パンダさんの創世記!(後)

文字数 1,449文字

神様に世界各地に分散するよう命ぜられた動物たち。
期限も迫り準備に大わらわ。
それぞれポイントを与えられ、生きていくための能力を身に着けます。
だけどポイントには限りがある。
あっちを強化すればこっちが欠点に。
バランスよく少しづつ配分せねばなりません。
なので、一部のオッチョコチョイを除いて、
皆似たような姿形になっていきます。
それはそれで個性がなくてツマンナイ。
動物たちは残ったポイントを使ってアピールします。
ツノ・トサカ・タテガミ・シッポ・・・外見だけでなく鳴き声とか!
人気があったのは身体に色を塗ることでした。
赤橙黄緑青藍紫、欲張って何色も組み合わせる輩も。
更にネコたちの間ではシマとか点々とか模様を入れることが大流行!
トリやサカナはここでも、大胆なカラーに奇抜なデザインでポイントをムダ遣い。
ワニは皮に贅沢したばっかりにバッグやベルトに。
マムシなんか毒持ってるのに酒漬け!
エリマキトカゲとかアライグマだの、一芸に特化したのもいます。

そんな様子を、ニンゲンはひとりポツンと眺めていました。
ニンゲンは、何処へ行くのか何をするのか、まだ決めてないのです。
慌てて適当に選んで、「シマッタ!」と後悔したくない。
悩んだあげくニンゲンは、
「あとで決める」
という能力を申請しました。
問題を先送りしただけではないかっ!
神様もムッとしましたが、ルールの盲点を突かれ認めざるを得ません。
かくてニンゲンはポイントを保留したまま。
これで他の利点をマネしたり、環境の変化にだって対応できる。
何と良い考えだろう!ニンゲンは有頂天で図に乗ってしまいました。

さて、パンダです。
クマたちは強い力、丈夫な体を要求ました。
色に関しては保守的で黒とか白・茶、単色がほとんど。
そこへ胸元にアクセントを入れたツキノワの登場は衝撃的でした。
パンダは大いに刺激を受け、何か目立つ容姿を望みます。
パンダは、白と黒のツートンカラーを思いつきました。
ところがマレーバクが先に使っていたのです。
せっかくのアイデアなのに!
アキラメきれないパンダ、だけどパクリだと怒られたくない。
なので色配置をちょっと変えて、顔は白にしよう。
ここまでやってメンドクサクなったパンダは寝てしまいました。
・・・そこへニンゲンが通りかかったのです。
ははあ、彩色の途中だな。よしっ、手伝ってやろう!
ニンゲンはパンダの顔に落書きします。
うんうん、KAWAIIぞ!
ニンゲンは意気揚々と去って行きました。
起き抜けにパンダはビックリ仰天!
せっかく猛獣らしく顔にドスを利かしてたのに、
これではまるでタレ目ではありませんかっ!
パンダは神様に泣きつきましたが、相手にしてくれません。
とうとうパンダはあのスタイルで、世間へと追い出されたのです。
(この事件を根に持ってるパンダさんはニンゲンが大嫌い。なので、クマのクセにニンゲンの子供と仲良しだったり、OLの部屋に居候してるヤツなんて裏切り者なのです。)
それはそうとデザインにかまけて、エサの獲り方がオザナリになっていました。
平原とか海辺なんという良狩場は、もう他の動物たちに占領されてる。
仕方なくパンダは、最後の秘境・竹林にもぐり込みました。
笹の葉、もそもそ食べてみる。
あれっ?意外とイケるかも。じゃあ、ここでいいや。
お腹いっぱいで眠くなったパンダ、ゴロンと横になりました。

そのまま、現代にいたるのです。
・・・パンダは今日も寝ています。


パンダさんの創世記!
始まりはいつも突然に気づけば世界を変えてゆく。

・・・・・・・・・・To Be Continued
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登場人物紹介

パンダです。パン屋です。

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