004.とある作家の都合
文字数 1,542文字
祝日の午後。池森のマンションに安崎が訪れる。
特に仕事のない池森はヒマそうにYou◯ubeを眺めているのであった。
いや、それはそうなんだが……
逆に聞くけど、お前のところ……共創文芸社だって、その大ヒット2本分の貯金はねえのかよ。文庫化もして結構売れたろう。
こないだ「希望生徒の画集がなかったらガチで潰れてました」なんて言ってたが。
もはや伝説になってますよ。
先生が『地を這うホイール』を書いた後、「次は俺の小説家の集大成を見せる」と言って……
構想2年、執筆1年をかけて書いた
『うみへびのわらう時に』
これの大コケってレベルじゃない大コケ。出版界に大きな爪痕を残してますよ。出版不況の原因とも言われています。
我が社がリアルに傾きましたからね。在庫の重さで物理的に。
『池森圭治のいつもギリギリ』
第4回 おわり
ゲスト……安崎(弊社編集)
聞き手……池森圭治(作家)
(次号へ続く)