偶然は突然に。

文字数 831文字

私はAにお金を請求したりしなかった。
面倒くさかったし、早く縁を切りたかった。
いや、最後まで嫌われたくなかったのかもしれない。
どこまでも駄目な女だ。

そんなこんなで借金を背負うことになった。
額はそんな大きな額ではないが、私は返すのが大変で仕事を増やした。そんな時にBと出会った。

Bはとてもしっかりしている人で、Aとは全然違うタイプの人だった。私とは釣り合わないような、もったいないくらいの紳士的な素敵な男性だ。
いつしか私はBに恋に落ちた。心の底から逃したくないと思ったのだ。

Bには、借金の事は内緒にしていた。
もちろん嫌われたくなかったからだ。
そんな私達はお付き合いをすることになった。

Bはとても素敵なデートをしてくれる。
毎回デート代を出してもらうことに不安になっていく私は、お金がもっと欲しいと思うようになった。
お金をもっと稼いで、いいものをプレゼントしてあげたい。いつも良くしてくれるように私も恩返しを色々してあげたい。それにはお金が必要だった。

仕事だけでは足りないと感じるようになった私は、ふと高収入バイトを検索した。そうするとキャバクラなどの夜の仕事が載っていた。私はお酒が飲めない。キャバクラは正直憧れていた。お金が稼げそうな仕事とさえ思っていた。だが飲めない女が隣にいて何が楽しいんだと思い、ピッとサイトを閉じた。

数日後やはり高収入バイトに興味を持ち、もう一度検索をした。すると今度はエッチなお店のバイトがスッと目に入った。脳内でイメージをした。いや、無理だ。そこまでしてお金が欲しい訳では無い。いや、そこまでしてでもお金が欲しいかもしれない。
私は結構切羽詰まっていた。

気づいたらエッチなマッサージをする店に面接をお願いしに電話をしていた。

私ってこんな落ちぶれていたっけ?
と思いつつ、すぐ辞めればいいと気軽な気持ちで電話をしていた。

私はエッチなお店で働いている人をどこか馬鹿にしていた。働く場所がない女性が最終手段として働くようなところ、とすら思っていた。
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