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文字数 1,061文字
二週間ぶりに心療内科に通院し、担当医に「お薬処方しときますから」と言われた。院外薬局に処方箋を持って行ったら、薬剤師さんに大きな段ボール箱を手渡された。
僕が不審に思いつつ段ボール箱を開けると、そこにはナース服を着た、勝気そうな美少女がまるまって入っていた。
「邪魔なんだけど。そこ、どいてほしいんですけど」
美少女は目が据わっていた。
「え? ああ、うん……」
僕が段ボール箱から退けると、ナース服を着た美少女は長髪を手でさらっと流し、立ち上がって僕を指さし、言った。
「わたしがアンタのお薬として処方された美少女なんですけど?」
「え? ああ、うん……」
「アンタは、え? ああ、うん、しか言えないのかしら。バカなの? ねぇ、バカでしょ? もう一度言ってあげる。わたしがアンタのお薬として処方された美少女なんですけど?」
僕はついに頭がおかしくなってしまったのだと思って、頭を抱えた。
「わたしの名前は紫延ノノ。見ての通りの看護師なワケ」
院外薬局の会計係のお姉さんはうふうふと含み笑いしている。
どうやら僕は頭がおかしくなってしまったらしい。
僕は病院の診察室に戻ることにした。怪しげな少女看護師・紫延ノノは、僕の真後ろをついてきたが、気にしないことにした。
気にしないことにしたのは、なんだかこの少女に殴られそうな雰囲気だったからだ。ノリでぶん殴るタイプの少女なのは、明白だった。
気にしない、気にしない。何事も気にしないのが、僕の病気の症状が緩和するための方法である、と担当医は言ったから。担当医……主治医と言い直したほうがいいか。いや、それも気にしないことにしよう。
僕はそそくさと薬局を出て、病院へ向かう。薬剤師や会計のお姉さんたちは始終にこにこしてなにも言わなかった。僕も、お金は払わないで出てきた。
処方箋の領収書を見直すと、「安定剤」と書いてある。
「なんの安定剤なんだ!」
処方箋の領収書を床に殴り捨てる。
「うるさいわね。だみ声嫌いなんですけど」
ハスキーボイスで悪かったな。
「アンタはわたしと、このコピー地球、〈アース・レプリカ〉を救うワケ」
「あー、もう、無視!」
紫延ノノというこの少女は、なに言ってるんだ。無視するのが吉とみた!
病院の総合受付で事情を説明すると、すぐに診察室に通された。予測済みだったらしい。てきぱきと事務的に処理がなされたのだ。
僕はドアノブを回し、勢いよくドアを開けた。
「先生! 僕、頭がおかしくなったみたいです!」
僕が不審に思いつつ段ボール箱を開けると、そこにはナース服を着た、勝気そうな美少女がまるまって入っていた。
「邪魔なんだけど。そこ、どいてほしいんですけど」
美少女は目が据わっていた。
「え? ああ、うん……」
僕が段ボール箱から退けると、ナース服を着た美少女は長髪を手でさらっと流し、立ち上がって僕を指さし、言った。
「わたしがアンタのお薬として処方された美少女なんですけど?」
「え? ああ、うん……」
「アンタは、え? ああ、うん、しか言えないのかしら。バカなの? ねぇ、バカでしょ? もう一度言ってあげる。わたしがアンタのお薬として処方された美少女なんですけど?」
僕はついに頭がおかしくなってしまったのだと思って、頭を抱えた。
「わたしの名前は紫延ノノ。見ての通りの看護師なワケ」
院外薬局の会計係のお姉さんはうふうふと含み笑いしている。
どうやら僕は頭がおかしくなってしまったらしい。
僕は病院の診察室に戻ることにした。怪しげな少女看護師・紫延ノノは、僕の真後ろをついてきたが、気にしないことにした。
気にしないことにしたのは、なんだかこの少女に殴られそうな雰囲気だったからだ。ノリでぶん殴るタイプの少女なのは、明白だった。
気にしない、気にしない。何事も気にしないのが、僕の病気の症状が緩和するための方法である、と担当医は言ったから。担当医……主治医と言い直したほうがいいか。いや、それも気にしないことにしよう。
僕はそそくさと薬局を出て、病院へ向かう。薬剤師や会計のお姉さんたちは始終にこにこしてなにも言わなかった。僕も、お金は払わないで出てきた。
処方箋の領収書を見直すと、「安定剤」と書いてある。
「なんの安定剤なんだ!」
処方箋の領収書を床に殴り捨てる。
「うるさいわね。だみ声嫌いなんですけど」
ハスキーボイスで悪かったな。
「アンタはわたしと、このコピー地球、〈アース・レプリカ〉を救うワケ」
「あー、もう、無視!」
紫延ノノというこの少女は、なに言ってるんだ。無視するのが吉とみた!
病院の総合受付で事情を説明すると、すぐに診察室に通された。予測済みだったらしい。てきぱきと事務的に処理がなされたのだ。
僕はドアノブを回し、勢いよくドアを開けた。
「先生! 僕、頭がおかしくなったみたいです!」