第26話 タイトルを変えましょう!

文字数 1,991文字

※ご注意 本編のネタバレがございます。

コチラの▶︎作品と合わせて

お楽しみいただけますと幸いです。

旧タイトルは『モリス 悪意という名の探偵』でしたよね。これはどういうだったんですか?
あ、もう旧タイトル扱いになってる。
前に話したかもしれないんですけど、森巣っていうのがMalice(悪意)っていう意味なんで、それでですね。
なるほど、一応考えてつけた名前だったんですね。
一応とはなんですか! 一応とは!!
じゃあ、河北さんはどんなタイトルだったらいいと思うんですか??
ええっと、ごにょごにょ
ほら、恥ずかしがってないで、言ってごらん!

『たとえ君が悪魔でも』

『親友が悪人でした』

トカ

……なるほど
『横浜悪魔探偵』
……なるほど
あー!二人が馬鹿にした!!
もういいもん!もう言わない!

自分で考えて、長すぎて覚えらんねえよとか、よくわかんねえ本だなって素通りされればいいじゃない!

素通りされたら、講談社にとってもいいことないでしょ!落ち着いてください!!
いや、僕は普通に感心したんですよ。「あくま」ってフレーズは引っ掛かりがあっていいですね。
ほ、ほんとぉ?
ほんとほんと
嘘じゃない?
嘘じゃない嘘じゃない。
やったあ!
(なんだこれ)
っていうわけで、お前そのタイトルいけてると思ってるの?ぷーくすくすって笑われてる気がする被害妄想はこの際、がまんしてタイトル案ノックをしていきますか。

「擬探偵モリス」

探偵じゃないので、擬探偵にしました。探偵とあった方がミステリっぽいかなと。あと感じとカタカナっていう組み合わせが好きです。

「シンパシーフォーザエビル」

ストーンズの「悪魔を憐れむ歌(シンパシーフォーザデビル)」のパロディです。エビルも悪意、悪魔、の要素があるので、シンパシーを覚えちゃった平という意味にもなるかなと。

うーん、掛け言葉はわかってもらえないとスルーされちゃうんで避けたいですね。
擬探偵っていうのも、どういうことかぱっと読んでわからないですね。

『正義の味方に横浜は救えない』

『親友が悪いことをしたら止めるべきですか?』

『心の友が天使で悪魔』

『親友が最悪すぎる』

ダークヒーロー感を狙ってみました!

ダークヒーロー系っていうのは、キャッチーですしいい方向ですね。

あと、よかったら如月さんの台詞力で話し言葉タイトルもありえますか?

『探偵よ正気に戻れ』

やくしまるえつこの「少年よ我に返れ」の我に返れっていうフレーズが好きなのです。「探偵よ我に返れ」の方が好きですが、まんますぎかなと。「純平、考え直せ!」とかにも近いですかね。

『探偵、夜を超えろ』

我に返ってくれとか、夜を超えてきてくれっていうのが平の言葉になりそうです。探偵、って入れないとミステリってわからないかな、というのが気になって入れました。

『探偵よ正気に戻れ』

これ、めっちゃパワーワードですね…。結構好きです(笑)やや内容と乖離がありそうなところが気になりますが。コレでいくなら、この台詞を何回か、「モリス、正気に戻れ」みたいに入れ込みたいところ。

ですね、キャッチ力のあるパワーワードがあると強い気がします!!
タイトル案ノックが始まり、いい感じにこのまま思いつくのではないか?
誰もがそう思っていた。
数時間後
やー
もう
なんも思いつかねえっす
迷走を繰り返して路地に入り、ダートに乗り上げ、池に沈み、サンダーと赤甲羅を食らってもうやる気をなくしてしまい、いいタイトルは何も思い浮かばなかった!!
結局この日はお開きになり、思いついたら連絡する、ということになったのである。
(後回しにしーようってやつは、ちゃんと後で自分の首が締まるなあ)
如月は、ずっとタイトルをこねくり回し続け、ノートに文字を書き散らかし、そしてその日は床についた。が、ぐねぐね考え続け、夢にまで見たのである。
ああ、内容が伝わってキャッチーで、人が読みたくなって手にとってくれる、そんなタイトルは思い浮かばねえかなあ。
あるぞ! そんなタイトルが!
だ、誰だお前は!
我が名はタイトル神!

良い本のタイトルをつける神である!

タイトル神!!

お、教えてくれ! そんな素敵な本のタイトルを!!!

それは……
翌日
『あくまでも探偵は』ってタイトルはどうでしょうか?
!?
!?
いやぁ、ボツっすかね。新しいのを…
それですよ!!!

このくらいシンプルにしても良いかも!これも相当強いタイトルだと思います!

探偵の存在意義、みたいなのは、今のミステリで一つの潮流でもあるので、その流れにも乗れそうな気がします!

ほ、ほんとですか?
良いタイトルですよ!!
ちなみに、これはどういう意味なんですか?
それは、タイトル神が
はい?
いや、なんでもないです…!
そういうわけで、タイトルは無事に決定した!!
『あくまでも探偵は』1月15日(金)発売!!

みなさまぜひ、タイトルの意味も、書籍版の本編を読んでお確かめください!!

発売まであと3日!
つづく!!!
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登場人物紹介

如月新一

第1回リデビュー小説賞を受賞した小説家。

→『あくまでも探偵は』が2021年1月に発売。同月続刊制作決定。

しかし、一年が経った今もまだ、2巻は出ていない。

果たして書籍化というゴールに、再び辿り着けるのか!?


三日三晩に渡る河北さんとの決闘に勝ち、勝利、そしてついに…

講談社タイガ編集長に就任。

読んだら熱い感想を伝えて導く、頼れる編集者。

コマンド「おだてる」を駆使して、如月の筆を早める。

会うと男なので、ご用心。

河北

小説現代編集長(元講談社タイガ編集長)

第1回リデビュー小説賞で熱い意気込みをかけている。この物語はこういうことをしたかったのでは? と丁寧に整理してくれる。

小説 Don't dead,never die.Believe.

今は小説現代という戦場で戦っている。たまにポケットからオルゴールを取り出し、チーム「あく探」のことを思い出している。

佐渡島

コルク代表。

如月がコルクにいた頃の担当。

短く的確な言葉で、如月の迷ってるところを指摘する。

如月ポンコツモードを見抜き、迷走するとすぐに打ち合わせを提案してくれる。

ちなみにコルクとは出版エージェントだが、如月はいつから自分がコルク所属になったかを知らない。

2021年に如月がコルクを脱退。今までありがとうございました。

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