豚を手術する際、事前準備から力仕事です

文字数 1,160文字

院生の実験の為に、豚を手術することも有りました。
通称「ブタオペ」、次の日に(補講でも無ければ)講義の無い金曜の夕方から開始でした。
ブタックフライデー。
朝っぱらから対象の豚を隔離し、飯を抜いておく。
飯抜きは、猫のタマを抜く時も同じですね、吐瀉物が喉に詰まったら危険なので。
何故、猫のωの話で例えるのか。
地域猫でもタマ抜きするし、タマを取る位でも飯を抜くよねって例えで。まあ、家畜の場合はいちいち時間も麻酔もかけてられないとばかりに消毒からの切開、タマ抜き……泣き叫ぶ仔豚と、抜かれゆくタマ。
家畜の安寧、去勢とは……タマとられたら繁栄出来んわ!
取られたタマの行方も知らずに
やめたげてよう。
ぶら下がっているタマとは違い、ブタオペは腹を裂くので麻酔が必要になります。なので、ぶっとい注射(かわいそうなぞうで分かりますが、ぶっとくないと豚の皮膚には刺さらない)を用意し、耳根部にぶっ刺します。
耳根部、耳の後ろの柔らかめな窪みのことです。
じこんぶ、って
 
 THE KONBU
 
みたいな響きするにゃ。
口寂しい時に酢昆布良いよね、夏場の塩分ミネラル補給にも良いし。
 
さて、ミミガーの根元に麻酔注射を打ったら、後は豚が寝るのを待ちます。痛い思いをして興奮していますが、麻酔の力には抗えません。
 
そして、金曜なのもあって学生の口から放たれる
 
 飛 ば な い 豚 は
   た だ の 豚
 

である。

三鷹の某森、暫く閉店にゃり。

(2020年2月における話)

そして、非常な学生は歌い出す、
 
 ルルルール
 ルールールー
 
って。
それ、飛ぶけど別作品!
ナイフ(メス)
ランプ(無影灯)
カミソリ(豚毛剃る用)
 
(オペ室に)つーめーこんでー。

ス 

実際は、豚に麻酔をかける部隊と、オペ室の準備をする部隊は別ですけどね。
そして、麻酔の効いた豚は四人がかりで運びます。
ええ、それぞれに豚足を持ってオペ室まで運ぶのです。
道具を使わない原始的学生。
豚足は、仰臥姿勢を取らせる為に手術台に縛り付けます。
ええ、荒縄でがっつり縛り付けます。
そうしないと、固定出来なくてオペ中に危ないですから。
そして、一気に結びつけるのに四人がかりで豚足を運んだってことです、多分。
やっておいて多分て。
ここから、吸入麻酔に移ります。
豚っぱなに吸入器被せてガムテープで張り付けます。
麻酔が外に漏れたら危ないからね。
だからってガムテープとは。
粘着力が無いとどうにもならないので。
そして、豚の腹毛剃り開始です。
剥き出しのカミソリで剃っていくのですが、なんせ相手は獣毛ブラシの原料になる毛。簡単にツルツルにはなりませんしカミソリの刃が負けていく。
カミソリ負けが別の意味に。
何とかしてツルツルになった頃を見計らい、教授と院生達がオペ室にやってきます。
そして、それからがまた体力勝負となるのでした。
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登場人物紹介

作者代理

 
眼鏡でコミュ症な田舎育ち
毒親育ちが故に歪んでいる

イマジニャリーフレンド

 
モフやかなツッコミ役

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