第112話  記念すべき一日 1

エピソード文字数 3,756文字

 ※


 風呂から出ると、俺と魔優と平八さん(ようやく復活)は、仲居さん先導の元、ただっ広い部屋に案内された。



 すっげー広い。言うなればあれだ。

 江戸時代の将軍とかが、謁見するような広間みたいな感じで、奥の方をよく見ると、聖奈や美優ちゃん。

そして華凛がとてもちっちゃく見える。



先に上がられたようですな。私たちも参りましょう

 平八さん? 復活したのはいいんですけど。

 さっきからずっと魔優のおっぱいと喋ってるでしょ。

こっちこっち~~!

 聖奈が叫んでいる。というわけで俺達も向かう。

 どうやら先に飯食ってるみたいだな。

華凛ちゃんがお寿司がいいからって、頼んだわよ
 うぉ~~! 腹減ってたとこなんだよ!
ありがとうございますっ!

 寿司なんて、いつ食べたか覚えてねぇ!

 早速華凛の横に座り、すぐさま一口食べると俺はもう涙が出そうだった。


 まっ。まぐろぉ~~!


 うぉっ! はまちぃ~~!

ちょっとあんた。何で女になってるのよ
 聖奈が質問すると、魔優は少しばかりニヤけ顔を俺に見せながら
蓮くんをちょっと脅かしただけです

こらこら。待てよお前。

お互い様だろ? 一方的にやったみたいな言い方すんなよ

さっきのお風呂場での慌てっぷりは、みんなに見てもらいたかったね
んだと? てめぇも男の裸でテンパってたくせに。ちょっとは下半身の耐性つけろよ
なんだって? 君だって、泣きが入ったじゃないか!

 すると聖奈率いる女子グループが固まってしまったので、慌てて取り繕った。


 とりあえずは仲良しになったと魔優と一緒に説得する。

 さっきみたいに素直になれない俺達であった。

だけどさ、あんた達って本当に見分けがつかないわね
すごい。全く一緒だよ? ね? お兄ちゃん
本当だなこりゃ。並んでたらマジでわかんねぇし
 俺もそう言われるまで気付かなかったが、魔優と美優ちゃんが女の状態で隣に並ぶと、マジで見分けがつかない。
これでいいですか?
そうね。髪で判断するしかないわっ
 魔優が長い髪の毛を一本に括ると、その形だけで判別できる。
あなたも食べなさい。いっぱい頼んであるからね
ありがとうございます聖奈さん。いただきます

 魔優らしからぬ丁寧な挨拶だった。


 こいつはマジで俺にだけ……男で接するって事かよ。

 まぁその方が俺も助かるんだけどさ。

美優。ちゃんとお話できた?
うんうん。聖奈ちゃんも華凛ちゃんも。とっても優しくて楽しかったですっ
良かった。一人で大丈夫かなってすごく心配してたんです

 仕草も口調も、全然女になりやがった。

 何だろう……この気持ち。


 すっげー負けた感が押し寄せてくる。いや、絶対負けてる。

聖奈さん。華凛ちゃん。私……女の子の時は魔優って言います。

美優ともども、よろしくおねがいします

うんうん。分かってるわよ。

美優から聞いたわ。本当は女の子だって。ねー? 華凛ちゃん

うん~~~!
 華凛も超ご機嫌だ。その様子だと聖奈が上手くやってくれたのだろう。
華凛。ちゃんと美優ちゃんにお話できたか?
できたよ。美優お姉ちゃん。すっごい面白くてクネクネするんだよ
そっか……良かった

 うんうんと頷きながら、寿司を頬張る。

 くっそ美味ぇ~~~! と心の中で絶賛しながら、ずっとうんうんと頷いていた。

さぁ。今日はパーっと行くわよ。

黒澤家と白竹家。私と平八。これからもっと……仲良くなろう!

そうだな。今日はみんなではっちゃけよう!
左様でございますな。今日は……皆にとって記念すべき一日となるでしょう。
 と、平八さんの重みのある言葉に全員が頷き、親睦パーティは幕を開けた。

 ※


 ここからは全員のテンションが上がり、やりたい放題の好き放題に暴れまわっていた。


 特に聖奈を筆頭に暴れまわる。当然標的となるのは俺と平八さんだった。しかも平八さんの場合はお酒が入っているのか、やたらご機嫌なのだ。



 確かに美少女三人と華凛に囲まれりゃ、平八さんだって嫌でもテンションが上がるだろう。



 スマホを片手に撮りまくる平八さんは、とんでもなく活き活きしていた。

 お酒を飲んでても無表情だけど、活性化しているのは良く分かる。

二千五百。これは……四千クラス。


まったくもってけしからんおっぱいの山でございますれば、今宵の題名は「春のパイ祭り。狂喜乱舞」と致しましょう。

 熱く語る平八さん。ほぼ独り言である。

 みんなのおっぱいを見ながら喋っているようにしか見えない。


 最初は魔優も美優ちゃんも恥ずかしがってたが、ブツブツと喋る平八さんの視線が次第に気にならなくなったようで、聖奈の「一人で語らせてあげて」との台詞に二人は同意していた。



 あれはあれで幸せなのだろう。

 おっぱいに向かって頷く平八さんを見てそう思った。

 平八さんが妄想モードに突入すると、今度は俺を弄ってくる聖奈だったが、意外にもボディ関連の攻撃はしてこなかった。


 口では色々と文句垂れたりするのだが、終始大人しい感じがしたのでホっと胸を撫で下ろす。




 それよりも美優ちゃんに絡んだりする場面が多く、浴衣が剥がれそうになるシーンもあったりと、俺よりも過激に弄り倒していた。 

うへぇ! あうっ! ふにっ~!
蓮。この子さ、エロい同人誌書いてるのよ。すっごい過激なんだから

 知ってる。というか……美優ちゃん。

 もしかしてバラしちゃったんですか?

 

 ってことは……もしや!

 俺のワンダーワールドまで……?


 必死にアイコンタクトを試みるが、聖奈が張り付いてそれ所ではないようだ。

 あ、後から聞いてみよう。

でさ、男の身体になって、色々するわけ?
あひ。色々します。それはもう……十八禁要素ありの……ほわぁ~~

 美、美優ちゃんが爆ぜそうだ。

 とはいえ、満更でもないような顔にも見えるぜ。

い~~なぁ~~! みんないいなぁ~~! 私も入れ替わりたいわっ

 聖奈が駄々をこねだした。すっげー暴れまわってる。

 この中で入れ替われないのは、聖奈と平八さんだけだからな。

私も男になりたい~~!

 聖奈はいつも言ってるからな。

 これは別に驚きはしないが、入れ替われない普通の人間からすると、とんでもなく魅力的な能力らしい。


 確かに制限時間がなくて、自由に切り替われるのなら、万能な能力だとは思うけどな。

聖奈ちゅん。男になってナニするのですか?
ナニに決まってるじゃない! やってみ~た~い~!

 ああもう。どんどん下ネタになってゆく。

 しょうがない、っちゃぁしょうがない

わたひの見せてあげりゅまし
本当?
いいよ。また今度美樹ちん見せてあげるです。ちょとグロテスクですけど

 ああ、美優ちゃん。あんまり聖奈を乗せちゃダメですよ。

 そいつも冗談が通じないタイプですから。


 ってか美樹ちんって何だろう。まさかとは思うが……

おい魔優。美優ちゃん止めねーと、やばいぞ
いいんじゃないかな? 美優はそーいうの好きだからね。女の子同士だし
とりあえず俺は警告しておいたぞ。後は自己責任で頼む。

 聖奈はどんどんエスカレートするぞ。

 どこかで拒否しなければ、際限なく突っ込んでくるからな。

もし聖奈ちゃんにソレが生えてきたらどーするの?
もちろん楓蓮を陵辱するわね。ひーひー言わせてやるわよ
 お前が男なら、絶対やられてる。俺はそう思った。
ね? こいつちょっとおかしいでしょ?

 俺はノリ突っ込みの如く軽く言ったが……

 美優ちゃんも魔優も、俺に対し不敵な笑みを浮かべるのだった。

あのさ、俺は誰であっても男なんかに股を開く気はねぇぞ。

むりむりむり! 絶対無理!


楓蓮はずっと処女のままでいい! 誰にも穢されてたまるかよ!

 俺の重大発言に暫く沈黙していたが、美優ちゃんがゆっくりと手を上げる。
あ、あにょ。美樹ちんじゃダメでしか?
ちょっと! 美優!

ちょっと! 美、美優ちゃん? 俺は男なんですよ?

だ、だから誰であってもダメですって!

ふぇえええ~~~! 美樹ちん。振られちゃいましたぁ!

ぶしゃ~~!

 なんでそのタイミングで絶頂してるんですか!

美優ちゃん。お、俺は男ですからね。

楓蓮を操ってる奴は「男の中の男」ですし。そーいうのは考えた事もないし……

ふふっ。どこが男の中の男なのよっ!

あんたは絶対女の子でしょ。そんなツンツンしなくていいじゃない

待てよお前! どこが女なんだよ! 素晴らしく男だろうが!

ええ? だ、だけど、楓蓮さんの時はすんごく女の子だよ。

全然分からなかったのです

そうだね。すっかり騙されてたわっ。

何の接点も感じなかったし「え?」としか思えなかったもん

お兄ちゃんって。女の子になるとね、もっと優しくなるんだよ
華凛! おまえ……どっちの味方なんだよ

味方も何もないじゃない。

あんたは男だって言ってるけども、女の子っぽい所も結構あるんじゃない? って皆は思ってるんでしょ?

 くそっ! 何だこのアウェーな状態は。

 男が俺一人だからな。なんかこう立場的に不利だぞ。

 そんな時、横にいた華凛がもたれかかって来ると「眠たい」と小さな声を出した。

 ってか今何時だよ。

そろそろ寝ましょっか。今日はここで泊まりなさいよ

 という訳で華凛がダウンした時点でお開きとなった。


 スマホを確認すると、午前三時前。そりゃ華凛も眠たくなるだろう。

 俺と一緒に夜まで寝てたとはいえ、やっぱり小学生なのだと思った。

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登場人物紹介

キャラのプロフィールは、章の始まりにも記載しています。


ここに記載されているのは主要人物です。

その他の登場人物は章の始まりなどに記載しています。


読者視点は神視点。

物語の中の人達が知らないことを全部見る事ができます


また、二章からはキャラの心の声まで聞こえます(フキダシが灰色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年


 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 とても弟思いの良いお兄さん(お姉さん)

 ★ 白峰楓蓮 しらみねかれん


  蓮の女性の姿。白峰というのは偽名。

  黒澤家とは繋がりを見せないように演じる。


  心の中は男の子なので、女の子のファッションやらに興味が無い。

  とても美人なのにあまり自覚がなく、女性の姿はオマケだと思っている。

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生


 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。



 ★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは家族だけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。


 ★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。


 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。

 など、全てを兼ね備えている人。


 二人目の主人公。

 ★ 白竹 美優 しらたけ みゆう


 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。

 自分の家の喫茶店で働いており、メイド服で接客をこなす。


 学校と喫茶店では、雰囲気がまるで違うのには理由があり……

 

 三人目の主人公。 

 

 ★ 白竹魔樹 しらたけまき


 蓮の隣のクラス。美優は双子の姉弟。


 学校ではとてもクール。喫茶店では男の娘?

 双方を知る蓮にとっては、非常に疑問な人物。


 四人目の主人公

 ★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的。学校ではいつも笑顔で誰にでも優しいが……

 

 五人目の主人公

 ★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲



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