第24話 眷族対隊員
文字数 3,212文字
ワトソン重工の日本支社ビル内・入り口大ホール
2025年3月某日 午前11時15分頃
ミナとマモールデはかなり苦戦していた。
この4人の隊員は驚異的なスピード、多彩な攻撃技、驚きの連携を取っていた。
「こいつらやるじゃん。」
ミナは苦笑いしながら、つぶやいた。
「連携力は素晴らしいじゃないか。」
マモールデは正直に感想を述べた。
2人がコンビを組むのは初めてではなかったが、ここ最近50年でやっと仲良くなった。
以前の2人はお互いを嫌い合い、会う度、
当時のマモールデからしたら、小生意気な
マモールデは1783年頃、アーカード卿の手により転化した。あの時、今の物柔らかで、少々皮肉屋でお茶目たっぷりな
実際、転化前のマモールデと妻ルーパは彼に捕まり、5年間幽閉された。マモールデは当時のドラキュラ伯爵や他の
ミナは親友のルーシー・ウェステンラと共に1888年に英国進出を狙っていた
英国を出て以来、ドイツ、イタリアそして最後、合衆国へ移動し、加入前の闇の評議会と
第一次世界大戦で同じドイツ帝国側でありながら、オルロック伯爵の部隊とノスフェラトゥ卿の部隊と熾烈な戦いを繰り広げ、闇の評議会一の戦士、ヘルムートと合間を見て、数回戦った。
第二次世界大戦で合衆国側と三軸同盟に分かれ、また戦い、敵同士でも味方同士でも朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン王国陥落戦争、湾岸戦争など、戦った。
ミナがマモールデと最初に組んだのは中国の義和団の乱で、彼女は当時まだまだ若く、転化で得た力や能力で傲慢な態度を取り、勝手な行動をし、 オーストリア=ハンガリー帝国軍隊にいたヘルムートと初めて戦い、マモールデの機転で一命を取り止めることはできた。
それからずっと嫌味を言いながらもコンビを組み、ベトナム戦争終了頃にはお互いを認め合う戦闘パートナーとなった。
4人の隊員の完璧な連携をされた攻撃をかわすのはかなりきつく、それを破る対策を考えねばならないとミナは思っていた。
「これを打破するための計画ある?オヤジさん。」
「まだまだない、戦いに集中しろ、ミナ。」
とマモールデ。
隊員全員は虚ろな目、蝋人形のような肌、大きく裂けた口から
マモールデは気付いた、彼らはただの
ロングソードで男性隊員の1人の腕を切り落とそうと思ったが、その隊員は腕で剣の刃を受け止め、平然としていた。そしてその腕の中は生身ではなく、機械に変わっていた。
「ミナ、こいつらは
と叫んだ。
「何?」
驚きながら彼女は言った。
「つまり、生身の体ではないということだよ。」
「じゃ、どうすれば勝てるの?」
余裕がなくなっていく表情でミナが聞いてきた。
「外側が強化されているならば、中から壊すしかない。俺を援護しろ。」
とマモールデ。
「わかった。」
彼女はロングソードを大きく振り、残りの3体の隊員を威嚇し、一瞬後ろへ下がらせた。
その隙にマモールデは戦っていた男性隊員の
足で隊員のサバイバルナイフを持つ手を蹴り、舌を根本から切った。
切られた
男性隊員の上顎骨からの頭が地面に落ち、残りの体は両手を上げるような仕草をし、ないはずの頭を探すかのような動きをした。マモールデはその隙に残りの下顎骨と首を切り落とし、その切口から思い切りロングソードを突っ込んだ。突っ込まれたロングソードは隊員の心臓を刺して、滅ぼした。
隊員の体は燃え始め、残ったのは灰と機械インプラントのみとなった。
「まず一匹。」
とマモールデ。
「今度私の番だね。」
とミナ。
彼女は女性隊員に狙いを定め、蹴りで手に持っているサバイバルナイフを跳ねのけ、女性隊員の
残りの2人の隊員は怒りの雄叫びを上げ、攻撃してきたが、ミナとマモールデは彼らの
隊員たちは一瞬驚いたが、その一瞬で運命が決まった。
サバイバルナイフで攻撃される前に、ミナは一人の頭を右の側頭骨から下顎骨の左までソードで切って、頭を分離させた。その後、その切り口を上から刃を突っ込んで、思い切りかき回し、心臓に届く前に隊員を滅ぼした。
マモールデは舌を切られた隊員の隙を見て、首を刎ねたのち、切り口から手と腕を突っ込み、心臓を鷲掴みにし、手で潰した。
「引き分けに終わったね。」
とミナ。
「次回またかけよう。」
マモールデは提案した。
「そうだね、では他の人の援護へ行こうか。」
ミナが言った。
「そうしましょう。」
マモールデは答えた。
日本刀とサバイバルナイフを持っている
「新一君の戦いが面白そうなので見ていくよ。」
とミナ。
「勝負は邪魔するな、ミナ。」
とマモールデ。
「しない、しない。あの一個旅団の攻撃力を持っている男の戦い方は見たい。」
と彼女。
「敵のファンなのか?あの田原のか?」
とマモールデ。
「違う、違う、いつも力をセーブしている新一君の本気が見たいの。」
「では見に行こう。」
マモールデは笑顔でミナに話した。
小島は4人の隊員の気配が消えたと感じた。
やっぱり気になった。
4人共彼の仲間だった。2人はフランス軍外人部隊時代の元同僚だった、一人はロシア人戦闘狂で、もう一人はアイランド人の職業軍人。
最後の男は旧コロンビア、現大グラナダ共和国出身のゲリラの元リーダーで、女性隊員は南アフリカの特殊部隊の隊長だった。
自分でスカウトし、仲間にし、幾つかの戦いを勝利した中だった。
「この借りは必ず返す。」
悲しい表情で小島がつぶやいた。