。その内に「そもそも寺社建築を描写するのに言語というものは最適なツールなのだろうか?」と疑い出します。良いことなのか、悪いことなのか分りませんが……。とにかくそんな感覚で曼荼羅をぼんやりと眺めていると、やっぱり小説的な表現でお堂の内部を表出させることに意味があるとは思えなくなりました。
 しかし、良い気づきが生まれた感覚がありました。「描写すべき対象」と「描写すべきでない対象」の別ですね。いやいや、表現活動とは本来自由なんだから「描写すべきでない対象」なんてないでしょ、って思うかもしれませんが、「描写をすると本質がねじ曲がってしまう対象」や、「描写してもコスパが悪い対象」なんかは確実にある。そもそもなにからなにまで「描写すべき」は我々がサロン・ド・パリを経由していないことの弊害なのかもしれません。

『メモガキ』
描写してもコスパが悪い対象「国道16号線、スマホ、政治家、ドラッグストア、アミューズメントパークetc」
描写すると本質がねじ曲がってしまう対象「ゼウス、時間、量子の働き」
(積極的に)描写すべき対象「自然(世界)、犯行現場、人間、料理、(あとは……?)」

 ちなみに、「心理」がどのカテゴリーになるかで意見が分かれると思います。

構造主義者「描写してもコスパが悪い」臨床医「描写すべき」
小説家「……。(キョロキョロ)」
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