獣の体
文字数 308文字
シラコ国では北の山の氷河から密かに掘り出され、王城へと運ばれたものがあった。それには8種族の空の『器』の模様があった。それはかつて最も邪悪な生き物と恐れられた獣の躯だった。氷河の下で何千年と朽ちることなく眠り続けていた。
「こんなもの掘り出して何をしようってんだ。」
若い兵士が馬に引かれた台車を押しながら愚痴をこぼした。
「さあな。予言師様のおっしゃることに、おれたちは従うだけだ。」
横の兵士がしかたないといったふうに力なく答える。
「最終兵器らしい。きっとこいつがドラゴンとやらから王都を守ってくれるんだろうよ。」
隊長らしき男が塊を見上げた。
氷付けの躯は、人知れず王城の地下へと運ばれていった。
「こんなもの掘り出して何をしようってんだ。」
若い兵士が馬に引かれた台車を押しながら愚痴をこぼした。
「さあな。予言師様のおっしゃることに、おれたちは従うだけだ。」
横の兵士がしかたないといったふうに力なく答える。
「最終兵器らしい。きっとこいつがドラゴンとやらから王都を守ってくれるんだろうよ。」
隊長らしき男が塊を見上げた。
氷付けの躯は、人知れず王城の地下へと運ばれていった。