「なんか書く? それとも描く?」
文字数 2,284文字
やんわりと失礼ね、愛。
なに、迷惑? 迷惑なの?
愛は明日、近所の相撲部屋に米一俵担いで運び入れる予定でしょ?
その時「手伝おうか?」って声をかけたわたしにも、
同じことが言えるのかしら? 言えるのか貴様!
書いてるうちに欲が出ちゃって。
どうせなら、どうせなら、って。
受賞して、デビューして、って。
でも、うまくいかなくて。
だんだん、なにが面白いのか、
なにが書きたいのかすら、わかんなくなってきて……。
わたし、しばらく書くのお休みしてたから、余計に。
時間を無駄にしたなー、とか、
もっと頑張ってたら今頃はなー、とか。
いろいろ考えちゃってたの。
そんなの、考えても仕方がないことなのにね。あはは。
小説の登場人物たちは、みんなちゃんと生きているのよ?
楽しい、悲しい、嬉しい、苦しい。そう感じて生きているはずだわ。
でも、彼らの気持ちが分からなければそれを書く事は出来ないはずよ。
今、愛は、夢への壁にぶち当たって挫折しかけている人の気持ちを知ったのよ。
これほど大事なことがあるかしら?
これほど貴重な体験があるかしら?
努力に勝る才能なし、ってね。
成長する時には、骨が軋むし歯も抜ける。
そして、一回り大きくなるの。
格好悪い時もあるものよ。
悩んだ時は、耐えて耐えて、頑張る。たまに休む。それだけ。
頑張りなさい、愛。
わたしは、いつも応援してるわよ。