砂漠の仲間

文字数 564文字

「タボ、いつまで寝てる。」
 ポポの言葉にタボは目覚めた。こんなにぐっすり寝たのは砂漠に来て初めてだった。まぶして輝く朝日の中で、彼女はすっかり出かける用意を済ませている。
「顔を洗ってくる。」
 泉の水で顔を洗い、口をすすぐ。彼らの生活では食事は日に二回。それも、目覚めてすぐには食べない。お腹のあくびを待つ。少し動くと、お腹がググウと鳴り始める。それが、お腹のあくびである。

 大きな砂漠を越えると一気に遠くまで行けるが、それではポポの体力が持たない。遠回りになるが、日陰のある岩場を選びながら進む。そのような場所には、時々狩りのための旅をするクロマニヨンにあう事があった。ポポはタボの後ろに隠れる。彼女の手は、タボの服をしっかりと握っている。
「やあ、お仲間。そっちは君の獲物かい?」
 かれらは、ポポを見ると一様に尋ねる。
「いや、旅の相棒だ。」
 タボの答えを聞いた者は大抵笑う。
「そんな、劣った種族がかい?昔はこのあたりにも居たらしいが、何十年と見かけたことはないよ。」
 そんな時は、タボは彼女がいかに優秀なガイドであるか切々と説いた。
「もうういいよ。変わったやつだな。じゃあ、元気でな。」
 相手は、あきれて去っていった。

 クロマニヨンたちは仲間意識が強い。が、その反面、他の種族に対しては冷淡である。
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