第6話
文字数 467文字
赤いミイ姉ちゃんはいつも全力で笑っていた。他に記憶に残っているミイ姉ちゃんは、夏の晴れた日の空のような、青い色をしているミイ姉ちゃんだ。
ミイ姉ちゃんが青い時、それはだいたいミイ姉ちゃんもわたしも、なつやすみの濃い空気に身を委ねて漂っているときだった。
重なり合う木々の葉をすり抜けてくる風の声や、一定のテンポで絶え間なく鳴く蝉の声、遠くで聞こえる野球練習を頑張っている声、急に空気を切り裂いてくる、小さな子の愛らしい泣き声。
そういった、音と空気がやわらかく混じり合った中に体を委ねている時、ミイ姉ちゃんは、全てを見守る青空のように、優しく青く光っていた。
ミイ姉ちゃんが青く光る場所は、だいたいはわたしたちのお気に入りの場所、団地と団地の隙間に偶然できてしまった、中庭だった。
この中庭、団地の人には中庭と呼ばれていたし、実際に中庭として団地内の地図にも載っていたが、実際は庭とも言えないような場所だった。ポッカリと空いた六畳くらいの空間。中庭ではなく、設計上空間ができてしまった場所、言うなればただの小さな空き地に過ぎなかった。
ミイ姉ちゃんが青い時、それはだいたいミイ姉ちゃんもわたしも、なつやすみの濃い空気に身を委ねて漂っているときだった。
重なり合う木々の葉をすり抜けてくる風の声や、一定のテンポで絶え間なく鳴く蝉の声、遠くで聞こえる野球練習を頑張っている声、急に空気を切り裂いてくる、小さな子の愛らしい泣き声。
そういった、音と空気がやわらかく混じり合った中に体を委ねている時、ミイ姉ちゃんは、全てを見守る青空のように、優しく青く光っていた。
ミイ姉ちゃんが青く光る場所は、だいたいはわたしたちのお気に入りの場所、団地と団地の隙間に偶然できてしまった、中庭だった。
この中庭、団地の人には中庭と呼ばれていたし、実際に中庭として団地内の地図にも載っていたが、実際は庭とも言えないような場所だった。ポッカリと空いた六畳くらいの空間。中庭ではなく、設計上空間ができてしまった場所、言うなればただの小さな空き地に過ぎなかった。