『オープン・ウォーター』 サメ映画決定版【90点】

文字数 1,089文字

【あらすじ】




 数年前に実際に起こった出来事に基づき、特殊効果やCGは一切使用せず俳優たちが本物の鮫のうごめく海の中で芝居をした異色サスペンス。


 オープン・ウォーター(開放水域)に取り残されたダイバー夫婦が、肉体的、精神的に極限状況で体験する恐怖をリアルに描く。


 2004年のサンダンス映画祭で大注目を浴び、低予算映画としては異例の全米スマッシュヒットを記録した。


 ワーカホリックの夫婦、スーザン(ブランチャード・ライアン)とダニエル(ダニエル・トラヴィス)は、7ヶ月も予定を延期してようやく取れたバカンで、カリブ海に向かう。


 ふたりはダイビングのツアーボート”リーフ・エクスプローラー号”に乗り込む。「目的地は、マジックキングダム。そこで、みなさんを待っているのは―」ボートは他のツアー客で満員。


 グループの輪に入らず「勝手にやろう」とダニエルは言う。


 ダイビングを楽しむスーザンとダニエル。


 精神的に開放されたふたりは、この貴重なひとときを満喫する。


 しかし、ダニエルがウツボに見入っている間、海上のボートでは、今、まさに彼らが体験する最も怖い悲劇の序章が始まっていた。


 ふたりが満足して海面にあがってきた時、すでにスタッフの単純なミスで全員が乗ったと思い込み、ボートは彼らを残して岸に向かって去っていた。




【因幡さんの映画語り】




 実話系の物語である。


 筆者は、この映画が『SAW』に匹敵するほど人気なのは知っていた。


 しかし、海で遭難するだけの映画だと思い、アクションやミステリーもないのだからと、ここまで放っておいた。


 たまたま100円でレンタルできたので見てみると、予想外におもしろかった。


 


 ダニエルとスーザンはようやく休暇が取れ、カリブ海に向かう。


 ふたりには心の距離ができてしまい、埋め合わせるのが目的だった。


 ダイビングを楽しんでいると、スタッフの数え間違えで置いて行かれる。


 最初は冷静だったものの、海から静かに襲ってくるものたちに落ち着きを失っていく・・・。


 


 サメなどをモンスター化せず、襲われる者の視点で物語は進んでいく。


 7割が海の映像で退屈かと思ったが、静かな絶望感が次はどんな展開になるのか期待させられる。


 サメの特性もよく描かれており、嗅覚の鋭い生き物なので、海でおしっこすると集団で近寄ってくることも盛り込まれている。


 体当たりで感触を確かめ、それが餌だと認識されたとき、竜巻のように集まってくるサメたち。


 ラストは想像できるのではないだろうか。


 エンドロールで流れる映像には、海に飲まれた者たちの悲しさが伝わってくる。




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