サキュバスは、泥酔女子を介抱する
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もう既に終電も無くなった時間に、酒に呑まれて、駅前の路上で泥酔して寝ている女。
こんなにも正体を無くすほどであれば、もはや昏睡という方が近いのかもしれない。
駅前を通りがかった、同じく酔っ払いの中年男性が声を掛けてみるが、泥酔して寝ている女はまったく反応が無い。
いくら呼んでみても反応は無い。
中年男性も、はじめは親切のつもりで声を掛けたのかもしれないが、酒で酔った勢いも手伝って、あまりに無防備過ぎる美女を目の前にして、邪な考えが脳裏を過ぎる。
間違いなく犯罪なのだが、きっと酒で理性が緩んでしまっているのだろう。
よからぬことを企んでいる時に、突然後ろから声を掛けられて、体をビクッと反応させ、素っ頓狂な声を上げてしまう中年男性。
酒を飲んで緩んだ理性では、サキュバスの魅了に勝てる筈もない。
危ない目にあわせようとしていた張本人の中年男性が、心配するというのもよく分からない話だが。
この男性の中では、強引なお持ち帰りは、罪の意識が希薄で、犯罪扱いではないのだろう。
あやうく酔った中年男性に、お持ち帰りされるところだった女性。
そんなこととはつゆ知らず、まだ路上でひたすらに寝続けている。
次にやって来た男は、小声でなにやら独り言を呟いている。
そんなことを呟きながら、路上で寝続けている女の手が握っているバックの中に、その男は手を突っ込もうとする。
この場合、置き引きなのか、ひったくりなのか、スリなのかややこしいが、いずれにせよ、泥棒であることには間違いない。
男は喚き散らしながら、慌てふためいて、逃げ出して行く。
その場にやって来たのは、仲間から連絡を受けたサキュバスの黒ギャル娘、ヤルヤンとレヘアン。
彼女達は、優しくて、いい娘なのだが、やはりちょっと残念なところがある。
女性のバックの中に、何か手掛かりがないか探すヤルヤンとレヘアン。
やましいことではないつもりでも、やはり素っ頓狂な声を上げてしまう二人。
そして、説明の仕方も、絶望的に下手くそ過ぎる。