(二)‐17

文字数 235文字

 焼香を済ませた会社員が、俺たちに一礼した。そして礼儀作法通りの挨拶に続けて「三友銀行の上杉千治と申します」と言って名刺を差し出した。俺は妹と一緒にその名刺を眺めた。きっと以前の同僚か、部下だった人か、何かだろうと思った。が、違った。
「こんなところで申し上げるのも失礼な話なのですが、一応お知らせしておこうと思いまして」
 そう前置きをして、上杉氏は言った。よく見ると、俺とだいたい同年代くらいに見えた。
「実は当銀行ではお父様に対して貸し付けをしておりまして……」

(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み