一 時空間ラグランジュポイント

文字数 929文字

 すべての精神生命体を亜空間転移させるため、エネルギー場の均衡が保たれた時空間ラグランジュポイントに、膨大な数の艦隊が集結している。全艦艇が発する膨大なエネルギーのため、時空間は光り輝き、小銀河が出現したかのようだ。

 各艦隊は旗艦を中心に、回収攻撃艦〈スウープナ〉一隻、攻撃艦〈ニフト〉一隻、突撃攻撃艦〈フォークナ〉四隻の計六隻の副艦と、搬送艦百六十隻、小型偵察艇二十隻、各艦体に対応した数の小型攻撃艇から構成されている。

 我々が乗艦した大司令艦〈ガヴィオン〉は、ヘリオス艦隊を率いて大艦隊の中央に停止している。〈ガヴィオン〉は大艦隊の総司令艦でもある。
〈ガヴィオン〉のブリッジは金属と有機物質の透明なハイブリッドドームでおおわれ、コントロールデッキの全システムは全艦隊の艦艇同様、艦に搭載されたプロミドンシステムとプロミドン本体によって、パイロットの意識を自動感知してコントロールされる。たとえ非常事態が起ころうと、艦はパイロット数名の意識でコントロールされるにすぎない。


 全艦隊が集結した。満載したクルーの高レベル精神エネルギーマスが発するエネルギー波で全艦隊が紫色から白色に輝き高エネルギー場と化し、〈ガヴィオン〉のブリッジから直接全艦隊を識別するのは不可能になった。精神空間思考域に感じるのみである。

『我々は他の時空間で、さらに高い精神エネルギーを得て、ふたたび集まらねばならない・・・』
 私は我々から離れ、精神エネルギーを高める過程、精神共棲の過程を再確認した。

 種の個体発生段階で超高分子が合成されるとき、その機能を我々が制御し、個体として我々の精神と個体本来の精神が共棲すれば、我々は高精神エネルギーを得て、個体の精神エネルギーは本来の個体レベルの数十倍に高まる。
 その結果、個体意識は精神エネルギー化し、他のエネルギーを必要とせずに、我々の精神と意識とともに、精神エネルギーとして単独存在し、精神生命体に成り得る。その結果、我々精神生命体は目標の惑星でふたたび繁栄する・・・。

 しかし、目的を誤れば、時空間の彼方へみずからを追いやり、時空間ラグランジュポイントのように異質に変異するかもしれない。すべては、時空間の流れが決定するだろう・・・。
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