ハイボルテージ

文字数 2,143文字

目が覚めていきなりだがさっさと出て行ってくれないか?
は?おいオヤジ、それ医者が言うことじゃねぇだろ

もう入院予定患者がいっぱいでな、元気ならさっさと出て行ってほしいんだ

まあとりあえず今わかる情報はそのidカードに入ってるだけだ
情報っていっても名前と年齢だけだがな、まったくテキトーなオヤジだぜ・・・


おい、本当に俺の過去のことは何もわからないのかよ

つーか俺は誰なんだ?いつどこで生まれて、どうしてこの病院で寝てるんだよ?!

俺もよくわかんないんだよ、ごめんな・・・

だって先週この病院に配属になったばっかりだもん・・・

あ、そうだこれやるよ、さっき看護婦から預かったんだけど国からお前さんに届け物だとよ

目覚めたら渡すようにってさ

国から送ってもらったのはいいんだが、送り主の名前も匿名じゃあ誰が送ってきたのか全く分からねぇよ
あとこれ、スマートデバイスとハンドガンだ

これはうちのサービスでな、家や親のいない入院患者には退院祝いでプレゼントだ


スマートデバイス、、?なんだこれ?あ、でも使い方は覚えている・・・なぜだ・・・

で、なんでハンドガンがいるんだよ

今はそういう時代さ、自分の身は自分で守るんだ

それが基本の世界なのさ、俺がガキの頃とはずいぶん変わっちまったがな・・・

そうなのか・・・
はいはい、元気なら早く出ていきな

どこも行くところがないなら国で保護してもらうか、一人で旅でもするんだな・・・

わかったよ、マジで納得いかないが出て行ってやる

自分で過去を見つけるさ

・・・、おい!

あとこれを持っていけ、国からの支給の10万円だ、このマネーカードに入っている


もっと早く渡せよな・・・

じゃあなジジイ、俺の記憶が戻ったら一発殴ってやるぜ

フッ、楽しみに待ってるぜクソガキ
・・・
~病院フロント~
とりあえず、どこに行くか。

つーかなんでこんな目にあってんだよ俺は、俺の親は何をしてんだ!!

はぁ、記憶が戻ったら俺の親戚一同に全員一発パンチを食らわせてやるからな!!

で、とりあえず今の持ち物は~

IDカード、スマートデバイス、マネーカード、ハンドガン、国からの贈り物・・・

それにしてもずいぶんと小さい箱だな、何が入ってんだ?

ん?手紙と・・・なんだこれ?

とりあえず手紙を読まなくては・・・

アゼル君

突然目が覚めたら病院にいて驚いているだろう、そんな君にプレゼント。

そのカッコイイusbメモリーみたいなものは、これから絶対に役に立つマシンのキーなんだ。移動するときや自分の身を守るときに役に立つと思うよ。

マシンは君がずっと寝ていた病院の地下エリア第3ガレージの124番にあるから

ガレージのオープンパスは4649と左手の人差し指の指紋だ

では、see you

どうもご丁寧に

つーかその前に誰だよ

まあいいか、くれるんならもらっておこう

え~、・・・地下の~第3ガレージで~、あった124番

それにしてもデカいガレージだな、つーか俺にマシンなんて動かせるのか?

今思い出せる、人が乗れて俺でも操縦可能なマシンといえば・・・車、バイク、・・・ぐらいだな

とりあえずパスを入力してガレージを開けないと・・・

(アナウンス)

※ガレージが開きます、ご注意ください※
あ、・・・
デカいガレージの扉がゆっくりと開き、薄暗いガレージ内のライトがマシンを照らし正体を明かす。

俺はそれを見て驚きで声が出なかった、最初に予想していた「マシン」とは全く違っていて、それは車でもなくバイクでもなく・・・

って、うわぁぁぁぁあああああ!!!!!!

で、デカい・・・これって、戦闘機じゃねぇか?!

戦闘機だったのだ

驚きで転んでしまった衝撃でキーの側面についている小さなボタンを押してしまった。

すると綺麗に折りたたまれていた戦闘機の羽がボディのいたるところから煙を噴射しながら開き始め、中央にあるコックピットが見えた。羽の動作が完全に終了するとコックピットを包むガラス張りのアーマーのようなものがガチャっとはずれて1人用の座席がむき出しになった。

10秒くらい静止して心を落ち着かせてから俺はむき出しになって出迎えているコックピットをじっと見た。

病院で目を覚めたころは不安からか視界が何となく暗く見えたのだが、何故かこの瞬間から周りの景色が一気に明るく見え始めた。

それも目の前にある戦闘機を中心にどんどんと周りが明るく見え、自然と笑顔も出てきた

アハハハハッツ!!!こ、こりゃすげぇ!!!!

か、カッコイイィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!


立ち上がり戦闘機全体を見渡す。

戦闘機は青色で機体の下中央にデカくて細長い主砲のようなものが2本ついていてサイドの羽の下にはガトリング銃が1つずつ付いていた、あと機体の後ろの方にミサイルを2本格納できそうなスペースもあった。

そしてコックピットの丁度下あたりの機体の側面に「Jericho」と刻まれてあった。

おそらくこの機体の名前だろう。

アゼルはワクワクした、今からコイツと旅に出れると思うだけで嬉しさで胸がはち切れそうになった。

「ジェリコ」か、いい名前だ
マジでスッゲぇぇなこの機体!!!見れば見るほどカッコいいぜ!!!

それにこんなに胸が騒ぐってことは過去の俺もきっとこんなマシンが好きだったんだろうな

アゼルは少し自分の過去を知れた気がして嬉しかった
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登場人物紹介

アゼル 18歳

記憶が無い少年 自分を知るために長いあてのない旅に出る。相棒のジェリコと共に

Jericho(ジェリコ)

アゼルの相棒の改造型超高速戦闘機

中には自我を持つ人工知能ジェリコが搭載されている。

機体と人工知能の名前は同じ

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