本当にあったらこわい話

文字数 626文字

……

ぐすん

困ったわね

警察にきくのがいちばん確実なのに

それがいやだなんて

あとは

きみをつれて街中を探し回るか

あるいは

持ち主を信じて気長にここで待つか

うう……

やだよお……

こわいよお……

消えたくないよお……

消える?

なにが?

あなた

同じ自転車なのに

知らないんですか?

もしかしてきみたちは

そうです

わたしたち自転車は

持ち主から捨てられたら

自我が消えてなくなるんです

そんなとってつけたような

もともとわたしたち自転車はモノ


モノなのにこうやって自分で考え

話すことができて

感情まである


これはみんなわたしたちの所有者の愛による奇跡なんですよ

なるほど

所有者に愛された自転車は女の子になるのか

しらなかった……


あなたはどうしてそれをしっているの?

自分で考えました
ひまなので自分について考えた結果

とうたつした真理です

 

とか

奇跡

とか

だいたいこういうのって

愛とか奇跡とかで説明できるじゃないですか

(この子は思い込みが激しいタイプなのか)
あなたいま

「この子がすべての鍵を握っているのか」

と考えましたね

カンガエテナイヨー
あなた

他にはどんなことを考えていたりするの?

考えるというかシミュレーションしています

たとえば

この自転車置き場にテロリストがやってきたときどうやって対処するか

とか

前世でいっしょに戦った仲間と再会したときどんな会話をするか

とか

ほかには

さっさと警察に防犯登録の問い合わせをしましょう
そだねー

まってください!

それだけは

ほんとうにやめてください!

おねがいです……

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登場人物紹介

自転車

自転車

少年

少年

麗しの白鳥号(自称)

自転車。本当の名前は別にある。


上級者

上級者。麗しの白鳥号(自称)の持ち主。

終末

終末

放置自転車

放置自転車

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